【長編小説】パンプキン・パイの不思議な冒険 その12
青い制帽をかぶった白ハトは木々を巧みにかわしながら森のなかを飛んでいきます。背の高い鬱蒼とした木々はどこまでも続き、森の小径は依然薄暗いのですが、木々の間からは(風景描写によって登場人物の心理を描く小説テクニックのように)青空が垣間見えます。
ようやく少し視界が開けたところに出ると、眼前には小さな池と赤いペンキ塗りの小屋があり、ハトは小屋の郵便受けに手紙を入れているところでした。
池と小屋を見た刹那どきりとしたのは、この景色をどこかで見たことがあったからです。そして記憶