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ビヤホール・エフェクト

仕事をしていると、単調なんだけど、件数をこなさなくてはならない作業ってあったりします。しかもそれが、くり返される。


🏢くり返す単調な仕事

15件片付けたら、次のグループの処理。またおなじ工程をいちから5件、次は50件、12件、100件、35件…。面倒ですが仕事なればやらざるをえません。

今回はお仕事とビヤホールのお話

そんなとき、もし自分が順番を決められるとしたら、どんな順に処理しますか。

少ない件数のグループからはじめれば、処理済みのグループの数はどんどん積み上がります。まず最初のグループが2件、次が5件、みっつめがおなじく5件、続いて8件と調子よく進みます。全部で10のグルーブを処理しなくてはならないとしたら、1時間もすれば、残りあと2つくらいになるでしょう。

定番ソーセージ

でも、ゴールに近づいてるようでいて、残っているグループそれぞれの処理対象件数が、110件と50件だとしたら。本番はこれからです。なにしろ、それまでに片付けた総件数は40件ほど。残りはその4倍です。ふぅとため息のひとつもつきたくなりますね。

金口グラスきれいです

では逆に多いグループから片付けたら、どうでしょう。

2時間かかってもまだひとつめのグループを片付けられるかどうか。残りはあと9グループもあります。心が折れそうです。

唐揚げも定番

でもそのひとつめを乗り越えたら。どんな気持ちになるでしょうか。

110件をこなしたあとの50件。それと向かい合ったとき、こんなことを考えたりしませんか。

さっきの半分じゃん。楽勝、楽勝。

おしゃれグラス

こういう仕事と向き合うとき、いつも思い出す言葉があります。

🍻ビヤホール・エフェクト

ビヤホールでアルバイトしていた時代があります。そこで自分は料理に関して、いろんなことを教えてもらったわけですが、その副料理長のこんなセリフが頭に浮かぶのです。

夏に入ったバイトは辞めないけど、冬に入ったバイトは夏が来たらいなくなる。

これはどういうことなのか。

ブーツ型は飲むとき注意

そのビヤホールは3階建てのビルすべてが客席で、かなりの大バコでした。当然、お客さんの数もすごいです。席数はおおよそ300ほどもあり、夏の週末はそれでも空席の順番待ちが出るほどでした。

当然仕事も大忙しです。朝8時にキッチンに入って、仕込みからはじめます。フライドポテト用の大量のじゃがいもを茹でる大釜があって、そこに大きな袋からポテトをどばっと流し込んだと思えば、ランチタイムに人気のエビフライの衣付けは1日200尾。

いざオープンすると、続々とお客さんが来店します。飛び交うオーダー、たまっていく伝票。ランチタイムは息をつく暇もない忙しさです。

落ち着くのはランチメニューのサービスが終わる14時。そのタイミングでまかないを食べるのですが、本当に忙しかった日は、汗だくになるくらい。まずは冷たいお水をぐいぐいと飲み干して、ようやく食べ物が喉をとおるくらいでした。

1時間の休憩が終われば、こんどは夜の準備です。とはいえ、ランチタイムのあとも営業しているので、お客さんはやってきます。たまった洗い物を片付けて、お皿やカトラリを磨きあげながら、ぽつぽつとはいってくるオーダーに対応します。

そして迎える夜のピークタイム。17時を過ぎると、どんどん忙しくなり、19時から21時は動きっぱなし。ランチタイムと比べると、料理の品数が多くなるので、間違えないように気を付けながら、どんどんオーダーをこなしたのもです。

そして21:30、ようやくオーダーストップがやってきます。ここからはあと片付け。30分かけて、その日の営業が終わるまでひたすらお皿を洗い、保存するものを冷蔵庫にしまい、シンクを磨き上げたら、閉店です。

その頃には、もうへとへと。汗をかき、体力を使い果たした1日の終わり、みんなで飲む1杯のビールが心も体も癒やしてくれました。

そんなビヤホールのバイトで知ったこと。自分がはいったのは、6月のことで、ひと月ほどで繁忙期に突入したわけですが、秋を迎えすこしずつ涼しくなる頃には、真夏ほどの慌ただしさから解放されるのです。

