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Q 18. 宗教2世問題が話題になっていますが、エホバの証人も2世問題がありますか?あるとすれば、どのような問題がありますか?

A.
エホバの証人2世問題は、かなり深刻な問題となっており、テレビの報道でも取り上げられています。またインターネットでは、海外のエホバの証人の事例が挙げられています。筆者の所にも元エホバの証人2世の相談の連絡がよくあります。
では、どのような問題があるのでしょうか?

①「愛の懲らしめ」という名の虐待

 一番多い相談は、子どもの頃にエホバの証人である親から虐待を受けたというものです。もちろん親は「虐待ではなく懲らしめである」と言うでしょう。「子供が正しい人間となるために、善悪を判断できるように、子育ての一環として行なった」と言うでしょう。しかし子供の側からすれば、それは虐待であり、大人になってからも心の傷となっているのです。親は「愛の懲らしめ」という名のもとに子どもたちの心を傷つけてきたのです。彼らは聖書の箴言13章24節の言葉「むちを控える者は自分の子を憎む者。子を愛する者は努めてこれを懲らしめる」をもとに子どもが小さい時から「むち」をもって懲らしめるのです。この聖句を彼らはどのように適用したのでしょうか?子供を懲らしめることがなぜ問題となったのでしょうか?それは彼らの「むち」の理解と実際的な方法が問題となるのです。

Qoo氏のTwitterより

筆者が経験してきた事例(1970年代前後)に基づいて言うなら、子どもを懲らしめる時、最初は「布団たたき」でお尻を叩かれました。しばらくして「布団たたき」は、お尻の骨を傷つける可能性がある、また聖書には「むち」と書かれているから硬い棒のようなものではなく、縄のようなものが良いということで「ベルト」になりました。当時はベルトの穴には金具がついていましたが、それは皮膚を傷つけることになるので金具のついていないベルトが良いと述べていました。その後、ベルトでたたくと「音が出ることは良くない」と言う事と「悪いこと」を痛みをもって子供にわからせるためにガスホースのほうが良い、しかも長さは30cm位が良いということが言われていました。おそらくそれは組織の見解ではなかったかもしれませんが、会衆の中ではそのように言われ、筆者の母親はそのように指導を受けたのです。子供を懲らしめることに、これ程、執着すること自体、問題であります。その昔、広島でエホバの証人の子どもが懲らしめを受けて死に至った事件もおきました。このように多くのエホバの証人2世たちは、子どもの頃の「愛の懲らしめ」という名の虐待のために心に傷を負っているのです。

「昼寝するぶた」なぜ2世はムチなんだ?中編 より

②児童性的虐待

 エホバの証人の子供の中には「性的虐待を受けた」、しかも長年にわたって受けてきた者もいます。その多くは海外のエホバの証人の事例です。(日本ではあまり聞きませんが、隠蔽されているかもしれません)
組織はよく、キリスト教会の中で子供たちの性的虐待があることを記事に掲載しますが、エホバの証人の組織の中にもその問題はよくあるのです。最近の事例(2012年の6月、カルフォルニア州の最高裁)では、男性信者が会衆内の女の子に対して長年にわたり性的虐待を行なっていたことが罪に問われ、裁判において高額な賠償金(280万ドル(約22億円)(犯罪者と組織の両方合わせて)の支払い命令が下りました。事件を隠蔽しようとした教団側の責任も問われたため、ものみの塔協会には賠償金の40パーセント(約8億8000万円)の支払いが命じられ、二年間の資産凍結も言い渡されました。
(キャンディス・コンティーという元エホバの証人の女性が、加害者の男性信者を性的虐待の罪で訴えた裁判)
インターネットに出ています
 このような大事件がありましたが、これらは氷山の一角
にすぎないかもしれません。世界中でこのような事件が起
きて裁判にもなっています。

③マインドコントロールによる精神障害

エホバ証人2世は、この世はサタンが支配しているからすべて悪であるということを幼い時から教え込まれています。それは二元論に基づく思考で、神か悪魔(サタン)か、善か悪かという思考でいつも判断しなければなりません。
組織が述べることは、すべて神の教えで善であるゆえにこの世のものはすべて悪になるのです。この思考パターンは元エホバの証人2世信者を悩ませています。

(1) 社会通念の欠如
 「この世はサタンである」という教えのゆえに、エホバの証人2世は、人間としての基本的な事や社会の常識や社会の基本的な事が欠如していることが多いのです。
(すべてのエホバの証人がとは言いませんが・・・)
普通の子どもは大人へと成長していく中、様々な人々との関わりの中で学んでいくものです。そこには人との関わりにおいて失敗することがあるかもしれませんが、その失敗を通して学んでいくのです。しかしエホバの証人の子どもたちは、できるだけこの世のとの関わりをもたないようにして大人なっていくのです。世の中の常識や人間性、相手の気持ちなどに疎くなるのです。そして何よりもこの世は滅びる(彼らの終末論のハルマゲドン)、自分たちだけがハルマゲドンを生き残るという教えから、今の世の中での希望を持たなくなってしまいます。ですから、大学進学をあきらめたり、良い就職したりしないで最低限の生活ができるような仕事を選ぶのです。そして布教活動に駆り立てられるのです。彼らは自らそのような人生を選んだと言いますが、それはマインドコントロールされているのです。最低限で生活しているので、物価上昇などで生活が苦しくなるエホバの証人も少なくありません。そのしわ寄せは2世信者にも及ぶのです。自然と組織から離れる2世信者も多くなっています。組織をやめた後、若い時代に人間性を養うことができていない2世信者は、人と上手に付き合うことができず、孤独感を味わい、社会から孤立している人も多くいます。すべての2世信者ではありませんが、社会通念の欠如のために人間関係に苦しんでいるのです。

