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稼げる発明者になるには ~社員編~

どうせなら、特許を出して発明者として稼ぎたいですよね。

私が、効率的に稼ぐ技を伝えます!

ただ、

特許の稼ぎ方は、あなたが「企業に勤めている社員」か「企業に属さない個人」かによって、大きく変わります。


今回は、あなたが「企業に勤めている社員」で稼ぐケースで解説します。


大きく分けると、以下の4つのステップで検討することになります。

  1. 社内の職務発明規定を確認する

  2. 職務発明規定に応じた戦略を考える

  3. 社内の知財部員に気に入られる

  4. 特許出願をした後の行動

先ずは、

1.社内の職務発明規定を確認する

ここから始まります。
職務発明規定とは、あなたが会社員として発明をした場合、どのような扱いをするか、企業と社員であるあなたと取り交わしている約束です。

この「職務発明規定」に、あなたの発明に対する対価が記載されています。
この規定が、探しても存在し無い場合は、社内の法務・知財部門に確認しましょう。

特許庁で例示されているサンプルの職務発明規定のリンクを張ります。

(相当の利益)
第7条 会社は、第4条の規定により職務発明について特許を受ける権利を取得したときは、発明者に対し次の各号に掲げる相当の利益を支払うものとす る。ただし、発明者が複数あるときは、会社は、各発明者の寄与率に応じて按分した金額を支払う。
一 出願時支払金 ○円
二 登録時支払金 ○円
(*1 第7条第1項はあくまで一例であり、必ず出願時支払金や登録時支払金という形で相当の利益を与えなければいけないということではない。 これ以外の相当の利益の付与方法として、例えば、職務発明に係る実施品の売上げやライセンス料収入に応じて、いわゆる実績補償を行うことも可能である。
例1:会社は、利益発生時支払金として、職務発明に係る実施品の年間売上高のうち○%を当該職務発明の発明者に支払う。
例2:会社は、職務発明に係る実施品の年間利益が○円を超えたときは、 当該職務発明の発明者に対し、○円を支払う。
*2 金銭以外の相当の利益として、海外留学の機会の付与、ストックオプシ ョンの付与、特別有給休暇の付与等の措置を執ることも可能である。)

特許庁のサンプルの抜粋

何か小難しい文章で書いてあって面倒くさいですが、しっかり読みましょう。
ここの記載であなたの社内の発明者としての戦略が変わりますので。

だいたい、4つのパターンの対価設計がされていることが多いです。

①特許出願時に報酬が支払われる
②特許登録時に報酬が支払われる
③登録した特許を実際に商品に実装させ、その商品が売れた場合に報酬が支払われる
④登録した特許を使って他社にライセンスを行う

また、この4つの対価の大小関係は、一般的に

①<②(<③)、(④?)

です。
※特許出願するだけなら、簡単ですから①は一番安いですね。特許査定(登録)を得られない特許に価値は全くないので、この段階で報酬が多い企業は稀です。
※登録になると、出願に比べると結構な対価を支払う企業がちらほら出てきます。

③と④については、正直、未知数です。
③は売り上げ分のX%になることが多く、上手く行けば大化けします。ただし、③は商品に特許が実装されなければ0円ですし、全く売れない商品だったら微々たる対価しかもられません

④の方も、かなり難しいです。知財部員をやっていて、この④の報酬をもらっている発明者は、めちゃくちゃ少ないです特許のライセンスは、そんな簡単に結べません。侵害を立証し、「金払わないと裁判するけど良い?差し止め請求するよ!」というくらいに、ごりごりの交渉を他社としてやっとライセンス契約の締結に至ります。上手く行けば、おそらく①と②よりは、報酬が高くはなると思います。

③と④については、必ずもらえるものではなくなってきます。期待値的な考えて行くと、④は極めて低い値です。③は、あなたが、商品の開発の重要な責任者であれば、搭載することは比較的たやすいので、期待値でいっても高いのではないでしょうか。

2.職務発明規定に応じた戦略を考える

さて、職務発明規定を確認しましたか?

もし、①や②の対価が高いのであれば、発明をバンバンしましょう!

