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嫌なことはずっと覚えてるのに幸せはすぐ忘れる『無(最高の状態)』

タンザニア在住ライターのほりともです(@tmk_255)です。

最近読んだ、おススメの本を紹介します。

『無(最高の状態)』

タイトルのインパクトと1500近いレビューの多さに関心を持ち、読んでみました。

「いまに集中しよう」「まずは行動しよう」とか昨今言われるけれど、これじゃ根本的な問題解決にならない、という著者が、じゃあ、どうしたら日々の心配や悩みをクリアにして、生きていけるかについて書いています。

忙しい私たち現代人には、かなり気になるトピックですよね。

 印象的なのは、人間はそもそもネガティブな生き物で、生後3か月の乳児でさえネガティブなのだ、というところ。ネガティブな刺激により強く反応するのは、全ての人に備わった共通のシステム。例えば、100万円のボーナスをもらった日に車が壊れて100万円の修理代がかかったら、1か月後に思い出すのは車の修理代のほう。

脳みそは、ネガティブな事件ほど強く記憶する。だから、メディアは悲観的なニュースばかり流す。

 さらに、ポジティブな情報は長持ちしない。情熱的な愛、新しい所有の喜び、成功した爽快感、こういった経験はそのとき限り。宝くじに当たった人の幸福度も直後だけ上がり、半年後には元の精神状態。新しいアパートに引っ越した嬉しさは平均3か月で消え、好きな相手と恋仲になった幸せは6か月で薄らぎ、人間の喜びはうたかた。

つまり
①嫌なことはあとまで残る
②良いことはすぐ忘れる

のが私たち人間。

さらに、人間が苦しみを(さっさと忘れられずに)こじらせるのは、目の前の世界だけを生きられないから。過去(の怒りや悲しみ)と未来(の不安や恐怖)を想像できてしまう能力のおかげで、人間は他の動物と比べて、苦悩の火種に油をそそぐ力を得てしまった。

「私ってどんな人間なのだろう?」「本当の自分らしく生きることができてるかな?」そんな風に理想の自分を思う時間が長いと不安やうつの症状を起こしやすい。

 さらに、普段使っている言葉がメンタルに影響する。嫌なことがあった時に、すべてを「むかつく」「きもちわるい」など1~2つのボキャブラリーで表現する人と、「しゃくにさわる」「いらつく」など複数の表現をおもいつきしっくりくる言葉を選ぶ人では、後者のほうがメンタルが安定していたという研究結果もでている。感情の言語化がうまい人は、総じてセルフコントロールがうまく病気にもかかりにくい。これ、私も普段から意識していきたい。

これを意識するために
①新しい言葉を学び 
②感情ラベリング

という2つの手法を提案している。

①は、普段手にとらない小説を読み感情の濃淡を表す表現をストックしたり新しい比喩表現に触れるのが効果的。

②は、毎日の暮らしで嫌なことが起きたら、その時の感情の種類をできるだけ細かく表現してみる。「裸の肌に蚊が群がってきたようなプレッシャー」「穴に入ったまま即成仏したいほどの恥ずかしさ」など。

「苦しみ=痛みx抵抗」という方程式も面白い。人は抵抗するからより苦しくなるので、不快な感情をできるだけ受け入れることで、苦しみの認知が大きく変わる。わかりやすい例は注射。大人はワクチンの重要性をわかっているからこの痛みは受け入れるしかないと認識し脳が抵抗を和らげるが、ワクチンの価値を理解しない子供にとっては理不尽な痛みでしかなく、抵抗するからさらに痛い。

人間って、これだけネガティブに反応しやすい生き物なんだな~と知るだけで、生きやすくなるのでは、と感じさせるそんな1冊。

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