富永あづき

実にくだらない体験談を作文しているライターです。写真や絵、きれいなものをこよなく愛し、…

富永あづき

実にくだらない体験談を作文しているライターです。写真や絵、きれいなものをこよなく愛し、面白いことには笑いすぎて、のたうち回るハメになる変態です。さくらももこのエッセイやクッキーのインスタ、尾道の街並み写真や沖縄が大好きすぎて想像しただけで震えます。

最近の記事

モーニングルーティーン

「ばさっ」 「パクッ」 娘は毎晩、枕元にハンディサイズのお菓子を忍ばせて入眠する。 早朝、目を覚ましたかと思うのと同時くらいに起き上がり、眠気まなこの薄目で重力に逆らってあんぐりと口を開き、一口大のお菓子を一つ放り込む。 心持ち満足そうな表情を見せると、重そうに唇を完全に閉じる。そしてさっと布団に入り直して、両足をバタバタと順に伸ばして寝やすいポジションをとり、次の瞬間には寝息を立てるのだ。気が違ったのかと思わせるほどの狂気な妙技。 それは、清々しく差し込んでくる朝

    • 女神の社会の窓

      https://youtu.be/KY06tlYM2GY 1日の終わりに、ある方から頂いたマッサージ機で首のコリをほぐしながら、今日を振り返る。 自動もみほぐし機になされるがままの、我が顔の動きが神がかって面白いことに失笑。 今日、私が地下鉄の階段を上がっていると若い女性が逆行してきた。 彼女はマスクの上からでもわかるくらい透けるように肌が白く、顔にはほのかに笑みが浮かんでおり、雰囲気は上品でしっとりとしてとても美しかった。まさに女神降臨。 「若いっていいな」 私

      • 静かなる万引きコーヒー

        秋の気配満載で涼しくてゆるい風に気持ちよくあたりながら、「お金降ってけえへんかなあ」と空を見上げた勢いにまかせ、コンビニで買ったカフェラテをいっきに飲み干した。 「あっつあっつー」喉やける。 コーヒーは熱いうちに飲み干し、砂糖は決して入れぬべし。私のコーヒー流儀だ。良い子はマネしないでいただきたい。 仕事の合間に飲むカフェラテは格別に美味しい。コンビニでセルフサービスのコーヒーを買い、自分でマシンのボタンを押す。機械からコーヒーが注ぎ込まれるスピードの遅さにイライラし、

        • 想い出の北谷

          「おかあさんカメラかして!」 張り切って買った一眼レフカメラをかして欲しいとねだった娘。 渋々手わたした直後、「私より格段に写真がうまい」と膝から崩れ落ち、娘に敬服した写真。 娘はこの時小学生だったようだ。 好きで好きで、なんど通ったか数え切れない沖縄で、いつ撮ったものかあやふやな思い出画像がパソコンの中でちゃんぽんしている。 これは北谷を訪れた時のもので、晴れたのはこの一瞬だけ。残り5日間は台風のため海で泳ぐことは叶わず、「行かんといたらよかった」と子供たちの純粋

        モーニングルーティーン

          今井町でタイムスリップ

          電車乗って行くで! いつもの、外袋が6つついていて丈夫で使いやすい帆布のカバンと、カメラを斜めがけにし、テレビの前に立って宣言した。 しょっちゅう出し抜けにきちがいなことを言うので、もちろん断られることを覚悟していたが、意外にも娘と息子はノリよくついてきた。 地下鉄と近鉄電車を乗り継ぎ約40分で近鉄八木駅に到着。 ここは多くの古民家が現存し「重要伝統的建造物群保存地区」の選定を受けている、奈良県橿原市今井町。駅から徒歩10分ほどだ。 「うわぁすごい」 「江戸時代や

          今井町でタイムスリップ

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          奈良県柏原市今井町

          奈良県柏原市今井町

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          灼熱のうんこ

          「あつっ。いたっ」頭と目がやけにいたい。 狙い撃ちされているみたいに、太陽の陽が容赦なくカンカンと私に照りつけてくる。 帽子をかぶり、UVカットのメガネをかけて日除け対策は万全のつもりではいたが、頭のてっぺんがドクドクと脈打って熱をもち、目にはキリキリと地面からの照り返しの光が容赦なくはいってきた。極めて不快な拷問だった。 「君、散々痛めつけて、最後は私を溶かすつもりだね。私の体調のことなんぞちっとも考えてくれていないし。ちょっとは遠慮して曇にかくれてくれないかな」

