とうほく未来Genkiプロジェクト

東北6県7つの地方新聞社が連携し、東北の課題克服や活力ある「とうほくの未来」を目指して…

とうほく未来Genkiプロジェクト

東北6県7つの地方新聞社が連携し、東北の課題克服や活力ある「とうほくの未来」を目指して活動しています。 noteでは東北各県の人・もの・ことを発信します! 【今年のテーマ】「まじわる東北」:東北内外の人々の想いや知見が交わり合うことで、新たな東北の価値が育まれること

最近の記事

【福島の掘り起こし】だるまランド・だるまに新たな魅力・もっと身近に

だるまをもっと身近な存在にしたい―。その思いが詰まった観光施設が福島県白河市にある「だるまランド」だ。「見て、学んで、楽しんで」をテーマとした施設で、幅広い年代の人たちが県内外から訪れている。施設内には高さ約2㍍の「巨大だるまガチャ」や、色とりどりのデザインだるまなど伝統工芸品の枠を超えた展示物が並ぶ。  施設を運営するのは、約300年の歴史を持つ白河だるまを作る「白河だるま総本舗」の14代目渡辺高章さん(31)。渡辺さんは「だるまは可能性を秘めている。驚きを提供できる場所に

    • 【福島の掘り起こし】虫の魅力 地域振興に生かす

      虫の魅力 地域振興に生かす 福島県田村市と市常葉振興公社は、「昆虫の聖地」プロジェクトを進めている。カブトムシやクワガタなど身近な虫を素材に観光誘客や産業振興につなげる試みだ。里山の保全も目的にしている。 発端は30年以上前にさかのぼる。田村市は葉タバコの一大産地で、肥料とする腐葉土にカブトムシの幼虫がたくさんいた。農家にとっては作業の邪魔になる「厄介者」だったが、地域おこしに生かそうとの機運が高まり、カブトムシと触れ合える観光施設「ムシムシランド」ができた。 プロジェ

      • 【岩手の掘り起こし】バイオ炭でCO2防ぐ

         温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」に貢献しようと、岩手県久慈市山形町の谷地林業は「バイオ炭」の製造に乗り出した。  「これだけで山の環境問題が解決するわけではないが、できる事から取り組みたい」。山あいの作業場で、谷地譲代表取締役(50)はチップ状の黒いものを手に、思いを語った。  丸太を切り出す際に払った枝は現場に放置されがち。腐って分解されると、二酸化炭素(CO2)を放出する。炭化させることで発生を防ぐのがバイオ炭だ。  同社は7月、生産炉を4基

        • 【宮城の掘りおこし】なじみの薄い魚をホテルで提供/食材としての活用策探る

           三陸沿岸で水揚げされる魚種が、海水温の上昇などによって変わりつつある。若手漁師らでつくる一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ、宮城県石巻市)と秋保温泉ホテル瑞鳳(仙台市太白区)は、なじみが薄く調理法の浸透していない魚を食材に活用する「三陸シーフードガストロノミー(美食学)」を展開。「東北に根付いた食文化を作り直す」と力を込める。  瑞鳳のレストランの一角に、FJが提案した食材約10種を使った和洋中の料理が並んだ。南方系のタチウオの八幡巻き、流通量が少ないモスソガイ(

        【福島の掘り起こし】だるまランド・だるまに新たな魅力・もっと身近に

          【青森の掘りおこし】縄文遺跡 村の誇り

           青森県六ケ所村の村立郷土館が、村内の縄文遺跡の魅力を精力的に発信している。核燃料サイクル施設などが立地する「エネルギーの村」として広く認知される一方、貴重な遺跡が多くあることはあまり知られていない。鈴木浩館長(66)は「素晴らしい遺跡があることは地元の誇り。多くの人に知ってもらいたい」と話す。  村内には縄文時代を中心に約150の遺跡がある。大半は1970年代以降の大型開発で見つかった。六ケ所の遺跡だけで草創期から晩期まで縄文時代約1万年の歴史をたどることができる。草創期の

