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世界のニュースを日本人は何も知らない② ~未曽有の危機の大狂乱~【1】

ちょうど1年ほど前に標題のシリーズの①を読みました。

その続編ということになりますが、今回は新型コロナウィルスのパンデミック後の世界において、日本ではなかなか伝わってこない各国のニュースやその実態にフォーカスした内容となっております。

世界の「マスク騒動」を日本人は何も知らない

言うまでもなく、日本は世界に例を見ないほどの「マスク大国」です。風邪などを引いたときはもちろん、国民病ともいえる花粉症の人はほぼみんなマスクをつけますし、病気やアレルギーではなくても、顔を見せるのがイヤな人や自分に自信がない人もマスクをつけたりします。こんな国は世界にありません。

では他国はどうか。まずアメリカ。

アメリカは他の欧米諸国同様に「マスク不要論」が根強い国です。他の国もそうですが、アメリカのマスク着用率が低いのは「マスクは感染防止効果がない」と考える人が多いからです。また、「政府が個人生活に介入すべきではない」「健康管理は個人の権利だ」と考える人も大勢おり、マスクを付けないことは「個人の権利」であり、新型コロナにかかることも「個人の権利」だと考える人も多くいます。

次にイギリス。

イギリスもアメリカ同様にマスクをつけたがりません。まず、イギリスをはじめヨーロッパではマスクをすることに大変な抵抗があります。なぜなら、「マスクをする人=異常な病気にかかった人」というイメージがあり、「マスクは一風変わった東洋の習慣」⇒「マスクをしている人は頭がおかしい人」くらいに思っている人も多いらしいです。

また、当時のWHOのガイドラインも欧米諸国の人たちに影響を与えました。2020年6月にWHOは見解を改めましたが、それまでは「マスクをしても感染を予防できる根拠はない」と述べていたのです。

そしてフランス。

あまり日本では知られていませんが、フランス人はイギリス人よりもはるかに個人主義でわがままと言われています。その一つの例として「マスク殺人事件」が挙げられます。これは、2020年7月にフランス南西部のバイヨンヌと言う町で、マスクを付けないままバスに乗ろうとした4人組の乗車を拒否した運転手が暴行を受けて脳死状態になり、後日死亡したという事件です。こうした事件はフランスで相次いだそうです。日本でも「マスク警察」などという言葉が一時期はやりましたが、そのような人たちはフランスのような国に行ったら度肝を抜かれるのでしょうね・・・。

フランス政府は当初アメリカと同じく「マスクには効果がない」と連日語っていたので、急に「マスク着用は義務だ」と言われ、激怒した人が多かったようです。政府に対する拒否反応と元来存在するマスクに対する抵抗感が合わさって上記のような暴行事件も頻発し、ネット上でもマスク拒否運動が盛り上がっていました。

ただ、このような事件が頻発しても、医療従事者やバスの運転手を守ろう!という大規模なキャンペーンは起きなかったとのことです。これは「暴力をふるう人には何を言っても無駄だ」「どんな啓蒙運動をしても無駄だ」というフランス人のあきらめのようなものが表れています。フランスは大変な格差社会であり、暴力をふるう人や公衆衛生を理解できない人には根気強く教育を行ったり、啓蒙したりという考えがないのです。

アメリカやヨーロッパでマスク着用が進まなかった理由の一つが、マスクの効果に対して明確な研究の裏付けがないということでした。

欧米の人々は実証主義で、データの確実性を重視するため、政府も専門家も確固とした裏付けがない場合、「これをしなさい」ということははっきりと言わないのです。

対して日本は、集団主義で同調圧力も強いため、人に言われなくても周りがみんなしていれば否応なくせざるを得ません。そして批判的思考力も低いため、上(権威)から言われたことを盲目的に信じがちです。もちろん新型コロナの感染に関しては、この日本人の国民性が大きなアドバンテージになったのは言うまでもありません。そしてそのことを2年前に記念すべきnote初投稿で書いてました。(「スキ」の数がたった2なのが愛らしい笑)

世界の「称賛」を日本人は何も知らない

中国の武漢で新型コロナウィルスが発生し、ほどなくして日本では「ダイアモンド・プリンセス号」が横浜港に到着。感染拡大防止のため、乗客らが船内に留まらなければいけないという事態が2020年2月ごろに起きていました。