(2) 意思決定の欠如
 エホバの証人の組織は、エホバ神が用いている唯一の組織であり、神の代理人であるので絶対的存在なのです。神の組織なので、すべて正しいと教えられます。このようにマインドコントロールされるので、信者はすべて依存するようになり、自分で考えて決定することをしなくなります。いつも組織の目を伺い、組織の見解を求めるのです。これ自体がマインドコントロールされているということに気づいていないのです。元2世信者は、この点においても苦しんでいます。組織をやめて、自分の人生を歩んでいこうとしますが、人生の中で大切なこと(進学、就職、異性との交際、結婚等)を決める時、自分で決めることができない2世信者がいます。それは長い間、組織がすべてを決め、それに従ってきた(依存してきた)からです。組織をやめて自由になっても、このような精神的な障害を負っているのです。組織をやめ、自分の人生を自由に生きることができるのですが、この世の中にも戻ることができず、中途半端な人生となっているのです。このゆえに精神的に病んでしまうのです。

(3) 恐怖心による支配

 エホバの証人の子どもたちは、小さい時から守らなければならない戒律がたくさんあります。確かにそれを守ることにより様々な悪や危険なことから守られる、より良い人間となれるというものもあります。しかし、あくまでもその基準は組織が決めたものなのです。その戒律を守ればエホバに喜ばれ、破ればエホバに裁かれる(実際には組織に裁かれる)と教えられ、いつも親からの監視の目を気にしながら生活をしなければならないのです。その戒律には、驚くようなものもあります。例えば、「平和を愛する者とならなければならない」ということから戦争に反対します。その考えは正しいことです。しかしそこから戦争に反対なら、戦うことを学んではいけないとなります。ですから、彼らは兵役を拒否します。エホバの証人以外の人でも、このような立場を取る人がいるでしょう。しかし組織は「戦うことを学ばない」ということから、戦うスポーツを避けることまで要求するのです。ボクシングや柔道、剣道、更には相撲。そして「運動会の騎馬戦もしてはいけない」と言われた元エホバの証人2世もいます。普通に考えれば、おかしなことですが、これらを守らなければ聖書の教えに従っていないことになり、罪を犯したように扱われるのです。エホバの証人の子どもたちは、エホバ神から裁かれる(実際は組織から、または親からの懲らしめを受ける)という恐怖感を持つようになるのです。子供たちはいつもこのような恐怖感で縛られているのです。
 更に組織から脱会することを考える時でも、「組織をやめれば滅ぼされる、ハルマゲドンで裁かれる」という恐怖を抱いてしまうのです。言わば、組織がノアの箱舟のようになっており、その中にいれば神の裁きを免れ、助け出されるが、そこから出るなら滅ぼされてしまうという恐怖を植え付けられているのです。筆者も組織をやめる時、組織の誤りを頭では理解していましたが、心情的には恐怖感を抱いたことを思い起こします。やめた後、しばらくはその恐怖によって精神的に病んだ期間がありました。それこそ、マインドコントロールされている証拠でしょう。筆者の母親も間違いを聞きましたが、組織をやめることができませんでした。それは「組織をやめれば滅ぼされる」という恐怖に耐えることができなかったのです。精神的に病んで寝込んでしまいました。その間に、組織にもどされてしまったのです。このようなことになること自体、恐怖心によるマインドコントロールということが言えるのです。
元エホバの証人2世もそのような恐怖心によって悩まされ
ているのです。

④ 親子関係の不和
 エホバの証人の子どもたちは、様々な困難や我慢を強いられてきたゆえに、親に対して恨みや悪い思いをもっています。また親の愛情を受けてこなかったと感じている人もいます。(親は愛情を注いできたと思っている)しかしそのような2世の子どもたちも、本音は親と仲良くしたい、普通の親子関係を築きたいと思っている元2世もいるのです。親がエホバの証人を辞めるわけでもなく、また組織から離れた者との交わりを禁止する(親子関係の場合、一応、普通の会話はできるが信仰の話は禁止されている)組織の命令を守るゆえに、親子関係はなかなか改善できないのが実情なのです。元エホバの証人2世の親子関係の不和も深刻な問題と言えるでしょう。
 今回、エホバの証人2世問題として4つの点を挙げました。しかし問題はもっとたくさんあります。どれも深刻な問題です。これらの問題が解決されることをお祈りしています。信教の自由は保障されるべきですが、その根底には、すべての人が幸せになることがあります。また真の神様は人が幸せになることを望んでいます。
 エホバの証人の方々、組織を離れた元エホバの証人2世の方にも愛をもって接して下さい。人としての常識をもって接してください。あなたの隣人として愛を示してください。神様の豊かな恵みと祝福がエホバの証人の方々の上にありますようお祈りしています。

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