          【青森の掘りおこし】縄文遺跡 村の誇り

          【秋田の掘りおこし】秋田杉を玄関ドアに/建具製造のコシヤマ

          がっしりとしたドアは味のある木目が目を引く。秋田県能代市の建具製造・コシヤマ(腰山真司社長)は、秋田杉製の玄関ドア「REFORT(リフォート)」を開発製造している。軟らかく傷がつきやすい杉材を圧縮するなどして耐久性を確保し、防火設備の認定も受けた。防火性能はオプションで付加でき、首都圏などへの販売も見据えている。  秋田杉の木材に熱を加えプレス機で圧縮。樹脂を注入し、雨や湿気で変形が生じないようにしている。腰山社長(50)は「木の本来の質感と、強度や着色のしやすさのバランスを

          【秋田の掘りおこし】秋田杉を玄関ドアに/建具製造のコシヤマ

          発展目指し市場開拓を/中小機構東北本部長・宮本幹氏に聞く

          新型コロナウイルス感染症の5類移行から5カ月余りが経過した。経済活動が活発化する中で、東北の中小企業は経営課題とどう向き合っていくべきか。中小企業基盤整備機構(中小機構)東北本部長の宮本幹氏(62)に聞いた。  ―東北の企業が抱える課題は。  「人手不足、事業承継の遅れなどさまざまあるが、少子高齢化による人口減少に伴い、国内の市場規模が縮小傾向にあることが最も大きい。東北にも売れ行きの伸び悩みを感じている企業は多いが、日本酒、加工食品、工芸品など優れた商品が数多くある。売り上

          発展目指し市場開拓を/中小機構東北本部長・宮本幹氏に聞く

          【山形の掘りおこし】東北・山形 外国人引きつける魅力十分

          山形県を拠点に外国人向けツアーの企画や情報発信を手がけているのが「The Hidden Japan合同会社」だ。10日から2週間程度かけ東京や京都、新潟、山形などを巡るオーダーメード型、芋煮、冬の蔵王といった体験メニューも豊富に扱う。山形県沿岸部・庄内地域の自然、人の温かみ、精神文化など、社名に込められた「隠れた日本」の魅力が味わえる内容が好評を得ている。  代表の山科沙織さん(38)=三川町出身=が2018年に設立した。「山形に行きたいという人を増やしたい」。その強い思いが

          【山形の掘りおこし】東北・山形 外国人引きつける魅力十分

          【福島の味わい】確かな品質販路拡大 福島 焼酎「ねっか」

            確かな品質販路拡大 福島 焼酎「ねっか」  合同会社ねっかは、只見町で地元の米や水を使い、焼酎を造っている。国内外の品評会で賞を受けるなど、品質への評価は年々、高まっている。  町内の農業者らが2016年に設立した。翌年には国税庁から県内初の「特産品しょうちゅう製造免許」を受けた。商品は社名と同じ「ねっか」をはじめ、もち米を原料にした「めごねっか」、米を大きく削り風味を高めた「ばがねっか」など多彩だ。地域を元気にしようと地産地消にこだわる。  2021年には輸出専用の日

          【福島の味わい】確かな品質販路拡大 福島 焼酎「ねっか」

          【福島の味わい】規格外が甘酒に変身

           福島県白河市の山口こうじ店は、規格外のため廃棄される果物や野菜を使ったさまざまな甘酒を製造し、人気を集めている。専務の山口和真さん(29)は「発酵食品を通じて、地域農業の発展につなげていきたい」と話し、商品数を年々増やしている。  食品ロスの削減につなげようと2019年から製造を始め、今では10種類以上を販売している。傷があったり、色付きが悪かったりするモモやトマトを原料にした「桃ノ甘酒」や「トマト甘酒」などが代表格だ。  ほかにもこうじとコーヒー豆を使い、発酵中にコーヒー

          【福島の味わい】規格外が甘酒に変身

          【青森の味わい】珍味フジツボ 養殖へ着々

           青森県栽培漁業振興協会と地元研究者らが、珍味・ミネフジツボの養殖技術開発に取り組んでいる。最大の障壁だった種苗生産が実用化レベルに達し、関係者は「漁師の収入増、食資源を通した新たな観光誘客につながる」と期待を寄せる。  8月中旬、同県階上町にある協会施設の水槽内で、ホタテの貝殻に付着した稚ミネフジツボが元気に育っていた。「2013年に研究が始まり、ここまで10年かかった」。協会の松橋聡専門員(64)は感慨深げに話した。  ミネフジツボは同じ甲殻類のカニに似た濃厚な味わいが特

