富川純樹(アガルート司法試験講師)

富川純樹(アガルート司法試験講師)

最近の記事

民事訴訟法答案の落とし穴

今回は民事訴訟法の答案でやってしまいがちなミス?について書いていきたいと思います。 平成18年から新司法試験がはじまり、あてはめの重要性が強調されるようになりました。 そのため、受験生も「あてはめ頑張らないと」の意識は大分高まっていると思います。 しかし、民事訴訟法という科目はこの点に落とし穴があると思っています。 以下平成23年司法試験(民事訴訟法)採点実感の引用です。 また,これらの点をほとんど論じずに,事実の自白の撤回の要件論に飛び付 き,本問の事例への当ては

    • 設問の指示どおりに答案を書く

      今回は設問の指示どおりに答案を書くということについて書いていきたいと思います。 司法試験予備試験において「問に答える」ことは非常に重要です。合格者も口をそろえて言っていると思います。 ただ、実際に指導をしていると「問に答える」を実践出来ている人は多くないと思っています。 では問いに答えるためにはどうすればよいか。 自分は、設問の指示どおりに順番で答案を書くことを原則にするのがよいと思っています。 例えば平成22年司法試験民法の設問2小問(1)は以下のような設問になっ

      • 負荷の高い勉強

        今回は負荷の高い勉強というテーマで書いていきたいと思います。 自分にとって負荷の高い勉強は 「分からない(できない)ことを自覚させられる系の勉強」 でした。 毎日一生懸命勉強しているのに、まだ分からない(できない)ことがあるのかと思うとがっかりするし、不安になります。 具体的には初見の問題を解くことが苦手でした。 知っているはずの論点なのに迷ったり落としたりということが何度もありました。 司法試験、予備試験の勉強では過去問と、同じ問題集を繰り返すことが推奨されま

        • 時間切れ対策(現場編)

          今回は時間ぎれ対策、特に現場での判断について書いていきます。 時間切れの答案を添削するときには毎回 「時間が足りないことにどのタイミングで気づいた?」 と聞くのですが、多くは 「最後の設問を書き出すタイミングです」という返事が返ってきます。 自分はそれでは遅いと思っています。 司法試験の答案では最後までバランスよく書ききることが原則であると思っているので、残り時間の把握はこまめにする必要があります。 仮に設問1が書き終わった段階で5分押しているのであれば普通に書

          内田民法

          今回は内田民法の良いところと悪いところについて書いていきたいと思います。内田民法とは、民法Ⅰ(総則・物権総論)民法Ⅱ(債権各論)民法Ⅲ(債権総論・担保物権)民法Ⅳ(親族・相続)からなる基本書です。 良いところケースが判例ベース 判例の事案を上手に抽象化してくれているため、判例集を読まずとも判例の事案を理解できるところがよいです。ケースの数も多すぎず少なすぎずちょうどいい。 文章が読みやすい これは好みですが内田民法は文章がとても読みやすいです。さらっと読めて分かった気

          短答1周目に意識すること

          今回は短答の過去問1周目に意識した方がよいと思うことについて書いていきたいと思います。 アガルートではカリキュラムがスタートして、かなり早めに短答の勉強を始めてもらうようにお願いしています。 その際、「1周目はざっと問題と解説を読むだけでよい」こともお伝えしています。 ただ、多くの受講生は、ざっと問題と解説を読むだけで意味があるのか?と感じると思います。 そこで、自分なりにですが、ざっと問題と解説を読むことの意味を書いていこうと思います。 結論から書くと、ざっと問題

          論文を書くうえで危ない思考

          今回は論文を書く上で危ない思考というテーマで書いていこうと思います。 司法試験に複数回不合格になっている方の指導をさせて頂くときによく出てくる問題として、「書いた本人も何を言っているか説明できない論述がある」というものがあります。 で、私が「自分でも説明できないことをなぜ文章にできたの?」と聞くと、 「授業で○○先生が言っていたことが、頭にあってそれをかきました」 「○○先生の基本書にこんなことが書いてあったような気がして。。」 みたいな返事が返ってくることが多いで

          論文を書くうえで危ない思考

          司法試験に必要な書籍(論文編)

          今回は司法試験に必要な書籍というテーマで書いていこうと思います。 私は司法試験に必要な書籍を大きく分けると、インプット用とアウトプット用に分けられると思います。以下それぞれについて解説していきます。 1 インプット インプットのための書籍は以下の3種類に分けられます ①コアとなる基本書 ②辞書となる基本書 ③網羅性のある演習書 ④判例集 ①コアとなる基本書 コアとなる基本書は、受験生活の中で何度も読むことになるため、分厚すぎず薄すぎずちょうどよい分量のものがおすすめで