もし、①と②の対価が低いのであれば、「転職」するか、「社内の違う仕事で評価を得る」方が良いでしょう。

③と④の対価が高いならこれも狙いたいところです。
しかし、現実にこの対価を得るのは難しい。しかし、ここも社内のロビー活動によって、対価を得る確率を上げることができます。

③であれば、「商品にあなたの特許技術を実装させる」ことが大事ですので、社内の商品企画や開発企画の管理者にアピールしてみましょう。
④であれば、「他社があなたの特許を侵害する」ことが大事ですので、侵害していそうな商品情報を調べて、その情報を知財部員に知らせることが大事になります。

3.社内の知財部員に気に入られる

会社内の知的財産権の取り扱いの決定権を有しているのは、知財部員ですので、ここを攻略しないといけません!

どんなに良い発明をしたと、発明者であるあなたが思っても、知財部員が良いと思わなかったら、特許出願しません!

ビジネスにおいて、「入口」と「出口」を想定して行動するのは基本です。
社内発明における「入口」は、知財部員であり
「出口」は、権利活用(商品実装、ライセンス)です

知財部員が好きな発明の要件を簡単にいうと

(1)特許性(特許査定を取れる)がある
(2)自社または他社で実施される想像がつく
(3)重要な課題(利用シーン)に対する解決手段になっている

(1)は、当たり前ですよね。特許査定を取れないアイディアに価値は0ですので、ちゃんと下調べをして、「従来技術」に対して「新しい部分」を説明できる状態にしてください。ここで嘘をつくと、終わりです。
知財部員は、社内の他の開発者と違って特別な特許検索ツールを使えることが多いので、正直、嘘をつかれても一瞬で見破れます

(2)は、自社の現在・将来にわたった動向を知財部員に伝えてください。現在だけではなく、将来も評価に含めたいので。競合商品の情報も可能な限り多くお伝えください。知財部員は、色んな技術・サービスの担当をしているので、一つ一つの業界情報はさほど持っていません。

(3)は、言葉で伝えるのは難しいのですが、その対象商品における「外せない機能」、「置き換えると大幅に不便になる」という部分の機能を支える発明という感じです。ベテランの知財部員や弁理士になればなるほど、

「良い特許とは、良い課題から来る」

という格言を言いたがります。

(1)~(3)を満たした発明を知財部員に説明したら、喜びます!

あと、特許出願という知財のお仕事以外にも、知財部員から時々依頼される自社商品が他社の特許を侵害しないかどうかの「抵触調査」の対応を快く対応して頂けると、知財部員からの印象値が上がり、気持ちの面で開発からくる発明案のサポートをしたいと思いますので、その辺りの日ごろの知財部員とのコミュニケーションを大事にして頂けたらと思います

4.特許出願をした後の行動

特許出願した後の、権利化(特許庁とのやり取り)自体は、知財部員・弁理士任せに、殆どの場合はなるでしょう。

しかし、各所で活躍する場面は残されています。

先ず、特許は出願後に、勝手に審査されません!
知らない人からするとどういうこと?
ですが、特許庁の出願費用は審査費用に比べて安いです。

特許出願費用は、14000円です。
これは、特許庁のデータベースにあなたの発明を受付ましたよという作業までの価格です。

特許になるまでの、中身の審査は、出願後の3年間の内に審査請求という手続きをしなければなりません。

審査請求費用は、138,000円+(請求項の数×4,000円)です。
10倍以上の価格になっているのが分かりますよね。

この金額を掛ける価値があるのかの証明を3年間の内は、発明者は考えなければなりません。そのため、社内での商品に実装される計画や他社で使われそうな可能性の証拠を集めましょう。
審査請求されなかったら、そこで終了です。特許査定もならないので、特許の報酬は、出願報酬だけで、その後の報酬が得られる可能性は0です。
当たり前ですよね、これだけのコスト負担を会社が代わりにしてくれるので、金も掛けていない会社員の立場で簡単には報酬は貰えません。

この関門を突破し、特許査定になった後も同じで、自社実施・他社実施の証拠を探し続けましょう!そうするとあなたの発明者として報酬は、上がってくることでしょう。

企業に務める社員が、特許で稼ぐための基礎理論としては、上記の通りになります。

発明の対価関係特許のコスト関係を理解すると、なるほどね。と思うことが増えると思います。

理解が深まったところで、先ずは、発明をしないと始まりませんので、毎日、ソウゾウリョクを働かして、「発明」して行きましょう!


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