          【青森の味わい】珍味フジツボ 養殖へ着々

          地産地消で魅力再発見/JA全農フードマーケット事業部職員・今井明佳さんに聞く

           新型コロナウイルス感染症の5類移行で、各地で人の往来が戻ってきた。これを機に東北の食や農産物の魅力をいかに発信し、消費拡大につなげるか。JA全農(本所東京)が全国に展開する「みのりみのる」ブランドの飲食店のうち、仙台市のカフェやレストランを担当するフードマーケット事業部リテール事業課の今井明佳さん(39)に聞いた。  ―「みのりみのる」ブランドを冠した飲食店の役割は。  「『国産食材100%使用』と地産地消をコンセプトに、外食産業での国産農産物の利用促進を目的として全国規模

          地産地消で魅力再発見/JA全農フードマーケット事業部職員・今井明佳さんに聞く

          【宮城の味わい】ルバーブの地域ブランド化へ/新商品開発に取り組む

          海に近い宮城県七ケ浜町の畑で5月、シベリア原産の西洋野菜「ルバーブ」の刈り取り作業があった。フキのような見た目で茎が赤く、特有の酸味がある。  1890年ごろ、同町の高山外国人避暑地の住民が米国から種子を入手し、日本で初めて育てたと伝わる。町内の一部で栽培が続けられてきた。  町はゆかりのあるルバーブに着目。町内のレストランでメニュー化したり、「七ケ浜ルバーブ」として仙台市の市場で販売したり、2018年から地域ブランド化を推進する。  ルバーブは茎が緑色と赤色の2種類あり、赤

          【宮城の味わい】ルバーブの地域ブランド化へ/新商品開発に取り組む

          【岩手の味わい】養殖貝、ブランド化に力

           身はふっくら、かむと甘みとうまみが口に広がる。国内で唯一、産業ベースの養殖を手がける陸前高田市のエゾイシカゲガイは高級食材として、すし店や料亭などから引き合いがある。  「やっと出荷までこぎ着けた」。同市気仙町の要谷(ようがい)漁港で、広田湾産イシカゲ貝生産組合の熊谷信弘組合長(67)は採苗から2年を経て大きく育った二枚貝の選別作業を見守った。  波の穏やかな湾を活用し、新たな特産品をつくろうと広田湾漁協(砂田光保組合長)が着目。1993年に養殖技術を確立し、3年後に生産を

          【岩手の味わい】養殖貝、ブランド化に力

          【秋田の味わい】ラズベリー特産化に力/五城目町キイチゴ研究会

           秋田県五城目町の農家らが、ラズベリー(キイチゴ)の特産化に向けた取り組みを続けている。生産者でつくる町キイチゴ研究会の会長・佐々木雄幸さん(64)は、町が新たな特産品として生産に取り組み始めたことをきっかけに2007年に栽培を開始。現在は4種類を育てている。  佐々木さんら生産者と秋田県立大、菓子製造・販売のゆう幸(秋田市)は昨年、連携協定を締結。県立大の技術指導を受け生産したラズベリーを、首都圏の百貨店などに出店するゆう幸が菓子に加工して販売。県産ラズベリーのブランド化を

          【秋田の味わい】ラズベリー特産化に力/五城目町キイチゴ研究会

          【山形の味わい】産直併設、地元の食文化に

          マッシュルームの生産で国内シェア約20%を誇る山形県舟形町の舟形マッシュルーム(長沢光芳社長)。「おいしい食べ方、可能性を知ってもらいたい」との思いから、自社農場敷地内に産直レストランを併設しており、県内外から多くの観光客が訪れている。  2001年に創業した。当時の年間生産量は約140トンで、現在は約1500トンに。5人ほどだった従業員も約120人まで増えた。良質な地元の雪解け水や植物性肥料にこだわり、「有機JAS認証」を18年に取得した。  産直レストラン「マッシュルーム

          【山形の味わい】産直併設、地元の食文化に