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5000人の女の子たちが教えてくれたこと〜ある男の合コン手記〜

年間200日以上、飲み会に費やして分かったこと

「誰かいい男(ひと)紹介して~」
「今度の飲み会、可愛い女(コ)来るかなぁ」

1日数回はこんな台詞を投げ掛けられていた頃を思い出す。と言うのも、当時周囲には±5歳の独身男女がわんさかいて、例外なく誰もが「気さくな集まりを通じて運命のロマンスが芽生えること」に大きな期待を寄せていた。

「あいつに頼めば誰かと繋がるかもしれない」「ひょっとしたらいい出逢いがあるかもしれない」。つまり「合コンサーバ」のような存在だったわけだ。

見るものすべてが材料となるような仕事に就く者にとっては、悪くはない役回りだった。心に残ったことはノートに忘れずに記しておけばいい。それに寂しい夜も、皆がいれば気が紛れることだってある。

こうして1年200日以上、夜は飲み会(合コン)に費やしたと思う。

まるで往年のイチローの年間安打数並みの偉業だ。こっちの方が本職かと錯覚してしまうほど、会社の仕事の合間にメールでの打診、やり取り、日時や店のブッキング、お得なメニュー設定などに気を遣った。金も使った。一晩平均1万近くとして年200万。これを数年繰り返したのだから、軽く1000万以上は確実に使った。

そして店での飲み会に飽きてくると、眺望の良い空間に住んでいる仲間のところでホームパーティを開いたり、昼下がりの公園でBBQパーティをしたり、夏はホテルのプールサイドを借り切って大規模なパーティを催し、大勢で愉しみを分かち合うようにもなった。

自然と酒や料理にも詳しくなり、男女の知り合いも増えた。話すことによって視野や知識が広がったり、人の数だけ異なる苦悩があることも知った。常連店のオーナーと気さくに微笑み合うこともあれば、飲み会が縁で大きな仕事を得たこともあった。

運命のロマンスも宝クジ的確率で奇跡的に訪れることもあり、結婚して子供を授かって家庭を築く者もいれば、その後すれ違って離婚したり、何年も付き合ったのに破局してしまったカップルもいる。それでも運命の相手と出逢ったと感じた時の、あのうっとりとするような夜の時間を忘れたことはない。

多くの見知らぬ人と出逢う機会があるのだから、毎回愉快なことばかり起こってはくれない。「恋愛裁判所」の弁護士、「恋愛株式市場」の証券アナリストとして、他人の相談事やクレーム処理に追われたこともある。

調子に乗り過ぎて勘違いされた夜。余計な言動で相手に不快感を与えてしまった夜。金持ちでないという理由だけで屈辱を受けた夜。死に金を使って損失を受け入れた愚かな夜

そんないくつもの虚しい夜を乗り越えて来た自負がある。非情な人間になれなかった誇りがある。こうした飲み会(合コン)を入口にした経験や成長は、「人間力」とか「美学」というジャンルを叩き込んでくれた気がする。

同じ場を共有した異性の数は約5000人。ノートに書き連ねてきたメモの量も膨大になった。机上でやっつけたマーケティングの悪臭がするハウツー記事より、経験で物事を語る方がよっぽど人の役に立つし、唯一無比の価値がある。

これから並べることは、お金(血)と時間(汗)と健康(涙)を使いまくり、時には精神まで抵当に入れた男たち(一部女たち)によるリアルな語録集だ。

まずは恐るべき女たちとの遭遇!!

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「飲み会で決められたコースメニュー以外のアラカルトを好き勝手に頼む」
「“ありがとう”“ごちそうさま”がなくて残念」

ルールを無視すると参加者全員に迷惑を掛けるということまで気遣いができない。負担額が大きくなって幹事は仲間に対して大変申し訳ない気持ちになってしまう。また、会計時にそれまでの破天荒な振る舞いが嘘のように存在感を無にするのも特徴。男が支払って当たり前だと思っているので、お礼の言葉さえ一切なし。「おいくらですか?」と丁寧に財布を出してくる女の子に、大人の男は1円たりとも払わせる気はないというのに。

「人の家をその辺の店だと思ってる。出入り自由だと思ってる」

ホームパーティでの動きでその人物の育ちがよく分かると言われる。片付けや手伝いも何もしない。飲み物を店員に向ける感覚で家主にオーダーしてくる。こういうのが混じってる場合は「恥を知れ」と冷たい視線を浴びせよう。タワーマンションの場合、途中で抜け出して別の知り合いがいる部屋のパーティを覗きに行く無礼極まりないのもいる。最悪の場合、部屋の私物がなくなることもあるので要注意。

「ディズニーアニメの世界と縁切れできていないタイプはやめたほうがいい」
「結婚すると今の生活を180℃華やかに変えられると思ってる」
「いつまでも自分のバースデーパーティをやっている」

それはつまり、非現実な夢を見続ける姫体質、依存体質を意味する。自分の欲望を満たすことしか能がなく、ワガママな幼児と同じで要求ばかりしてくる。何でも思い通りにはいかない社会生活でのトレーニングが欠如しているのだ。