          司法試験に必要な書籍(論文編)

          いま司法試験を受けたら受かるのか

          仕事がら毎年本試験の問題には一応目を通します。 毎年初見で問題を見たときには「自分がこの年に受けてたら不合格なのでは?」と思ってしまいます(受講生には偉そうに「今年の民法は簡単でしたね」とか言いますが)。 予備校講師という立場で仕事を始めて5年目に入り、ほぼ毎日受験としての法律に触れているので合格時点よりも知識は増えているはずなのですが、それでもう1回受けて当然に受かるだろうとは思えません。 この感覚になるのは、普段ピーキングが全くできてないからだと思います。 自分レ

          いま司法試験を受けたら受かるのか

          司法試験受験生の会社法対策

          今回は予備ルートでない司法試験受験生の会社法対策について書いていきます。 商法が苦手という方のお話しを聞くと、そのほとんどが「条文を探すのが大変だ」とおっしゃいます。 たしかに会社法は条文数が多くかつ細かい手続きの条文も多いので諦めてしまう方も多いと思います。 では現代の受験生はどのように克服すればよいか。 個人的にですが、短答の問題を解くのがよいと思っています。 準備するものは ①基本書(LQや紅白本などなんでもOK。個人的には紅白おすすめ。) ②短答問題集(短答

          ギリギリ不合格

          司法試験の成績が届き始めている思います。 SNSを見ていると「あと数点」というギリギリ不合格の方もいらっしゃいます。 このギリギリ不合格の方によく伝えていることがあるので、今回はそれについて書いていきます。 ギリギリ不合格だった方に、敗因を聞くと「○○の論点を落としてしまいました。なので知識を入れ直します」というようなお返事を頂くことが結構あります(というかほとんどそうかも?)。 本当にギリギリ不合格の場合、実際に落とした論点が書けていれば受かっていたと思われるので、

          短答の勉強方法

          今回は短答の勉強方法について書いていきます。 1 準備するもの①過去問集 問題と解説が載っているものであればなんでも大丈夫です。 ②逐条系のテキスト LECだと択一六法、辰巳だと条文判例スタンダード(多分旧条文判例本?)みたな逐条形式のテキスト。 ③基本書(教科書) 基本書は各科目1冊持っているとよいです。辞書として使うことを想定しています。おすすめの基本書はまた時間があれば書きます。 ④判例集 公法系科目については判例からの出題が中心であるため判例集(百選のようなも

          やってみたいゼミ

          今回は自分がやってみたいゼミについて書いてみたいと思います。 アガルートではあまりゼミを実施する機会がないので、案として持っているだけなのですが、自分は中上級者向けに「予備試験(司法試験)の問題について自分なりに採点基準を作って、自分が作った採点基準に沿って他人の答案を採点する」というゼミをやってみたいと思っています。 自分が指導をしている経験上ですが、合格に時間がかかってしまう人は、得点に対する意識が低いように思います。 自分も受験時代に得点を取ることは全然意識できて

          今の指導と昔の指導

          受験生のお役には立たないメモみたいな記事です。 昔の指導と今の指導を比べたら、絶対いまの方がうまいし知識も豊富だと思います。 でも一方で、昔の指導の方が好みだったという人もいると思っています。 一応自分なりに日々進化しようとしているのですが、その進化によって昔持っていた長所を消してしまうとよくありません。 自分が思う進化と求められている進化がズレないように気を付ける。

          モチベーション

          なにか質問ありますか?と聞いた時の返答として多いのは「モチベーションを上げるにはどうすればよいですか?」です。 個人的にこの質問はすごく難しくて、上手に回答できたなと思ったことはありません。 ではなぜこの質問が難しいのか。 それは、どんな場合にモチベーションが上がるのかは究極自分しか分からないからだからだと思っています。 受験指導をしている先生の発信で「自己分析が大事」という言葉がよくでてきますが、モチベーションの問題は自己分析に尽きると思います。 私はモチベーショ

          論文が書けない

          今回は論文が書けないというお悩みについて書いていきたいと思います。 最近ふと思ったのですが、ロースクール時代に「論文が書けない」で悩んでいる人に会ったことないんですよね。 ※自分の観測範囲だけなので一般化できない可能性は大いにあるのですが。 一方、予備校で講師をしていると、毎日のように論文が書けないというお悩み相談を受けます。 これは何故だろうと思いました。 「ロースクールに在籍していると書くしかないから書けないなんて言ってられない」がひとまず自分の考えた結論です。