![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63099575/rectangle_large_type_2_29c6358ebc63a068172476dc21655587.jpeg?width=800)
Photo by
lisa500ml
モーニングルーティーン
「ばさっ」
「パクッ」
娘は毎晩、枕元にハンディサイズのお菓子を忍ばせて入眠する。
早朝、目を覚ましたかと思うのと同時くらいに起き上がり、眠気まなこの薄目で重力に逆らってあんぐりと口を開き、一口大のお菓子を一つ放り込む。
心持ち満足そうな表情を見せると、重そうに唇を完全に閉じる。そしてさっと布団に入り直して、両足をバタバタと順に伸ばして寝やすいポジションをとり、次の瞬間には寝息を立てるのだ。気が違ったのかと思わせるほどの狂気な妙技。
それは、清々しく差し込んでくる朝陽に、一日の活力を見出すことができる早朝の神聖なリビングから光を追いかけて視線を奥の部屋にやると、目の中いっぱいに広がる戦慄の光景だった。
はじめの頃は、筆舌に尽くし難いほどゾッとした。しかし今ではひと瞬きの娘のモーニングルーティーンとして、私に認知され始めている。
今度は太陽の方に意識を向けると、ベランダに光を反射しながらキラキラした羽を身に纏った鳩がちょこんと座っていた。
明日のモーニングスイーツはなんだろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?