TU

児童精神科医、臨床心理士、公認心理師、大学教員。 所属は 大正大学心理社会学部臨床心理…

TU

児童精神科医、臨床心理士、公認心理師、大学教員。 所属は 大正大学心理社会学部臨床心理学科 福島大学子どものメンタルヘルス支援室など。 適当なつぶやきとか気まぐれにやっています。 内容はすべて個人的な見解です。 個別の相談・質問には対応できません。

マガジン

  • 大学

最近の記事

災害時の発達障害の子どもの支援

新年早々に大変なことになっていますね。災害時の発達障害の子どもに医療者や支援者がどのように関わるのが良いのか、東日本大震災時の経験と被災者へのインタビューの結果をまとめました。

    • スマホと子育て

      ちょっと前の日経新聞電子版(2023年3月24日)に「学習障害・物忘れ・無気力 スマホ漬けが招く脳機能低下」という記事があった。[有料会員限定]なんだけど、なんと最もよく読まれた記事なんだそうだ。それによると「スマホ依存症の人の脳の働きに異変が起きていて子供では学ぶ力の低下、大人では物忘れや計算能力が低下する「プチ認知症」になるのだそうだ。 福島県の保健所などでは「スマホを母親が見すぎると、子どもの発達に悪影響がある」みたいなポスターがあちこちに貼ってある。 スマートフォンは

      • 知能テスト

        知能テストは発達障害の診断のために必須というわけではありません。知能テストの情報は役に立ちますが、それでASDやADHDの診断がつくわけではありません。 発達障害の診断に一番重要なのは、過去の発達歴です。次の現在の状態、行動やコミュニケーションの特徴などを保護者などから聞き取ったり子どもの遊び方などをみます。 脳波やMRIなどの医学的検査は必要に応じて行いますが、それで診断がつくわけではありません。

        • 講演謝礼などについての雑感

          講演の「謝礼」についても、以前は色々合った。 教育とか福祉領域からは「教育ですので」「福祉なので」と「ボラ」を要求されたこともあった。「若手でいいので、ボラか安くてもやってくれる人を紹介して欲しい」みたいな依頼も。 それじゃ若手の専門家は育たないと思うからと言って断った。 公務員時代は、謝礼を貰うと色々手続きが面倒だったり、事務方から嫌味を言われたりしたので、そんなに気にしなかったけど、 それでも、上司から頼み倒されて、他県や市町の講演とか相をしたりすると、事務屋さんから注

        災害時の発達障害の子どもの支援

        マガジン

        • 大学
          0本

        記事

          自閉症 心理学理論と最近の研究成果 単行本(ソフトカバー) – 2023/6/17スー・フレッチャー=ワトソン (著), フランチェスカ・ハッペ (著), 石坂 好樹 (翻訳)他

          自閉症について心理学的研究を中心として生物学的研究や社会モデル、ニューロダイバーシティについても解説した書籍。特に英国の研究を中心に紹介しており、ここ10年話題になっている「モノトロピー理論」や「ダブルエンパシー(二重共感問題)」についても解説されている。これらの新しい理論は当事者(かつ研究者)が深く関わっている。 このあたり、これまで日本語ではあまり読めなかった(と思う)。 各章には自閉症の人々の批判的な発言が記載されていることも、素晴らしい。 著者や訳者も記載されている

          自閉症 心理学理論と最近の研究成果 単行本(ソフトカバー) – 2023/6/17スー・フレッチャー=ワトソン (著), フランチェスカ・ハッペ (著), 石坂 好樹 (翻訳)他

          Happy New Year

          Happy New Year

          年末のご挨拶と御礼

          2020年は新型コロナウイルスに振り回された大変な年でしたね。皆様お疲れ様今年も色々な人に支えられて何とか大晦日に辿りつきました。 ありがとうございました。 大学 私にとっては4月から始まったリモート講義で動画講義を録画するのが大変でした。最初は1、2ヶ月で終わると思っていたのですが、結局1年間を通して動画配信中心の講義になりました。秋学期からは一部の講義がハイブリッド(リモートと対面の同時進行)でさらに大変になりました。当初は慣れずに学生の皆さんにも迷惑をかけることが多か

          年末のご挨拶と御礼

          金子書房のnoteに書かせてもらいました。この時代のSPELL

          金子書房のnoteに書かせてもらいました。この時代のSPELL

          大人の発達障害

          令和2年1月5日(日)、和歌山県立情報交流センターBig・Uにて開催された和歌山県発達障害者支援センター ポラリス主催(NPO法人和歌山県自閉症協会共催)の講演会の要旨を、主催者の許可を得て転載します。転載許可ありがとうございました。 講師 よこはま発達クリニック 院長 よこはま発達相談室 大正大学心理社会学部臨床心理学科 教授     福島大学こどものメンタルヘルス支援事業推進室 客員教授 内 山 登 紀 夫

          大人の発達障害

          清潔の維持

          清潔の維持についても、よく相談を受けます。親御さんが多いですが、本人からも相談を受けることがあります。いくつかのパターンに分けて説明します。あ、もちろん、私は感染症の専門家ではありませんし、最新の情報を知っているわけでもないので、あくまで現時点(2020年4月4日)で私の理解している範囲の話です。 指しゃぶりをする、手で目や顔をいじるコロナウイルスは飛沫感染と接触感染でうつるとされています。ウイルスがついた物に手を触れて、その手で目、鼻、口などの粘膜に触れることで感染する可

          清潔の維持

          「こだわり」について

          前回の続きです。全国一斉休校、外出自粛、テレワーク推進などにより、父親と子どもが接する時間が増えている家庭が多いようです。相談にみえる方も普段はお母さん中心でも最近はお父さんも一緒に来られることが増えました。 この時期に普段はあまりよく見えなかったお子さんの状態がわかるようになって良かった、父と母の子どもの見方が近づいて良かったという話も聞きました。 ただ、一緒にいると、これまで目に付かなかった子どもの行動が気になる親御さんもいらっしゃいます。 特に多いのは自閉症スペク

          「こだわり」について

          この時期の過ごし方

          コロナ問題で普段と違う状況が続いていますね。質問を受けることも増えてきました。 ASDの子どもや大人の方の感じ方も様々で、ストレスを感じている人も、あまりストレスに感じていない人もいるようでなかなか一口では語れないように思います。ウイルスは怖いという人も全然気にしない人もいます。 とはいうものも、よくある質問や相談、それへの反応も少しはわかってきたので、私見を少しずつアップしていこうかと思います。私見です。所属する団体や組織の考え方とは異なることもあるし、エビデンスもあるわけ

          この時期の過ごし方

          「情報生産者になる」の感想

          やることが一杯あって、頭は混沌としているのだけど、キンドルで色々読んでしまう。 で、最近何かと話題の多い上野千鶴子先生、彼女の書いた「情報生産者になる」を、ついつい読んでしまい(別に優先順位の高い仕事があるのに)面白かった。なかでもKJ法とグランデッドセオリーの関係について、今まで読んだどんなテキストより腑に落ちたというか、やっぱりそう思っている人もいるんだとわかって安心した。立教大で社会人大学院されてたんですね。院生やりたくなった。実際的な話が多く面白い。京大式カードとかの

          「情報生産者になる」の感想