【散文】運命や恋など知らない。
私は派遣社員で働く事務員だった。
人間関係で面倒になってきたら転職をする、を繰り返している。
なので、親しい人もいない。
何度目かわからなくなった転職先で知り合ったのが今の夫である。年齢は10歳年上であった。
一応、指輪はしている。そうすることで「結婚しているのですか」という質問を受けずに済むからだった。
実は一度、指輪をなくしてしまったことがあったけれど職場の人全員が探してくれたことがあった。そのときは内心「どうでもいいのにな」と考えていたのだけど、必死に探すフリをしていた