          灼熱のうんこ

          淡路島縦断一人旅

          コロナと雨で異例のお盆休み。 私は、どこへも行く計画はなかったが、あまりにも暇で「人と関わらなければいいのではないか」とただひたすらドライブをする「淡路島縦断の旅」に出た。 世界最長の吊橋、明石海峡大橋を渡り、ただひたすらに島を南下し、淡路島と徳島をつなぐ大鳴門橋の手前で「てん」して、来た道をまたひたすらに帰っただけのひとり旅11時間。 淡路島での一番の思い出は、大好きな塩おむすびを海沿いで気持ちよく食べていたら、飢えたトンビに奪われてしまうという衝撃的なもの。 彼氏

          淡路島縦断一人旅

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          淡路島縦断、合計11時間の旅

          淡路島縦断、合計11時間の旅

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          おたふく風邪にかかって死ぬと思いきや

          「えっ」 それは突然だった。 16年前のある朝、洗面所の鏡に映る自分の顔を見て声がでた。寝ている間に何かあったのか?その頃、私を嫌っていたであったろう旦那が寝ている私の顔を、憎しみのあまり殴ったのか?寝ぼけた頭がいろんな想像をし始めた。しかし、どれも証拠となる決定打がない。 どのくらい、鏡を見つめたままパニックに陥っていただろうか。おそらく2、3分だろうと思う。 次第に頭が冴えてきた。 「そうだ!昨日息子がおたふく風邪にかかったんだ。右側だけ」 そうかそうか、私は

          おたふく風邪にかかって死ぬと思いきや

          霊能力は信じない信念

          ふと、自分のお店にレジを置いてみようかという気になった。「レジがないより、ある方がお店らしいかな」といまさら感じたからだ。 そこで私は、ネットでレジスターを扱っている会社を検索した。名の知れた会社から初めて聞く会社までたくさんある中から、よさそうな会社にアポを取った。なんとその会社のレジは、詳しい期間は忘れたが、初期費用0円で当分使えるというのだから使わない理由がなかった。 数日後、30歳くらいと思われるお姉さんが打ち合わせにやってきた。パンフレットを出し、自分の会社のレジ

          霊能力は信じない信念

          耳年齢診断の予期せぬ結果

          先日、家族全員が例のウイルスのワクチン接種を2回終了した。思ったより早く済んで安堵している。 私はもちろん、利き手とは反対の左腕に接種をした。間違いない。 なのになぜか接種していない右腕が痛みだしたので、娘に訴えた。 すると娘は「ほんまはボケて右腕にワクチン打ってたんちゃうん」などと嘲笑したが「そこまでボケてないわ」と、魂を込めて反論した。 しかし、娘が私をボケていると疑うに値する前科が私にはある。 先日、父の一周忌で皆が集まった際、YouTubeで「耳年齢診断」という

          耳年齢診断の予期せぬ結果

          水牛in沖縄

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          領収書あるある

          これは税務署にとおるのでしょうか? 先日、あるお店で領収書をかいてもらったのですがしっかり、「キューピー」とかいてくれました。 正しくは「キュウティ」なのですがね、ちょっと惜しいですね。 もし、税務署からこの領収書の宛名間違いを指摘されたら、私は「知らなかった。気づかなかった」と言い張るでしょう。 ですが、天下の税務署さまは「知らなかっただと?!無知は罪だ」と私の言い訳を一蹴するはずです。当然です。 私は、名前の間違いに気づいていたにもかかわらず、黙って、領収書「キ

          領収書あるある

          トイレののぞき魔

          もう1年になるのか。 時が経つのは早い。突然死んでみんなを驚かせてくれた父。先日一周忌法要がとり行われた。 その夜、甥っ子2人が我が家にお泊まりをしにきた。 私の息子の部屋で3人、テレビゲームをしたり、Netflixのホラー映画をみたりして楽しい時間を過ごしたようだ。 私は、夜中12時すぎにベッドに入ったが、休日前なので「眠いけど、まだ寝たくないな」と、YouTubeで平井堅が唄う「Wの悲劇」を聴いていた。少し切なくなり、サビに入りかけた以降の記憶がないので、限界がき

          トイレののぞき魔