【散文】笑っている君が好き
元々、歯並びが悪かったけれど私はクラスでは人気者で小学生時代も無敵だった。けれど、小さな町に大きな歯医者ができてそこの息子が転校生としてやってきてから世界は暗転した。
学級委員をやっていた私は転校生に学校の場所を案内するよう先生に言われたので、トイレや理科室、体育館、音楽室など走ってまわっていった。
最後に教室に戻ってきたとき彼が笑顔で言った。
「とてもわかりやすかった。ありがとう! ところで気になっていたのだけど、どうしてかわいいのに歯を治さないの?」
「え……」
私にはそ