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講演謝礼などについての雑感


講演の「謝礼」についても、以前は色々合った。
教育とか福祉領域からは「教育ですので」「福祉なので」と「ボラ」を要求されたこともあった。「若手でいいので、ボラか安くてもやってくれる人を紹介して欲しい」みたいな依頼も。
それじゃ若手の専門家は育たないと思うからと言って断った。

公務員時代は、謝礼を貰うと色々手続きが面倒だったり、事務方から嫌味を言われたりしたので、そんなに気にしなかったけど、
それでも、上司から頼み倒されて、他県や市町の講演とか相をしたりすると、事務屋さんから注意されたりした。
院長とか副院長の依頼で、いやいや受けた仕事なのに、なんで係長から怒られんだとか思ったけど、まあ、それは手続きが面倒できちんとしなかったからだろうから自分が悪い。
というか、受ける段階で、文書出すの面倒だから、出し忘れて、あとで怒られる未来はだいたい見えていた。医者の中にも、事務手続きをきちんとする人は結構いたけど、
自分は出来なかったというか、やる気がなかったんだろうな。

自分でクリニックを経営しだすと、家賃やスタッフ人件費のために
単位時間あたりに稼ぐ必要な金額は決まってくるので、
それより下だと(休診したりして)講演を受ければ受けるほど赤字になったりして悩ましい時代があった。

このあたり、大学とか病院にのみ属している被雇用者の先生にはなかなかわかって貰えないことを実感した。
福祉や教育といった分野の講演が多いので、さらに批判をされやすかったと思う。

しかし、クリニックを潰すわけにもいかないので、講演報酬をこちらで設定することにした。それでも公的機関とか、自分の所属関係団体の依頼をどうするかは常に悩ましい問題だった。

このあたりオープンに議論しにくいし、啓発のために相手の提示額で受けます、商売ではないので、ボラでも受けますというと精神的には楽なのだけど、そうなると自分の抱えている組織(クリニックとか)を維持できないは明白だった。
まあ、公的機関の依頼額がかなり低いのも問題で、一番最近の某国立機関の研修講師は1時間講義単価7900円、
演習単価7000円と書いてあった。演習のほうがなぜか安い。
そこは、郊外で遠いので、移動の往復と、スライド準備などの時間をいれると、1時間あたり2000円
くらいかもしれない。
大学の講義も国公私立とも、だいたい似たようなもの。
ちなみに自分の場合は大学や団体に所属しているので、依頼する側にまわると所属の団体の規定通り(かなり低額)でお願いしないといいけないということもややこしい。

海外との交流も増えてきて、あちらの専門家を招聘したり、学会に頼まれて仲介をしたりすると海外のエージェントはセミナーはもちろん、学会などでもそれなりの額を要求することがあることがわかったし、
それは組織を維持したり、彼らの専門性を評価するという点で必要なことも理解できた。
あちらの専門家を呼ぶときにはビジネスクラスを要求されたし、それも当然のことだと思った。
海外の大学とかでも、一定の収入が必要な組織に所属している先生もいるし、そうでない先生もいる。
某、自閉症のエージェントを某学会で呼んだ時に、それなりの額を要求された。
その時、自分ははボラで仲介しただけだが、なぜか学会のお偉方にそのエージェントはけしからんとお叱りを受けた。
学会だからもっと安い費用で来るのが当然だとその先生は言った。
そのエージェントが存続するためにはその額は必要だと説明したが、全然納得しなかった。
それでも科研費の安い規定で来てくれる専門家もいたりして、それはそれで有難いことではあるので、なかなかクリアーカットにはいかない。

そういうコストがかかることに対して、昔の日本の学会の偉い人たち(の一部)は、異様に憤慨するのを目の当たりにして、
大学や公的機関に所属している人の中には、理解しない人もいるのだとがっかりしたりもした。(今の学会の執行部の人はそんなことないと思いたい)。

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