私はその時仕事でアメリカとカナダにいたのですが、現地のニュースで連日ダイアモンド・プリンセス号と日本政府の対応について扱かわれており、その多くは批判的なものでした。異国の地で自分の国のことが悪く言われていることに少なからず嫌な思いをしましたが、その時アメリカ国民たちはまさか自分の国で次元が違うパンデミックが起きることなど考えていなかったでしょう。ふたを開けてみれば日本人のコロナ対応は世界に称賛をされるものでした。

その称賛に値する行動とは、我々にとってはどれも日常的で当たり前のことである「マスク着用」「手洗い・うがい」「他人を思いやって行動する」ということでした。

これをお読みの皆さんは「?」と疑問符が浮かんでいるかもしれませんが、「手洗い・うがい」をすることが日常的ではない国はたくさんあるのです。(著者の住んでいるイギリスもそうです)

衛生管理に関して言えば、イギリスやアメリカは日本にかなり劣ります。普段から食事の前に手を洗う習慣はないですし、学校は土足で、靴を履いたまま歩き回ったカーペットの上で幼稚園児が座ったり、寝っ転がったりします。電車やバスにゴミや食べ残しがあるのも珍しくありません。

ヨーロッパでは学校で公衆衛生やウィルス、ばい菌などに関してもあまり教えません。日本では保育園、幼稚園、小学校などで手洗いうがいなどを徹底されますが、ヨーロッパではこれは家庭教育の問題とされます。また、ヨーロッパの学校には保健室がないことも多く、健康診断も行いません。(ふと今、オーストラリアの学校で働いているときに小学校低学年の子たちが「シラミ」が頭にいるかどうかをチェックされていたことを思い出しました。暑い国ならではだと思いましたが、オーストラリアは公衆衛生の教育がしっかりしているのか・・・。多分そんなことないと思うのですが笑)

日本では保護者だけではなく、政府や自治体、教育関係者らの健康に対する意識の高さが非常に顕著です。一方、著者はイギリスに住んでいて、イギリス人の健康に対する興味関心の低さを感じていると書いていますが、私が住んでいた時は「ベジタリアン」の多さに驚いたことがあり、「健康に対する意識が高いなー」なんて思ってました。今思えば、あれはみんなダイエットのためだったのかもしれません(笑)

欧米で感染爆発が起きている間、日本では感染者数も志望者数も圧倒的に少なかったため、世界中が日本の公衆衛生や安全管理に注目をし、結果大きな称賛を得たのでした。

世界の「自己チュー」を日本人は何も知らない

コロナに関連して、各国では感染者の追跡アプリが開発されました。これは日本も同様なのですが、イギリスも政府が肝いりで開発したアプリがあったのですが、開発開始から3か月後に「うまくいかなかったんでやっぱりやめます」といって突如打ち切りました。結果国民の税金を無駄遣いしたわけですが、政府はこのことに対して一切言及しようとはしませんでした。

一般論ですが、アメリカやイギリスでは、自分を正当化し、他人に責任を押し付けることがよくあると言います。謝罪をする、責任を取る、腹をくくると言った日本では当たり前の対応がありません。謝罪をすることでさらに自分の立場を悪くしたり、裁判で争うときに不利な条件となるからなど様々な理由が考えられますが、著者に言わせると単に「わがままで自己チュー」だから、ということです。

欧米では、人の言うことを聞かない人が多くいます。言い換えると、ルールを守らない人も多いということです。

仕事においては与えられたタスクをきちんと行い、間違いや不正がないようにすることはとても重要で、そのためのルールも多く存在します。ただ、ルールを破る人が多いので、抜き打ちの監査などを定期的に行い、監視をする仕組みを作らなければなりません。そういうルールを作る仕事や、監査をする仕事、誰が何をやっているか文書やシステムに起こして記録をする仕事が欧米では無数にあり、いずれも給料が高いそうです。(人に恨まれる仕事は高待遇ということでしょう)

ちなみに私の敬愛するnoteフレンド「世界の普通から」さんは元監査人だったと記憶しています。

新型コロナが蔓延した理由はこのよく言えば「個人主義」、悪く言えば「わがまま」な欧米人の特徴が大きく関係しています。政府にどれだけ「マスク着用!」と言われても、そんなのおかまいなしな人が多く存在します。自分の行動が社会にどう影響を与えるかを考えない人も多くいます。「個人主義」と言ってしまえばそれまでですが、サステイナブルな社会でないことは間違いないです。

一方で、当然のことですが、各国において自国の政府や国民に対して失望している人も多く存在します。我々にとっては当たり前である「他人に配慮できる」ことは、実は高度な文化で、欧米礼賛的な日本人にとっては意外かもしれませんが、彼らがうらやむような素晴らしい文化を我々は持っているのです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。次回に続きます。


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