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『古事記ディサイファード』第一巻002

はじめに (2)

 地図を調べていると時空を超えた意志が確かに存在することが如実に判ってしまって愕然とする。
 地上を具に見つめていたつもりが突然空間がワープして遠い銀河のまばゆい光の中へ視点を飛ばされたような錯覚に目眩を覚えるのだ。
 特にそれは日本の地図において顕著である。
 筆者はこの島国、惑星、いや、ひいてはこの太陽系、銀河系、宇宙は神々によって作られたのだと考えている。*1
 更に、この日本という島国はこの地球上で最も特殊な意味を持つ場所であり、ある意味中心的な存在であるとも考えている。少なくとも特異な場所であることには疑いようがない。
 そしてこれには実体験と理論と計測と計算に基づく根拠がある。
 本書ではそれをハードエビデンスと地球物理学的な計算に基づいてできるだけ解りやすく証明しようと試みている。
 基本的には筆者が一九九八年の夏に既に完成させていた小説の原稿をベースに抜粋、加筆、再構成したものである。一度出版されたがまだ公表すべきではないと判断し、出版社の反対を押し切って著者自らの意志で強制的に絶版とし二十年間敢えて封印してきた小説の原稿が元になっている。
 そこから余分なものを全て取り去り、その後の新たな発見のごく一部を加筆して再構築してある。
 いや、そのつもりだった。
 ところが例によって抜粋を作っている過程でまたしても次々と新発見が降りてきて完全に旧著内容を凌駕してしまったのである。
 その拙著小説では名探偵のような登場人物達があり得ないような超人的名推理をして古事記の暗号を実際に解読してみせた。言ってみれば推理小説にありがちな読者を置いてきぼりにして一方的にぐいぐい引っ張っていく展開であった。
 しかし、本書ではいきなり一方的に解答を押しつける形は避け、問題解決プロセスをできる限り平滑化してみた。
 ひとつひとつ論理的に段階を追って読者の皆さんと一緒に巨大な謎を解いていくという教科書や問題集のようなスタイルを取っている。
 いわばワークブックである。
 その証明プロセスは古事記の暗号解読に基づく。
 しかし、必ずしもワークブックとして回答欄に律儀に書き込みながら進む必要はなく、回答欄はすっ飛ばしてただひたすら普通に次々と頁をめくりながら読み進めていただいても全く構わない。また、解るところだけ書き込んで解らないところは空白のまま進んでいただく中庸的な読み方も結構だろう。
 読み物として読むか、ワークブックとしてより能動的に参加するか、読者諸氏の選択にお任せしたい。
 いっそワークブック形式にしてしまおうという発想が浮かんだのは執筆が八割方進んだ時点で、回答欄は後付けなのである。

