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伝統と革新が交わる         若き蔵元が織りなす未来への挑戦③           【とうほくGenki × 秋田県酒造組合】

 海外での日本酒人気が高まる中、国内では若者の日本酒離れが課題となっています。その中で、日本酒の魅力を若い世代にアピールしようと、各酒蔵による伝統にとらわれない新しい「日本酒」へのアプローチが注目を集めています。
 若き蔵元たちの日本酒に懸ける新たな挑戦について、秋田県酒造組合 需要開発委員長を務める渡邉康衛氏(福禄寿酒造株式会社 代表取締役社長)へお聞きしました。

「酒質第一」の技術開発と
各蔵の個性を強みに魅力を発信

 当組合の信条は「酒質第一」。酒類の開発や高品質化の研究に取り組む「秋田県醸造試験場」と情報交換を重ねて、秋田県産酒の安全性と品質向上を追求しています。
 また、需要開発のため、秋田県内や首都圏でイベントを開いて魅力をPRしています。10月1日の「日本酒の日」に秋田駅前でイベントを開催し、悪天候にも関わらず1,000人以上の来場者でにぎわいました。
 秋田県産酒は各蔵の酒造りの個性が際立っており、その違いが魅力となって日本酒ファンに高く評価されています。これは長年、先人たちが取り組んできた酒質向上への努力と、山内杜氏による酒造りの伝統の技が基礎にあってこそ。各蔵で作り手の世代交代が進む中で伝統と革新が合わさり、県産酒の今の飛躍につながったと思います。
 県産酒の魅力や各蔵の取り組みを周知するべく、PR事業、当組合および各蔵が行うSNSでの情報発信、プレスリリースなどを行なっています。

10月1日の「日本酒の日」に開かれた「秋田の酒を楽しむ会」は、多くの人でにぎわった

酒造りへの探求心は変わらずに
新たな需要の開拓は積極的に

 私たちは今後も「酒質第一」を追求し、県醸造試験場と情報を交換しながら酒造りの技術向上に努めます。また、新たな酵母や酒造好適米の開発、それらの魅力を生かした酒造りを進めており、近年デビューした酒造好適米「一穂積(いちほづみ)」「百田(ひゃくでん)」を使った酒は「令和4酒造年度 全国新酒鑑評会」で多数入賞しています。
 こうした話題とともにPR事業にも積極的に取り組んで参ります。来年の2月には各蔵で酒蔵開放を行うほか、4月には東京・恵比寿で4年ぶりに県産酒の大規模なPRイベントを開催する予定です。コロナ禍を乗り越え、イベントや飲食店ににぎわいが戻りつつある今、秋田の清酒業界を一層盛り上げていきたいと考えています。
 酒造りは、古くから秋田の主要産業です。これからも研究機関や行政と手を取り合いながら、伝統を生かした新たな技術の開発、酒質向上、需要開発に努めて参ります。

秋田駅前で開かれた「秋田の酒を楽しむ会」の様子

秋田県酒造組合 需要開発委員長
福禄寿酒造株式会社 代表取締役社長 
渡邉康衛(わたなべ・こうえい)氏

 1979年3月生まれ。東京農業大学醸造学科卒業。2001年福禄寿酒造株式会社入社し、2010年代表取締役就任。他に㈱渡彦農醸、発酵パーク㈱の代表も務める。五城目町出身。44歳。

秋田県酒造組合
秋田市川尻若葉町1-12  TEL/018-863-6455
URL/http://www.osake.or.jp

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