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努力が苦手なきみへ。背中を押してくれるボクシング小説【ボックス!】 | 私が大学生ならこれを読む Vol.2

みなさんは、人生や価値観が変わってしまうような本に出会ったことはありますか?

今回、編集部ではNEC社員に「学生さんにおすすめしたい本」を大募集!
本が大好きな社員におすすめ本について語ってもらいました。

「昔は毎月25000円くらい本に使っていました。今思えば、そのお金を全部積み立てておけばよかったな、なんて思いますが…」
そう言って笑うのは、「好きな作家にはサインをもらいにいくほどハマる」という波部さん。今回は、波部さんに「学生におすすめしたい一冊」を聞いてみました!

波部さん

お仕事
経営企画(事業評価、予算策定、CXO補佐)を担当
好きな作家
百田尚樹、山崎豊子、小川洋子、東野圭吾、真山仁

二人の高校生ボクサーの成長ストーリー「ボックス!」

「ボックス!」が好きすぎて、単行本も文庫本も持っている波部さん

―波部さんのおすすめの一冊を教えてください。
百田尚樹著の「ボックス!」という小説です。
主人公である天才型ボクサー・鏑矢くんと、運動音痴の努力型ボクサー・木樽くんの話です。
二人とも高校のボクシング部なのですが、鏑矢くんは天才だから努力しなくてもめちゃめちゃできる。木樽くんは運動はできないけどひたすら愚直に努力する。そんな二人が成長していく青春物語です。

―大学生におすすめしたい理由は何ですか?
やっぱり、木樽くんの努力ですね。
鏑矢くんのような天才と呼ばれる人って、なかなかいないと思うんですね。その鏑矢くんを超えるくらい強くなっていくのが木樽くん。それほど成長したのは、木樽くんがちゃんと努力したから。
「努力をそこまでやれば、ちゃんと結果が出る。天才も超えられるんだ」というところが、この小説で学べることかなって思っています。

木樽の快進撃に注目!

――特にグッとくるシーンはありますか?
ボクシングのコーチが、木樽くんについて「彼は、言われたこと一つを愚直にやる。そんなことができるのは彼だけだ」と語るようなセリフがあるんですね。
木樽くんって、ストーリーの冒頭は弱っちいキャラでモブみたいな印象なんですよ。でもこのシーンは、実は彼が陰の主役なんだ!ということをこの小説の中で宣言した、認められた瞬間なんですよね。

そこから、木樽くんの快進撃が始まっていくんです。そのシーンを読みながら、「まじか木樽!」って。「ここまで強くなるかね!」って思ったんです。それはすごく覚えてますね。

「天才にはなれない。だから努力するしかない。」と気づいた

―この小説のどんなところに魅力を感じますか?
僕は、この小説では木樽くんに惹かれるんです。才能は持って生まれたものでもあるので、鏑矢くんみたいな天才にはなれない。
例えば、僕の部署の一つ上の先輩なんかは超名門校を出ていて、瞬発力があって考える質も高くて、素の頭の良さでは勝てないなって思ったりします。じゃあどうしようかと考えると、木樽くんみたいに「努力をする」ということかな、と思うんですね。

あとは社会人になって、ある程度経験を積んでくると、ドラゴンボールの悟空やこの小説の鏑矢くんみたいな天才は、なかなか現実にはいないよな、と分かってくる。いたとしても、自分がその立場にいることってほとんどない。もう周り全員が自分より強いぜ、みたいな場面に出会うこともあるんです。

僕は、今の部署に去年異動したんですが、移った当初は、周りの人が優秀で自分が一番仕事ができない。それどころか、異動してきたばかりなので持っている力の2割とか3割くらいしか発揮できない、みたいな感じだったんです。

そういう経験をするうちに、「木樽くんみたいな努力を自分もやらなければ」と思うようになりましたね。昔は「木樽くんみたいなまじめで努力する人っているよね」というくらいの印象だったのが、徐々に木樽くんのことを自分事として考えるようになった。年を重ねて、いろいろな現実も知る中で、ものの捉え方が変わったんですね。

「今この瞬間」を闘え!

―最後に、この選書を通して学生のみなさんにメッセージをお願いします。
私が大学生の時に、ジョブウェブという会社の佐藤孝治さんという方にサインをもらったことがあるんですが、その時に書いてもらった「現瞬を大切に」という言葉があるんです。

40歳を過ぎた今、20代30代は気が付いたら終わっていたな、と感じます。今日のこの瞬間はもう二度と来ない。自分がこうなりたい、と思っている姿があるんだったら今できることをして、そこに向かってどんどん進んでいってほしいと思います。

この小説のタイトル「ボックス!」って、ボクシングの開始のかけ声なんです。「闘え、ボクシングしなさい」という意味。
だから、木樽くんみたいな人がいたら「君もチャレンジしよう」という、そういうタイトルだと思っています。学生のみなさんには、ぜひチャレンジしていって、もう2度とは来ないこの瞬間をぜひ大切にしてほしいなと思います。

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