それは乾いた叫びにも似た

それは乾いた叫びにも似た

涙で記した言づけが愛した人に伝わる朝
追いかけた後ろ姿は もうここではない遠い場所へ
何もかも見えなくなるまで流れに逆らい歩いていた
運命を阻む壁さえも軽々と乗り越えながら 

空に近い憧れに手をかけた人々の夢は
うだるような季節も呼吸さえもとめてしまう

カリソメの希望なら憎しみを込めて目の前の未来を消したい
抱えた思いをビルから捨ててゆく 
小さく両手を広げて 
羽ばたくことを諦めた天使の群れは血塗れの唄を歌い出す
それはまるで干乾びた叫びにも似て
痛みの中心(なか)を掠めてゆくの

始まりも終わりもないような境界線に佇んだまま
モノクロの昨日を点と線であやふやに紡ぎ直した
引きとめる声さえあるなら 間違い起さずに済むかな
そんな期待をふり払って 大切なもの投げ捨てた

風に吹かれ ため息奪ってゆく傾きの中で
浮足立つ身体が描いている歪なライン

この手が掴めなかった幸せの欠片
もうすぐ灰となり消えてく
過ちは真後ろの途に隠して きっと誰も気付かないまま
骨が軋む音を心で聴きながら世界を失う瞬間に  
逆さまの空を目に焼き付けて
やっと自由であることを思い出せるの

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