「TVで見掛けるゴージャスなタレントを本当のセレブだと思ってる」

ナントカ姉妹などに代表されるバーチャルな世界の金持ちしか知らない。それが演出/キャラ作りであることが分からずに、振る舞いや考えが本当にカッコイイと思ってしまっている。身近な環境でそれをやるようになる。

「身分不相応な持ち物が怪しいほどある」
「会う時に必ずその後の用事を作っている」

誰かが買え与えている。誰かが背後にいる。

「人の悪口とか文句ばっか言ってる」

将来は確実にクレイマーかモンスターになる。

「物事や話をいつの間にかすり替えている」
「突然、音信不通になった」
「会話のキャッチボールが不能」

向こうに頼まれたことなのに、いつの間にかこちらがお願いしたことになっている。何の説明もなくやりとりが途絶えるなど、違和感や不可解さを感じたら,連絡せず・応答せず・延命措置はせずのタフな対応で。一人の相手と深く向き合ったことがないので、自分にしか心が向いていない可能性が高く、関わってもトラブルしか生じない。

「過去の異性関係を異常に気にするような相手は正直厳しい」

人にはいろんな経緯や事情という「過去」を乗り越えたうえでの「現在」がある。そんな「過去」があったからこそ、成長した二人は何かの縁があってめぐり逢えたはず。だから相手の「過去」を尊重しないのは、二人の関係を否定するのと同じ。自分の存在を消すことに等しい。これは男女関係なく言えること。

次は男たちの怒濤の名言の数々!!

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「飲み会(合コン)に過剰な期待は禁物」

メンツが瞬時に分かる飲み会では、全員が相思相愛なんてことは奇跡的レベル。5000人の女の子のうち、好みのルックスと性格を併せ持つ「この子だ!」と思えたのは5人程度。0.1%の確率が現実。飲み会(合コン)は性風俗でもキャバクラでもない。いくらタイプでない子たちの集まりであっても、投げやりになったガキのような失礼な言動だけは慎もう。因果応報という諺をいつも心の片隅に。

「毎日はロマンチックコメディのようにはいかない」
「楽しいことにもっと敏感になろう」
「女の子がいるから人生は楽しくなる」

人生は苦さを知ることによって、甘さが分かるようになる。そして辛いことに敏感になることより、もっとたくさんの小さなハッピーに歓喜しよう。自分を優しい気持ちにしてくれる女の子が見つかったら心から感謝しよう。

「金がないからと言って劣等感を抱く必要はない」
「金があるからと言って驕慢になってはならない」

人として基本中の基本。その瞬間を楽しめる心こそが本当の財産であり豊かさだ。

「あんな女と寝てたまるか的な信念、強い心をしっかり持ちたい」

TOKYOに生息するすべての男たちに捧げる。日本をまともにするキーワードの一つだと思う。いくら見た目が綺麗で何とかしたいと思っても、心が醜い女のご機嫌を取り続ける必要はない。

「いい女って一体どこにいるんだ? 」

これは男同士の集まりでよく出る話の一つ。結論から言うと、君のための女の子は夜の繁華街をうろついたりはしない。その時間は家にいるか、習い事の教室にいるか、残業しているか。そういう子たちと想い出を共有しよう。類似語に「サーファーは夜のクラブではなく早朝の海にいる」

「カジキは沖にいる」
「ジャングルで毒蛇に噛まれる奴は2番目に歩いてる奴」

カジキは穏やかな浅瀬にはいない。それなりの装備と覚悟を持って荒波に挑もう。また、毒蛇は1番目で戦闘態勢に入り、次に実行に移すと言われる。毒を持つ女にはくれぐれも噛み付かれないように注意しよう。

「自慢して口説いてくるより、自虐して和ませくれるのが大人の男だと思う」

分からなかったら関西の仲間に相談してみよう。

「正直、相手は恋愛対象には見ていない」

余りにも年齢差があり過ぎると、その関係によほどメリットや夢がないと継続しない。売れっ子/大物芸能人のパターンを持ち出してはならない。

「状況が変われば女も変わる」
「開かずの扉を叩き続けても何も起こらない」
「ダイエットの天敵は脂っこいオヤジ、しつこいガキ。でもスイートな男は別腹」

女心は気まぐれだ。約束してたのにドタキャンされたからと言って、それ以上追求・分析してはいけない。満腹でもやっぱり食べたくなるようなスイートな心を持ち合わせよう。

「世界3大無意味質問だな、それ」

「芸能人に例えると誰に似てるの?」「何か面白いことない?」「最近調子はどお?」のこと。ホント意味がない。

「一番の悲しみを共に乗り越え、一番の歓びを分かち合う。メリークリスマス」

ノートを取るきっかけになったのは、自由が丘のバス停の薄汚れた壁の落書きだった。

「心に決めた人が現れたら大きな愛で抱きしめろ!」

もう何も言うことはない。

*Graphic : TPDL

*このコラムはWebマガジン「TOKYOWISE」で発表したものに一部加筆しました。

流れ者/都市生活コラムニスト。自らの東京生活における経験やエピソードを次世代に伝えるために覚醒。書き留めた膨大なメモやノートを糧に、「東京をまともにする」という美学と信念を左胸に刻み込んで2015年より活動をスタート。寡作ですが、応援よろしくお願い致します。