P139. 作品紹介『Timing』
※今回は過去に書いたラジオドラマの物語を公開しています。
今日も言えなかった
いつもタイミングばかり伺って、今日こそは、今度こそはって
結局いつも、アイツのペースに流されてしまう。
友達付き合いが長かった分、どう切り出したらいいのか難しい
今日も楽しかったから、ま、いいかなって。
天「おいおい、もうガキじゃないんだから。ビシーっと言っちまえって、ビシーっとよ。ダメで元々勝ったら儲けさ」
元々ダメかよ・・まぁな。
卒業も間近に控え、未だにふらふらと、気楽なバイトばかりしている俺。
夢を追いかけて、毎晩遅くまで駆け回っているアイツ。
…睡眠時間、ちゃんととれてんのかな?
天「バレンタインも近いんだし、良いタイミングじゃないの。卒業したらお互いこのボロアパートからは出て行くんだから、そしたらもっとチャンスは減るんだぜ」
わかってるよ。・・・というかお前、一体いつまでここに居座るつもりだよ?
天「そりゃー無いでしょうよ。俺はお前の恋の天使なんだぜ?お前の為に色々とアドバイスをだな」
大体お前が早く告っちまえだの、手を繋げだのと言うからこっちは変に意識しちゃって言うもんも言えなかったんだよ!今朝だって、たまたま家を出る時間が一緒だったからって、そこで告らせようとしただろ?
お陰で冷や汗止まらなくなっちまったよ。
天「あ、ひっでーな俺のせい?」
余計なこと言わなくていいんだって。卒業式までには言うから…
ほら、もう遅いんだから寝かせてくれよ。
天「わかったよ・・・忠告はしたからな。」
(翌朝)
あー、よく寝た。おはよ・・あれ?天使、どっかいったのか?
アイツのこと意識し始めてからは毎日いたんだけどな・・・
あ、なんかLINE来てる。
・・・は?
・・・いや、何言ってんの冗談にしちゃ笑えないって。
(ドアノック音)
は、はい・・・あ、大家さん。・・・え?事故??昨日遅く・・・それで、アイツ、いえ、お隣さんは・・・昏睡状態???・・いえ、その時間にはもう寝てたので、全然気づきませんでした。・・はい、失礼します。
・・・嘘だ。アイツが事故で、昏睡状態?ふざけんなよ何やってんだよ。
夢のためにって遅くまでバイトして、寝不足でフラフラしてたんじゃないのかよ。ヤバイ・・・天使の言うとおりだ。
朝でも、バイト前でも何でも良い。早く言えばよかった・・・
アイツに、俺は・・
★「何を?」
だから俺は、アイツ・・・
うおぉぉ!びっくりした!!は?え、何でいんの?昏睡状態って、あれ?
★「そうそう、今まさに生死の境目、ははは」
いや笑いどころが不明!ていうかお前、何かおかしくないか?
心なしかうっすら、透けてるっていうか。
★「うん。どうやらこのまま体を離れちゃうか、それとも戻れるのかってとこみたい。それよりほら、そんな大事な時間使ってわざわざ来てやったんだからさ。ほれ、なんか言いたいことあるんでしょ?」
ああ、えっと・・・うわ、ダメだー本当、目の前にすると無理なんだってそういう話。
★「言わないんかい…まぁ、どっちでもいいけどな。…私は結構好きだったよ」
え?
★「じゃ、そろそろ行くから。ありがとね。」
あ、待ってくれ!俺、今更ですっげー恥ずかしいんだけど・・お前のこと、す、好き…?です。だから、とりあえず、死ぬな。早く戻ってこいよ!
★「…うーん・・・ごめん。まぁタイプではないわ」
・・・は?
★「いっけね、はやく行かなきゃ!それじゃねー」
・・・え、嘘!?今の流れで、フラれるパターンとかあんの??
天「お前のこと、す、好き?です・・・ぷ、はははダッセー!!!!」
あ、天使!!お前どっから出てきやがった!!
天「す、好き?です、辺りからかな」
そういう意味じゃねえ!!・・・あ、LINE。
天「お、意識戻ったみたいだねー、めでたしめでたし。物事にはタイミングってのがあるんだよ。逃したら次があるとは限らない、でも次はもっとでっかいチャンスが来るかもしれない。
また次を目指して、一緒に頑張ろうぜ、ははは。」
こ・・・コンチクショー!!!
おしまい!
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