そして冷え込む2月にもなると、1日の売上は、なんと夏の1/10ほどになることも。

となると、仕事量も激減します。繁忙期を経験した自分からすると、冬の仕事はたとえコンスタントにあったとしても、正直余裕がありました。

これが逆だとどうでしょう。冬にはいったバイトさんからすると、GWの頃にはだんだん忙しくなってくるのを実感します。

そして夏、その仕事量は入店したときの10倍になるのです。その忙しさときたら、おそらく未知の世界。衝撃を受けるのでしょう。

夏にはいったバイトは辞めないけど、冬にはいったバイトはいなくなる。

副料理長の言葉は、いま仕事をしている中で、自分で決める仕事の順番に、すくなからず影響しておるような気がします。

おなじ作業が続くときは、たくさんあるものから片付ける。それと比較することで、残りの小さな塊は軽い仕事量に思えてくる。

ささやかなことかもしれません。結局やることはおなじなので、気分の問題かもしれません。でもそれで、心の負担が軽くなるような気がするのです。

これは自分にとって、あの日のビヤホールでの学び。名付けるとしたら、ビヤホール・エフェクトです。

🍺今夜はおうちビヤホール

そんなこんなでビヤホールの話を思い出していたら、ビールが飲みたくなってきました。

きょうはおうちビヤホールといきましょう。ビールのおつまみなので、品数はほしい。今回は3品つくって乾杯します。

🍗定番フライものはチキンカツ

ビヤホールのおつまみといえば、フライものは欠かせません。からりと揚がった衣。ビールをぷはぁ、たまりませんね。

今回は鶏胸肉でチキンカツにしました。

🍗材料(2〜3人分)
・鶏胸肉…1枚
・天ぷら粉…適量
・水…適量
・パン粉…適量

鶏胸肉は削ぎ切りにします。厚さの目安は、ポークソテーの豚肉よりすこし薄いくらい。

包丁の背で叩いておきます。

衣は水で溶いた天ぷら粉、パン粉の順に。

小麦粉と卵の代わりに天ぷら粉を使うと、卵液が余ることもありません。ちょっとしたエコ意識でしょうか。最近卵高いですしね。

揚げるときは高温で。途中で一度返して、衣がきつね色に揚がれば中まで火もとおる頃です。

サクサクの衣はビールにぴったり。フライは最高のビヤ友のひとつです。

🥬ソーセージのお供は

ビヤホールの人気メニューの中でも、無敵のソーセージ。洋風スタイルビールののお店では、定番の中でもNo.1のおつまみですね。

粒マスタードをつけながら食べるのが、ビヤホールっぽく感じます。

🥬材料(1皿分)
・キャベツ…1枚
・塩…小さじ1
・キャラウェイシード…適量
・酢…大さじ2
・粉末コンソメ…小さじ1
・白ワイン…1/4カップ
・水…1/4カップ
・ソーセージ…お好みの本数
・粒マスタード…適量

ソーセージに添えたのは、即席ザウワークラウト風キャベツ。本来は塩漬けにして乳酸発酵させた、キャベツのお漬物ですが、その味を漬け込まずにアレンジ再現するレシピです。

今回のポイントはキャラウェイシード。これがあると、一気に風味が本格的になります。

塩を振って30分置いたキャベツの水をしっかり絞ったら、お酢、白ワイン、水、コンソメといっしょにお鍋にいれて、キャラウェイシードとともに火にかけます。

キャベツがくったりとしたら、火からおろして粗熱をとり、冷蔵庫で1時間以上冷やします。

茹でたソーセージに添えれば、ビヤホール風の盛り合わせに。

即席ザウアークラウトは、食べるときに温めても、冷たいままでもお好みで。たくさんつくって、冷蔵庫で3日ほど漬けておくと、より味がなじんで深漬け感が出ておいしくなります。

🥗あると嬉しいあとひと品

もうひと品は、あればついつい頼みたくなるこれ。

マカロニサラダです。

🥗材料(2皿分)
・ショートパスタ…1/2カップ
・きゅうり…1/4本
・玉ねぎ…1/4個
・にんじん…1/4本
・ハム…1枚
・塩…適量
・マヨネーズ…大さじ2
・フレンチマスタード…小さじ1
・オリーブオイル…大さじ1
・こしょう…ひとつまみ

きゅうりと玉ねぎは薄切りにして塩を振り、しばらく置いたら水気を絞っておきます。

パスタは袋に表示された茹で時間より、2分長く茹でることにします。あとで冷やすことを考えて、あらかじめやわらかめに茹でておけば、冷たくなっても硬くならずに済みます。

途中でにんじんもいれます。パスタとは別にレンジでやわらかく加熱してもOKですが、このほうが手間いらずですよね。

よくお湯を切ったパスタとにんじんをボウルにいれて、マヨネーズ、フレンチマスタード、オリーブオイル、こしょうを合わせて混ぜます。熱いうちに油分をからめることで、パスタのくっつきが防げます。

粗熱が取れるまで待ってから、ハム、きゅうり、玉ねぎを加えて全体を混ぜて味をからめます。

こしょうで味を調えて冷蔵庫へ。1時間ほど冷やせば、マカロニサラダのできあがり。

マカロニサラダとか、ポテトサラダって、あるとほしくなりますよね。おつまみになりつつ、サラダでもあるし、ちょっとした主食感もあっていいなぁと思います。あと、お店だとすぐ出てくるので、まずこれは注文しておきたい、そんな気持ちになります。

🍺おうちビヤホールOPEN

さて、今回のおつまみが揃ったら、いよいよあれの出番。

ジョッキはもちろんキンキン。

ビールを注ぐと、きらきら輝いて、もう待ちきれません。

今夜の我が家はビヤホール。

乾杯したら喉を鳴らせて、ビールをゴクリ。ゴクゴクゴクっ。

まずはマカロニサラダをぱくり。うん、絶妙のやわらかさ。その奥からしゃりしゃりした玉ねぎやパリパリしたきゅうりの食感が心地よく刺激してきます。

またビールをゴクリ。茹でたソーセージはぷりぷり食感。お好みで焼きソーセージでもOKですが、自分の好みは圧倒的にボイル。ザウアークラウト風のキャベツもいい感じに漬かりました。これまたビールが進む。

それからチキンカツ。ソースを垂らして、からしをちょっと付けていただきます。サクサクの衣がビールを呼んでます。

ふとした記憶をきっかけに、ビヤホールみたいなおうちごはんになりました。

🖊ビヤなのかビアなのか

そういえばビヤホールなのか、ビアホールなのか、みなさんはどちらの表記を使いますか。実は自分は長い間、ビアホールという書き方をしていたのですが、近ごろはビヤホールと書くようにしています。

というのもこれ。

日本初のBeer Hallのカナ表記がビヤホールなんですね。それを知ってから、いちビールファンの身としては、ビヤホールと書きたくなりました。

言葉にするときはビヤよりビアのほうが発音しやすい気もするし、所詮は外来語を無理やり日本語で表記するという話なので、どちらでもいいのはわかっています。でも、やっぱりちょっとこういうところにこだわりたくなる性分だったりします。

日に日に暑くなってくるのが実感できる日々。今夜もおいしいビールとおいしいごはんを。乾杯。

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