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書評 『お父さんのラッパばなし』(作 瀬田貞二 ・ 絵堀内誠一 ・ 福音館書店)

書評 『お父さんのラッパばなし』(作 瀬田貞二 ・ 絵堀内誠一 ・ 福音館書店)

「お父さんのラッパばなし」(作・瀬田貞二、絵・堀内誠一、福音館書店)
 40歳のお父さんは、いつも子ども達にせがまれて、ラッパ(ほら)話をします。子ども達は、お父さんのラッパが大好き。この本のなかには、お父さんが子ども達に話しながらふくらませていった、ゆかいな1...4のお話がつまっています。
 私も娘にお話をします。こう言うと、たいてい「いいお父さんですね」とほめられます。でも、実は、自分が一番

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書評 『紙の動物園』
ケン・リュウ作
古沢嘉通=編・訳 (早川書房)

書評 『紙の動物園』 ケン・リュウ作 古沢嘉通=編・訳 (早川書房)

『紙の動物園』ケン・リュウ作古沢嘉通=編・訳 (早川書房)

 私は幼い時、父によく絵を描いてもらいました。その時描いてもらった絵のいくつかは、今でも鮮明に思い出すことができます。父の絵は、もしかしたらそれほど上手くなかったのかもしれません。ですが、それは、ほかの誰が描いたものよりも素晴らしく見え、私の宝物でした。
 後年、自分が親になってから、娘にたくさん絵を描いてあげました。私は絵を描くのには

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書評 『ムーミンパパの思い出』
トーベ・ヤンソン 作 ・小野寺百合子訳

(講談社青い鳥文庫)

書評 『ムーミンパパの思い出』 トーベ・ヤンソン 作 ・小野寺百合子訳 (講談社青い鳥文庫)



...
 「お父さん、子どもの時のお話、してー。」
と、娘によく、せがまれます。
話すほどの出来事もないし、面倒だなあと思うのですが、仕方なく子どもの頃のことをあれこれと思い出してみます。すると、話すことが案外たくさんあるのです。心霊写真を撮ろうと、おばけ屋敷とよばれる廃屋に何度もいったこと。UFOや妖精を探しまわったこと。子どもの頃の日々が、冒険でいっぱいだったことに気づかされます。思い出せ

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書評 パパの電話を待ちながら」(講談社文庫)

書評 パパの電話を待ちながら」(講談社文庫)

ジャンニ・ロダーリ著、内田洋子訳、「パパの電話を待ちながら」(講談社文庫)

この本は、セールスマンのビアンキさんが、自分の幼い娘のためにつくったお話を集めたものです。
ビアンキさんは、7日間のうち6日間出張している忙しいセールスマンですが、毎晩9時になると、どこにいたって必ず電話をかけて、娘にお話をしてあげます。今日はどんなお話を聞けるのかと、女の子は毎日わくわくしながら成長していったことでしょ

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書評 『ふしぎなオルガン』 リヒャルト・レアンダー作,国松孝二訳

書評 『ふしぎなオルガン』 リヒャルト・レアンダー作,国松孝二訳

リヒャルト・レアンダー作,国松孝二訳の
「ふしぎなオルガン」(岩波少年文庫,1952年初版,2010年新版発行)です。
これは,今から150年ほど前に,ドイツのお父さんが子どもたちのために書いたお話です。
1870年,独仏戦争に軍医として従軍したお父さんが,戦地から...書き送りました。
 人が幸せに生きるとはどういうことか、20のお話のなかにお父さんの思いが込められています。
 たとえば,もし

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書評 レオポルド・ショヴォー作、出口裕弘訳、「年をとったワニの話」 (福音館文庫)

書評 レオポルド・ショヴォー作、出口裕弘訳、「年をとったワニの話」 (福音館文庫)

レオポルド・ショヴォー作、出口裕弘訳、「年をとったワニの話」 (福音館文庫)

これは、作家のお父さんショヴォー氏が息子のルノー君のために作ったお話集です。
子どもにせがまれてお話を作っていくうちに、お父さんがどんどん想像力を刺激されていくのがわかります。
自分が...、子どもにどんなお話をしたのか、そしてお返しに、子どもはどんなお話をしてくれたのか。記録しておくことはとても大切ですね。
ルノ

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