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創業者のコントロール

ポール・グレアム(Paul Graham)が執筆したエッセー「Founder Control」の日本語訳になります。

2010年12月

私たちが出資したある人が VC(ベンチャーキャピタル)と今話をしていて、スタートアップの創業者がシリーズAラウンド後に取締役会のコントロールを保持するのはどのくらい一般的であるのか私に聞いてきた。彼は、VC がこのことはほとんど起こらないと言っていると言った。

10年前はそうだった。昔は、創業者がシリーズAを通じて取締役会のコントロールを保持することはほとんどなかった。従来のシリーズAの取締役会は、2人の創業者、2人の VC、1人の独立したメンバーで構成されていた。さらに最近では、レシピはしばしば、1人の創業者、1人の VC、1人の独立している人である。どちらの場合でも、創業者は過半数を失う。

しかし、いつもではない。マーク・ザッカーバーグはシリーズAを通して Facebook の取締役会のコントロールを保持し、今でもそうである。マーク・ピンクスも Zynga の取締役会のコントロールを保持している。しかし、これらはただの異常値なのか? シリーズAの後に創業者がコントロールを保持するのはどのくらい一般的なのか? 私は自分たちが出資した会社の中でいくつかの事例については聞いていたが、出資した会社の中にどのくらいあるのか分からなかったので、Yコンビネーターの創業者リストにメールを送った。

返信は私を驚かせた。私たちが出資した数十社では、創業者たちはシリーズAの後も取締役会の席の過半数を占めていた。

私は自分たちが転換点にいるように感じた。多くの VC は、取締役会のコントロールを保持している創業者は前代未聞であるかのようにまだ振る舞う。彼らの多くは、あなたが頼んだとしても、まるであなたがそのようなことを望む初心者やコントロール異常者であるかのように、あなたの気分を悪くさせようとする。しかし、私が連絡をもらった創業者は初心者でもコントロール異常者でもない。そうでなければ、もし彼らがそうである場合、彼らはVCがもっと出資しようとすべきマーク・ザッカーバーグのように初心者でコントロール異常者なタイプである。

シリーズAの後にコントロールを保持している創業者は明らかに聞いたことがない。そして、金融危機がなければ、来年にはこのことが基準になると思う。

会社のコントロールは、単純に取締役会で相手方より多数の票を得て勝つことよりも複雑な問題である。投資家は通常、取締役の席数に関係なく、会社を売るような特定の大きな決定に対する拒否権を得ている。そして、取締役会の投票はめったに分かれない。問題は投票自体ではなく、投票前の議論の中で決まり、これは通常満場一致である。しかし、そのような議論で意見が分かれたら、投票で負けることになることを知る側はあまり屈しなくなる傾向があるだろう。実際には、これが取締役会のコントロールが意味するものである。あなたは単純に自分のやりたいことを何でもやれるようになるわけではない。取締役会は依然として株主の利益のために行動しなければならない。しかし、あなたが取締役会の席の過半数を持つ場合、株主の利益のためになるものに関するあなたの意見は通りやすくなるだろう。

だから、取締役会のコントロールは完全なコントロールではないが、想像上のものでもない。社内で物事をどう感じるかに必然的な違いがある。つまり、創業者がシリーズAの後に取締役会のコントロールを保持することが基準になると、スタートアップの世界全体で物事の感じ方が変わるだろう。

新しい基準への切り替わりは驚くほど速いかもしれない。なぜなら、コントロールを保持することができるスタートアップは最高のスタートアップである傾向があるからである。彼らが、他のスタートアップと VC の両方のためのトレンドを作り出すスタートアップである。

VC がスタートアップと交渉するときに厳しい理由の多くは、彼らが打ち負かされたように見えるパートナーに戻ることが恥ずかしいからである。VCがタームシートに署名するとき、彼らは自分たちが得た良い条件を自慢したいと思っている。彼らの多くは創業者が取締役会のコントロールを保持するかどうかに関して、あまり個人的に気にしていない。彼らは自分たちが譲歩しなければならなかったように思われたくないだけである。つまり、創業者にコントロールを保持させることが譲歩として認識されなくなったら、創業者にコントロールを保持させることは急速的により一般になるだろう。

VC に及んできた多くの変化のように、この変化は彼らが思うほど大きな問題にはならないだろう。VCは依然として説得することができ、強制することがただできなくなるだろう。そして、VC が強制を用いなければならないスタートアップは、どっちみち重要なものではない。VC は少しの大ヒットからほとんどのお金を稼ぎ、それらのスタートアップはそうではない。

創業者が取締役会のコントロールを保持するつもりであることを知ることは、VC がより良く選択することにさえ役立つかもしれない。VC は自分たちが創業者をクビにすることができないと知ったら、彼らは自分たちが信用することができる創業者を選ぶ必要があるだろう。そして、その創業者は最初から選んでいなければならなかった人である。

この記事のドラフトを読んでくれた Sam Altman、John Bautista、トレバー・ブラックウェル、ポール・ブックハイト、ブライアン・チェスキー、Bill Clerico、パトリック・コリソン、Adam Goldstein、James Lindenbaum、ジェシカ・リビングストン、フレッド・ウィルソンに感謝する。


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