見出し画像

耳年齢診断の予期せぬ結果

先日、家族全員が例のウイルスのワクチン接種を2回終了した。思ったより早く済んで安堵している。

私はもちろん、利き手とは反対の左腕に接種をした。間違いない。
なのになぜか接種していない右腕が痛みだしたので、娘に訴えた。
すると娘は「ほんまはボケて右腕にワクチン打ってたんちゃうん」などと嘲笑したが「そこまでボケてないわ」と、魂を込めて反論した。

しかし、娘が私をボケていると疑うに値する前科が私にはある。

先日、父の一周忌で皆が集まった際、YouTubeで「耳年齢診断」というものをやった。キーンという特殊な音を出して耳年齢を診断するというやつだ。13歳が聞こえるであろう音から始まり、徐々に年代が上がるにつれて、音の種類が変わっていくらしく、最終的に60歳なら聞こえるであろう音まででる。

ずっとキーンという、いやあな音が出ているらしい。

娘や息子、甥っ子は音を出した途端から「ギャーうるさい」と耳ぎ、悶え苦しんでいた。

私は何も聞こえないものだから「何を大袈裟な」と言いながらも、内心ドキドキしていた。

音が聞こえなかったらどうしようというドキドキではなく、私なら30代の音が聞こえるはずで、みんなに「若いね!」と言ってもらえると思ったからだ。根拠はない。

しかし全く何も聞こえず、30代の人なら聞こえて当たり前であろう耳障りな音は、無情にも通り過ぎていった。

そして40代へ突入すると、4歳年上の義理姉が「はい!聞こえた!」と嬉しそうに手を挙げた。私は47歳、何も聞こえない。

うそだ。八百長に決まっている。

ちょっとイライラしながら、音を聞き続けていたが、最後の最後まで何も聞こえず、その後3度やっても60代になって初めて、ちょっとだけ耳障りな音が聞こえただけであった。

私は、恥ずかしい結果に意気消沈し、「お母さん頑張らなあかんわ」と力なくつぶやいた。
すると娘は間髪入れずに「ていうか、もう耳が年取ってるから頑張っても無理やで、言うとくけど耳だけじゃなくて、頭も内臓もな」と、回復の見込みはもはやないのだと釘を刺してきたのだ。

娘は遠慮なしだ。


一緒に、耳年齢診断にうっすら参加していた78歳の母と79歳の叔母2人は、終始なんの反応もなく涼しい顔をしていた。「私ら90歳まで生きたいな」と、いかに長生きするかという話に花を咲かせながら。

長生きできるよお2人さん。

ちなみに娘は未だに私が、右腕にワクチン接種をしたと信じている。いや、間違いなく左腕に接種したのだ。

右腕がなぜ痛みだしたのかは不明である。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?