統計ドワーフの「世の中のファクトの見方」

「世の中のファクトの見方」をカジュアルに伝える統計に向き合い続けて約30年の自称「統計…

統計ドワーフの「世の中のファクトの見方」

「世の中のファクトの見方」をカジュアルに伝える統計に向き合い続けて約30年の自称「統計ドワーフ」たちが、実は身近なことや、ニュース・トレンドを解説し、自力でファクトに向かえる視点をおすそ分けします。

最近の記事

統計表の数値じゃない箇所は…

公表されている各種の統計表を見ていると、数字があるべき箇所で数字ではない記号だけが書かれている場合があることに気が付くと思います。これは統計としては数字が発表できない事由があるため、それを記号で知らせているのです。 実際どの記号で何を表すかについては、法律や標準があるわけではありませんので、各統計の注記を見ていただくことになりますが、以下ではそのような表記が必要となる典型的な事由を紹介します。 秘匿集計といっても実際には対象者が1人しかいない等、個人のプライバシーを公開し

    • 家計調査

      総務省「家計調査 」は、全国の全世帯(除く施設等の世帯および学生の単身世帯)を対象として家計収支の調査を行い、都市別、地域別、収入階級別、その他世帯の特性による集計結果によって、国民生活の実態を毎月明らかにすることを目的としています。基幹統計に指定されています。 家計簿の平均値家計調査はかなり端折って言うと、サンプル抽出選定された全国約 9千世帯に毎月調査票(家計簿のような形式です)を提出してもらい、これを集計して各世帯の属性分類別に平均したものです。いわば平均的な家計簿の

      • 全国都道府県市区町村別面積調

        全国都道府県市区町村別面積調は、全国の都道府県市区町村別の面積を公表するもので、厳密には「統計」ではありません。「国土地理院技術資料」の位置づけになります。 国土地理院は測量法により、国土の基本的な測量を行うことが定められていますが、それに基づいて行った測量結果を各年 4月 1日現在の値として毎年公表している資料がこれです。 明治15年からなんせ明治 15年(1882年)太政官統計院によって測量が開始されて以来ですから、全国に関する公表情報としては人口統計と並び長い歴史が

        • 市町村合併資料集

          明治 21年(1888年)には、日本に全部で 71,314の市町村(正確には当時、市は無かったので町村)がありました。これに対し、平成 26年(2014年)には 1,714の市町村にまで減っています。 この間の変遷は明治の大合併、昭和の大合併、平成の大合併という大きなイベントの間に多くの小さな合併を経て現在に至っています。 こうした一連の合併に関わる資料が総務省の WEBサイトにまとめられています。 使いどころ平成の大合併と称されるように、平成の間に 3,253市町村か

        マガジン

        • 統計いくつ知っていますか?
          10本

        記事

          気象庁の公表情報

          統計とか報告書の類ではありません。気象庁はそもそも情報提供を旨とする機関ですから、あらゆる情報が提供されています。 気象データは何故重要か?例えばビールの需要予測を行うとしましょう。ビールの需要は気象要因で変動します。となれば過去の気象条件と需要の関係を分析する必要が生じます。 大雨や台風による災害の情報は地方経済の動向の大きな説明要因になる他、不動産価格等へも大きな影響を与えます。 経済・社会が国土の中で営まれる以上、国土に発生する自然現象の影響は必然なのです。 こ

          在留外国人統計

          かつての「登録外国人統計」で、2012年より現在の名称になりました。 同じ出入国在留管理庁管轄の統計では、「出入国管理統計」がニュース等でよく参照されますが、在留外国人の実態という点では、こちらの統計も重要です。 在留外国人とはこの統計の対象となる「在留外国人」とは、中長期在留者及び特別永住者のこととされています。が、これでは何のことかわかりませんよね。 まずは日本に外国人が入国する場合、入国審査が行われ、ここで「入管法上の法的な資格」が与えられます。これを在留資格と呼

          生命表

          完全生命表、簡易生命表、都道府県別生命表、市区町村別生命表等があります。このうち完全生命表と簡易生命表は国の基幹統計に指定されています。 加工統計です国勢調査と人口動態調査の結果を用いて計算して作成しています。 使いどころ平均寿命は各種政策・制度の検討の際、大変よく使われる数字ですが、ソースはこの統計になります。例の物議をかもした「老後のために資産は 2千万円必要」も、背景には平均寿命の概念があります。

          人口動態調査

          人口の動態(増減)の実態を調査する目的で実施されているものです。国内で発生したすべての出生、死亡、死産、婚姻、離婚の全数調査で明治 32年(1899年)から始められています。国の基幹統計に指定されています。 戸籍がベース「戸籍法」及び「死産の届出に関する規程」に基づき届けられた出生、死亡、婚姻、離婚及び死産の全数が対象となっています。 国勢調査が国民の報告義務(正確には国籍を問わないので居住者の報告義務)に基づく調査票による報告であり、住民基本台帳人口が住民票に基づく業務

          住民基本台帳

          住民基本台帳とは各市区町村に届け出られた住民票の「台帳 」。住民票は本来、各人・世帯の住所を公的に証明する目的のものなので原則公開情報です。 当然、住民票を届け出ずに居住することは可能なため、国勢調査でいうところの「居住する場所」とは異なります。 なお 2012年から外国人についても住民票の届け出が可能となっています。 実際にはこの情報ソースからいくつかの統計が集計公表されているので、以下では、それらの統計について解説します。 住民基本台帳から作られる統計住民基本台帳

          老後2,000万円問題の算出根拠とは?

          近年、統計数値が多くの人の関心を集めたことと言えば2,000万円問題がその一つではないでしょうか。 2,000万円の算出根拠とは?2019年に金融庁がまとめた報告書で、要約すると老後に30年生きるとすると年金以外に2,000万円の資金が必要になるとしたもの。 これは総務省家計調査の2017年における夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯の収入額と支出額の平均値を抽出した月額が基です。 この収入額と支出額の差が5.5万円の赤字であり、その生活が30年間続いたら約2,000万円

          老後2,000万円問題の算出根拠とは?

          国勢調査

          国勢調査は、日本の人口の状況を明らかにする統計調査で、調査時に日本に常住している人全てを対象として、人口・世帯について、基本的属性および経済的属性のほか、住宅、人口移動、教育に関する事項等様々な事項を調査します。国の基幹統計に指定されています。 調査の対象国籍を問わず日本に普段居住する人と世帯すべてが対象となります。この居住は、住民基本台帳で届け出られているものと異なり、実際に居る場所とされており、ホームレス等住居・住所が定まっていない人も対象となります。 なお、国勢調査