 ご存じのように古事記は七一二年に編纂された日本最古の史書ということになっている。
 だがそこには暗号が仕掛けられている。
 古事記の暗号というと何か難しい理屈ではないのか、あるいは非論理的で掴み所のない霊的あるいは神秘的な話ではないのか、などと勘違いされる方が多い。
 確かに古事記や神社や古代遺跡に関して既存の書籍やネットでは非論理的で不正確な情報がまことしやかに囁かれ続けてきた。
 残念ながら〈レイライン〉などと称して平面地図に定規で線を引いただけの調査方法による誤った情報が流布され鵜吞みにされてきて久しい。
 典型的な例では所謂〈近畿の六芒星〉というものについての情報を目にたことのある方も多いのではないだろうか。
 残念ながら十年ほど前に筆者が検証してみたところ、この所謂〈近畿の六芒星〉は実際には距離も角度も合わず、少なくとも本書の基準では到底成立しているとは言い難い。いずれ反証の動画を作ろうと思っている。
 おそらくこれを〈発見〉された方は平面地図に定規を当てただけで六芒星が成り立っているものと判断されたのだろう。
 時空を超えた意思によって作られているホンモノの神社・古代遺跡ネットワークを甘く見てはいけない。そんな不正確なものでも小規模なものでもないし、遠い過去に限定されるものでもないのである。レイラインというと超古代文明と結びつけて考える方が多いと思うが実はそうとは限らないことを本シリーズでは証明していく。
 既存のレイライン諸説とは一線を画する地球物理学的計算による明確な時空を超越した宇宙規模なハードエビデンスである。
 暗号というものは得てして鍵にさえ気付いてしまえば誰にでも解る驚くほど簡単なものである。
 しかし、簡単だからこそ驚きに値する。
 その簡単なことが巧妙に隠されていたという事実そのものが驚愕なのである。
 そして、そこに気づきさえすれば簡単に紐解けるように実に親切な仕掛けが用意されていることを読者諸氏は目の当たりにするだろう。
 我々日本人がいかに特殊で神秘に満ちた摩訶不思議な島国に住んでいることか、大いに自覚を持つべきであると筆者は兼々切実に感じてきた。
 それが本書を執筆した最大の動機である。
 なぜ凡そ一三〇〇年もの間誰も古事記の暗号に気付かなかったのかと言うと、条件が揃っていなかったからである。
 ではその条件とは何か?
 まず、地球子午線全長を基準としたメートル法と北を基準として三六〇分割した方位角系が存在すること。
 次に地球規模で正確な測地が成され、ガウスの平均緯度法やヴィンセンティやヒューベニの式のように地球物理学的に正確な距離と方位角の計算方法が確立すること。
 そしてその計算を個人で一瞬にして行なうことが出来るパーソナルコンピュータ、そしてさらに言えば任意の地点の座標や自身の現在地の座標を正確且つ簡易に知ることの出来る手段、つまりGPSやグーグルマップのような地図が普及すること。
 驚くべきことに古事記の暗号はこれらの条件が揃う時に解読されるであろうことを想定して書かれているとしか思えないのだ。本書を読み進めるに従って自ずとそれは証明されるようになっている。
 筆者はこれからおそらく数十冊の本を書かねばならないと思っているのだが、本書は今後出版する全ての本の礎となる古事記暗号解読の最も基本的な核である。故に『基本編』と題した。 
 神智学者のルドルフ・シュタイナー(一八六一年~一九二五年)は次のように語っている。

  地球の本当の形は正四面体であり、
  その頂点は日本である。

 読者諸氏はこれを読んでどのように感じられるだろう?
 おそらく殆どのみなさんは何をわけのわからなシュタイナのいハチャメチャなことを言っているのだろうと訝しく思われるはずだ。
 しかし、本書を一読した後では印象が変わるはずである。
 彼の著書には謎めいた不可解な文章が沢山並んでいて一度読んだだけでは理解しがたい。実を言えば筆者とてシュタイナーについてさほど詳しいわけではない。
 だがなぜだか摩訶不思議なご縁だけはある。そして何故かシュタイナーの著作には直感的に我が意を得たりと思える記述がそこかしこに散見されるのだ。そしてそれらはどうも古事記の暗号へと収束しているように思えてならない。
 本シリーズで扱う古事記の暗号とその周辺事象に限らず、この世界には人智を超えた謎や事実が山のように存在する。実はそういった事柄が私たちの日々の実生活においても非常に重要であり直接的に深い関係があるのだが残念ながらそのことに気付いている人が非常に少なすぎる。
 人々がそういったことに目と心を開くことは非常に重要であり、だからこそ一三〇〇年の時を超える暗号が古事記という不思議なテキストに織り込まれたのだと思っている。
 現代において特に日本人はマスメディアを安易に鵜吞みにして欺される人達があまりにも多すぎる。一人でも多くの方が押しつけられた先入観や所謂〈常識〉を疑い、真実を見抜く論理性と直感力のバランス、自分自身の頭で考える力を身につけていただきたいものだと切に願ってやまない。
 それが直接命に関わることにもなりかねないのである。
 本書と後に続くシリーズが読者の皆様にとって極身近に儼然と存在する奇跡に眼を開き、延いては世界を変えていくきっかけとなれば望外の幸せである。
 基本編はLevel 1から段階を追った構成となっている。古事記の暗号というのは順を追ってクリアしていかなければ解けないようになっているのでミッションは必ず番号順にクリアすること。
 是非ゲーム感覚で1300年前に仕掛けられた謎解きを楽しんでいただきたい。


    二〇二三年九月
       奏多時空
    〈オトタチバナX〉からの方位角が正確に0度の宿泊地にて

 
 (つづく)

脚注1
 ここでは便宜的に神々という言葉を使わせていただいている。日本人が日常的に使う意味での神々である。


※ 最初から順を追って読まないと内容が理解できないと思います。途中から入られた方は『古事記デイサイファード』第一巻001からお読みいただくことをお薦めいたします。

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