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大学生が『瓦を使ったペットハウス』の広告をデザインした話

 上記の記事を一か月弱前に投稿しました。『大学生が老舗の瓦屋さんと産学連携で瓦を使った猫用ペットハウスを作った』という話です。ただし、値段がけっこう凄いことになった、というオチがあります。一番お手頃な製品でも4万弱...。それでも、販売開始後の売れ行きは当初の想定以上で、購入して頂いたお客様には大変感謝しています。ありがとうございます。

 さて、そんな訳で今回の記事では、上記の記事では説明できなかった、主に販促物周りの学生の動きをメインに据えた記事を書いていきたいと思います。2020年11月に行われたインターペット愛知*に向けて、PRデザインチームの学生はいろいろと苦労しながら準備を進めていたのですが、その当時の動きを順を追って紹介していきます。何かの参考になれば幸いです。

(*インターペット愛知:「人とペットのより良いライフスタイルを提案する」というコンセプトの下、それを実現するための製品、情報、サービスが集結する日本最大級のペット産業見本市)


スケジュール

 インターペット愛知(展示会)の詳しい事情については、前回の記事を参照して頂けると嬉しいのですが、簡単にまとめると以下の様になります。

プロダクトチームの学生がペットハウスデザイン案を6つ提案

6案全ての試作品を作り、展示会でお客様に人気投票をしてもらう

人気投票で上位3案の市販化が決定

 ...と、まあそんな感じです。これに加えてPRデザインチームの学生は、展示会の展示スペースのデザインや、当日配るパンフレット、そして会場で流すプロジェクトムービーなどを製作する必要がありました。
 当然、パネルやパンフレットは印刷会社に発注して刷ることになるので、データ入稿の納期までに間に合うように、事前にしっかりとスケジュールを組まねばなりません。

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 これに関しては、プロジェクト全体のリーダーである女子学生が、共有のスプレッドシートで全体のスケジュールを作成してくれたので、展示会まで特に大きなトラブルなく進行することが出来ました。

 特に今回は、展示会準備の為にチームをいくつかに分けて、それぞれが個別に準備を進める方針を取っていたので、周りの状況が視覚的に分かりやすい状況にしておかないと、横の連携が上手く機能しない可能性があります。

 例えば、写真の撮影・編集をメインに行うチームがあるのですが、パンフレット等で必要な写真データがあった時に、撮影チームの状況が分からないと、データ入稿までに必要な写真が揃わない、という事態に陥る可能性があります。そうなると、印刷会社へのデータ入稿後に、間に合っていない写真を差し替え用データとして後で送る事になってしまいます。

 ...と、例えばの話をしましたが、実はこれ全然例え話ではなく、実際にそうなってました。(これに関してはスケジュール管理ミスです...)
 ただ、95%くらいはスケジュール通りに製作が進行し、「展示会に間に合わない!」という一番まずい状況には幸いにも陥らなかったので、その点に関しては良かったなと思っています。また、この一件で、スケジュール管理の重要さを理解しました。(手塚治虫のアニメ地獄みたいにならなくてほんとに良かったです...。)


キービジュアル

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 スケジュールと少し順序が逆になるのですが、全体の販促物を作り始める前に、キービジュアルを考えておく必要がありました。

キービジュアル
ウェブサイトや紙媒体のパンフレットやカタログにおいて、メインになるイメージ画像のこと。伝えたいことが一目で伝わるように、ロゴやシンボルマーク、イメージフォト、キャッチコピーなどを組み合わせて作られる。
引用:キービジュアルとは|デザイン業界用語集|OCA⼤阪デザイン&ITテクノロジー専⾨学校

 これに関しては、前回の記事で説明をしているので、今回の記事では内容を省きます。興味がある方は前回の記事を見て頂けると嬉しいです。


パンフレット

パンフレット完成予想図20P版

 展示会の会場では、大学と企業が産学連携で行ってきた瓦猫プロジェクトと、展示品である試作品6案の紹介をする目的で、パンフレット(20P)の配布を行いました。当然、パンフレットのデザインは学生が担当しています。

 上記の画像は、パンフレット制作に取り掛かる前に、私が書いた完成予想図です。これを元に、各ページの簡単なラフを作成しました。それがコチラ。

仮パンフレットページ

 そして、このラフを元にして、実際のパンフレット製作を進めていきました。具体的には、まずコピー(文章)担当の学生に必要な文章を大まかに依頼し、デザインの作成と並行で作業を進めました。ただし、パンフレットデザイン担当の学生は当初2人しか居なかったので、プロダクトチームで、デザインが出来る学生に助っ人に来てもらい、なんとかスケジュールに間に合わせました。それがコチラ。

完成品のページ

完成品のページ2

完成品のページ3

 表・裏表紙合わせて全20P(上の画像はその中の6P)のパンフレットで、サイズはB5の正方形です。手に取って見てもらいやすいように、あまり大きくないサイズで作りました。また、展示会では殆どの出展ブースがパンフレットやリーフレットの配布を行っているので、大きさで差別化を図る意図もありました。

