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今井町でタイムスリップ

電車乗って行くで!

いつもの、外袋が6つついていて丈夫で使いやすい帆布のカバンと、カメラを斜めがけにし、テレビの前に立って宣言した。

しょっちゅう出し抜けにきちがいなことを言うので、もちろん断られることを覚悟していたが、意外にも娘と息子はノリよくついてきた。


地下鉄と近鉄電車を乗り継ぎ約40分で近鉄八木駅に到着。

ここは多くの古民家が現存し「重要伝統的建造物群保存地区」の選定を受けている、奈良県橿原市今井町。駅から徒歩10分ほどだ。

「うわぁすごい」

「江戸時代やん」

江戸時代に生きたことはないけれど、思ったことは口に出す。

髪を結い、着物を普段着にしている人たちが生活しているような街並みに、忙しく右を見たり左を見たり、時には空を見て、あの時代も青々していたのかなぁ。の「なぁ〜」と同時に後ろにそり返りすぎて、ふらついて白目をむいたり。武士の人と危うくぶつかるかもしれないから、慎重に角を曲がったりもしてみた。玄関先の駒つなぎをみるや、先へ先へと歩いて行く子供らに、馬に気をつけなさいよとつい言ってしまいそうになるノスタルジーの極みに大興奮。

「田舎に帰ろうかな」

生まれも育ちも大阪で故郷などないのに、とてつもなく郷愁をかりたてられた。


歴史的風致の建物たちに癒されてはしゃいでいたわけだが、1時間後には口ほどにもなく、真夏の炎天下にいてこまされた。

さんざんいちびって気温32度にいわされながらも、地獄に仏、歴史的建造物の一角におしゃれなカフェを見つけ、美味しいチーズケーとアイスコーヒーを堪能し家路についた。

その日は布団に入るまで体がぽかぽかとほてっていた。頭も江戸時代にタイムスリップしたままふわふわだった。


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