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【増富温泉 湯治の結果】~やはり効いていた最強ラジウム泉~

 
 「まったく神秘的な効能」
 
 明治時代の初期、西洋医学の宣教師として日本政府に招聘されたエルウィン・ベルツ博士。後に近代医学の父と呼ばれた彼は、日本の温泉をこのように評したという。

 彼は特に「湯治」の効能に着目し、「持続性の湯治について」と題する論文を「ベルリン臨床医学」という専門誌に発表している。これは日本の伝統的温泉治療を海外に紹介した最初の文献とされる。

 更なる湯治の効果の深耕すべく、温泉の研究機関を草津温泉に建設しようと6,000坪もの土地を購入。しかし当時の封建的な村の風習により、外国人への分湯が容認されず、失意のうちにドイツへと帰国してしまう。
 
 現在では彼の功績を讃え、「ベルツ記念館」「ベルツ像」「ベルツ通り」が草津温泉街に存在する。これらが完成したのは没後80年以上経った後だった。

 「日本の温泉の特異な効果が知れ渡れば、あらゆる国の人々が来るのは確実だ」

 これはベルツ氏がドイツへ帰国する際に日記に記した言葉。積怨の念が込められているようにも思える。

 
 現代においても、温泉の役割は代替医療から予防医療へと後退。ベルツ氏の宿願は果たされてはいないようだ。約20年前に閉院した「群馬大学草津分院」。温泉医学の研究を目的に開院し、半世紀に渡り街の中核病院として貢献してきた。

 しかし西洋医学に傾倒する現代医療。数字には表れにくい「神経症」や「ストレス」など。温泉療養は非科学的と切り捨てられ、研究は下火になり閉院にまで追い込まれた。

 だが今でも湯治場に行けば、医に見放された患者達が原因不明の病と直向きに対峙する。温泉を必要とする人々はまだまだ存在するのだ。私もその一人。人類は宇宙には行けたかも知れないが、未だ痛みやリウマチの原因は明らかになっていないのだ。


 10年以上前から続く激痛と血液異常。2度経験した1週間のベッドレスト状態。激痛でピクリとも動けなくなり、絶不眠絶食状態。ガリガリにやせ細る身体。もうダメかと何度も頭を過ったが、長期間の湯治により何度も息を吹き返してきた。

 
 ベルツ氏の無念を晴らすかの如く、また興味深い血液検査の結果が出たーーー


 8月の下旬、私は一時中断していた大学病院のへの通院を再開。既に断定されている線維筋痛症。経過観察も兼ね神経科と消化器、血液内科と併診する。内臓自体には元々大きな疾患はなく、異常値が自己免疫によるものかどうか、引き続き経過を追うことに。

 神経については漢方薬を処方され、こちらも様子見。以前医師の言われるがままに投薬地獄にハマり、壮絶な希死念慮とお花畑状態を経験した。その経験から、私の方から強い薬の投与は避けたい旨、ハッキリと伝えたのだ。


 鬼門は血液内科。

 一般的な健康診断では計測しない項目に、医師も目を丸くする異常値が続発する。町医者や会社の定期健診では未計測だったが、昨年末にとうとう激痛のため入院。そこでの精密検査で次々と発覚する。


 以前から分かっている「低白血球」に加え、悪性リンパ腫か白血病、ヘモクロマトーシスなどの寛解も疑われた「高フェリチン値(貯蔵鉄)」。SLE(全身性エリテマトーデス)、シェーグレン症候群などの膠原病に見られる「血清補体価」、その他IGG(出血を止める抗体)などの異常値。


 どの数値も生活習慣や食生活で出るレベルではないという。断定された線維筋痛症だけでは説明が付かない。入院から既に10ヶ月近く経つが、未だにハッキリしない病名。何より、この異常値が痛みに直結するかも分からないという。

 線維筋痛症も断定されるまでに病院を転々とし、辿り着くまでに10年かかっている。とりあえず俎板に乗ったつもりで、今の大学病院を信じるしかない。

 8月の最終週。数日前の採血結果のフィードバック。
前回の計測は7月30日、PCのモニターに映っているのは8月20日の採血結果だ。主治医と一緒に数字を追う。いつも、白血球とフェリチン値を最初に見る。


<白血球>
2,900⇒4,400(正常値:4,000~9,000) 

<フェリチン値(貯蔵鉄)>
1,660⇒970(正常値:30~490)


 (増富・・・)
 
 モニターに映る大幅に改善された数値を眺め、増富温泉「三英荘」の女将の顔が浮かんだ。

 私は8月7日から1週間、増富で湯治をしている。湯巡りや観光も一切せず、ただただ20度の激湯と向き合う日々。

<その時の記録>

 
 食生活は特に変えてはいない、、否、飲み物はだけは。
1日3度飲んでいた死ぬほど不味い「ラジウム源泉」。茶褐色に濁り、鉄屑の様な湯の花が混じる。数々飲泉してきた中でも、あれほどマズい源泉を他に知らない。

 私の白血球は、いつ計測しても2,500~3,300程度。正常値に達したことは、免疫力が上がったことを意味する。フェリチン値に関してはまだレッドゾーンだが、この短期間でこれほど正常に近づくとは。

 その他、フェリチン値に伴い上下するという肝異常。ALT、ASTも大幅に改善されていた。

 ラジウム泉が免疫力向上に作用することは科学的にも証明されているが、やはり数字で見えなければ人は納得しないものだ。それにしても、こんなにハッキリと出ているとは、何と優秀なモルモット。


医 「でもね、ヨシタカさん。また異常が見つかりましたよ」
私 「次は何でしょ?」
医 「ビタミンB12、今回初めて測ったのよ。普通絶対測らない。ちょっと今日もう一度採らせて。測り間違えかもしれないから」
私 「そんなに珍しいのですか?」
医 「うん、こんな人見たことないよ。胃を全摘出した人なら分かるんだけどね」

 モニターに映ったその数値、99(正常値:180~914)。ビタミンB12は10年以上体内に貯蓄するもので、乱高下することはないという。確かに全身痛や神経痛、鼻炎など身体の変調が出てから10年は経つ。
  

医 「万が一のことがあるかもしれないから、とりあえずビタミンB12(注射)を打って帰って」
私 「承知しました」
医 「よく見ておくね、この血液。もう分かっていると思うけど、気長にね」
私 「心得ております」
 
 (とりあえず、増富が効くのはよく分かりましたよ)


                           令和3年9月12日

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