展示会

 そうして完成したパンフレットは展示会で配布を行い、多くの来場者の方々に受け取って頂けました。中には、パンフレット自体を学生がデザインした事に驚いている方も居ました。有難い限りです。
 最終的に、用意したパンフレット500部の殆どを配ることが出来たので、作った甲斐があって良かったです。沢山余ったらどうしようかと思いましたので...。


パネル

パネル

 瓦猫プロジェクトのブースでは、限られたスペース内でプロジェクトの概要を知ってもらえるように、特設のパネルを2枚設置しました。
 画像の左側にある縦に長いパネルでは、プロジェクトの歴史紹介を、そして奥にあるモニターパネルでは、Web人気投票フォームへの誘導を行っています。

 こちらの製作に関しては、パンフレットで利用した各種デザインデータを上手に活用して、ブース全体のコンポーネントに統一感を持たせる事に成功しました。

腰巻

 また、展示台などに巻く腰巻も作成しました。こちらはモノグラム柄をイメージしたデザインを施し、シックで上品な雰囲気を目指しました。


プロモーションムービー

 展示会に向けて、プロモーションムービーも製作しました。インターペット愛知の公式サイトで出店者の紹介動画として掲載されるものと、当日に展示会場でループで流し続ける動画の2本です。

 上記の動画は公式HPに掲載されたもので、製作には2週間程かかりました。実は展示会の主催側から「PVを公式HPに掲載しませんか?」と途中で連絡があり、それによって製作がスタートしたので、ここで少しスケジュール調整に手間取った...という裏話があります。結果的になんとか間に合ったので良かったです。

絵コンテ

 製作手順としては、最初に全体の絵コンテを作成し、その後撮影素材として足りない映像を追加撮影したのち、編集して完成、という流れになります。実際の製作作業は、PRデザインの学生で編成された撮影・編集チームが担当しました。傍から見ていて、慣れない作業に対して指導教授に色々とアドバイスを受けながら、なんとか食いついていこうとする姿が印象的でした。

撮影

 また、展示会ブースで流したPVでは、試作品6点の製作を行ったプロダクトチームの学生が出演し、自らの言葉でそれぞれの作品に込めた思いを語りました。尺の都合上、一人当たりの尺は15秒程度になるのですが、短い分何度か撮り直しを行い、完成度の高い映像を目指しました。

モニター

完成したプロモーションムービーは展示会場でループ上映しました。


展示会ブースデザイン

ブースレイアウト

 展示会のブースレイアウトも学生がデザインしました。用意されたスペースは2m×2mの角場所で、それなりに人通りも多い場所だったので、その中で最も多くの人の目に留まるスペースにするにはどうすれば良いかを考え、工夫を凝らしました。初めに紙面での企画書を作成し、指導教授によるアドバイスを受けながら精度を高めたのち、実際の製作に入る、という手順で製作しています。

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 また、このレイアウトデザインを担当したのは、プロダクトチームとPRデザインチームの両方に所属していた学生で、その強みを生かして3Dモデリングでのブースイメージも作成してくれました。これのお陰で、プロジェクトメンバー全体が完成イメージを共有することが出来たので、当日の設営準備もスムーズに進みました。とても感謝しています。

什器作業

 また、当日に試作品6点を展示する為の什器(棚)も、学生らが設計・製作しました。ただ、これに関しては反省点が一つあり、当日の搬入の事に関しての情報共有が上手く出来ておらず、実際に搬入可能か確認せずに作り始めてしまう、というミスがありました。一歩間違えれば使いどころのない棚を作っただけになりかねなかったので、この一件でホウ・レン・ソウの重要さを再認識しました。(結果的に会場に搬入出来たので良かったです...!)

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完成した什器にダンボール試作品を並べた時の様子

設営準備

ブース設営中の様子


まとめ

 今回の瓦猫プロジェクトに参加した学生は、以前にこのような産学連携プロジェクトに参加した経験が無く、今回が初めての経験になる学生が大半を占めていました。筆者である私もその内の一人で、プロジェクト開始当初は不安な心持ちで居たことをよく覚えています。

 しかしながら蓋を開けてみると、確かに苦労する事も多く、スケジュールに追われて焦る事もありましたが、なんとか最後までプロジェクトをやり切る事が出来ました。学生同士がフォローし合い、お互いを支え合う関係性があってこその成果であると思います。

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 そして、その成果である”瓦を使ったペットハウス”は、BASEの瓦猫公式ショップで絶賛発売中です。記事の冒頭でも触れましたが、有難い事に多くの方からご注文を頂いており、現在出荷が少し遅れる程の反響を受けています。また、ニュース番組等でも幾度か取材して頂き、瓦猫プロジェクトの取り組みを多くの方に知って頂く事ができました。本当に感謝しています。

 今後は、現在発売している『かまくら型のペットハウス』の他に、日本の伝統的な住宅をモチーフとした『じぶんち。」という製品と、ローテーブル型の『Tilely Cat』という製品を発売予定です。続報があり次第、またNoteで記事にする予定ですので、もし宜しければ当アカウントのフォロー等を宜しくお願いします。
 ついでに、記事の『いいね』もして頂けると嬉しいです。励みになります。よろしくお願いします。

 それでは。


↓前回の記事はコチラ↓


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