なくても良いけど、あれば生活が豊かになるもの

先日の会食の時、ささやかだけれど日本食をいただいた。

いもけんぴと和風パスタソースわさび風味。ぼくの日本食に対するスタンスは、なくても別に死にはしないからないないで別に構わないというそっけないものだった。

だった、とはそれが変わりつつあることを意味している。

そもそもぼくが「ないならないで別に構わない」というスタンスでいられるのは、できるだけ身軽でいたい、フットワーク軽くいたいというミニマリズムっぽい思想から来ている。

だから、ここに赴任するとき、母や友人が日本食持って行きなよと何度言おうが「荷物増えるやん」としか考えられなかった。その先の、その食材で何ができるかまで想像力が働かなかった。ぼくがその日本食によってどれだけ満たされた生活をしていたのかも含めて。

それほど、ぼくの中では荷物増やしたくないという思想は強く、絶対君主としてトッププライオリティとして君臨していた。

それが、みずしらずのカリフォルニア在住の日本人の方がサッポロ一番塩ラーメンを届けてくれたりとか、台湾人の家で中華料理食べたりだとかしているうちに、自分の中でいろいろ変化が起き始めた。

なくても生活できるけれど、あれば日々の生活が豊かに、そして容易にハッピーになれる、と感じ始めた。ぼくの絶対的ミニマリズム思想の瓦解の瞬間だ。

たぶん、アジア食材入手困難地域に居住しているというもある。フィリピンにいたときはそんなことは感じなかった。

というわけで、前置きが長くなってしまったけれど、ぼくの生活にささやかな幸せを与えてくれるもの食材編として３つ今日は紹介したい。

かつおだし（ほんだし）

ぼくの中での鉄板。なんでもとりあえずこれさえ入れておけばそれっぽい味になる。ぼくは明石焼きが好きで、だし巻き卵もすきなんだけれど、これを入れて卵焼きをつくればそれっぽくなるのでぼくは東京にいたときは良く食べてた。

セントビンセントではもちろん手に入らないんだけれど、先々月帰国した前セントルシア所長宅から期限切れのほんだしをいただくことができたので大変重宝してる。期限切れだけどね。

ごま油

大好きごま油！中華料理にも、韓国料理にもごま油！風味が良い。これ使えば、野菜炒めも和風というか東アジアっぽい香りを醸し出すから好き。こっちでも奇跡的に売ってる。アジア食材は俺が買い支える！という勢いで買ってる。うそ。けど、そこそこ買ってる。

オリーブオイル

エキストラバージンね。

和食ちゃうんかい！とツッコミがきそうだけれど、ぼく結構好き。

バケット（この国にそんなものはないが）をトーストしてエキストラバージンオイルにちょっとひたして食べたりする程度には好き。

日本のスーパーとかで売ってるのは７割くらい品質の悪い残念なやつなんだけれど、本物の良いエキストラバージンのオリーブオイルはさっぱりしてて油特有のぬめっとした感じがない。イタリアとかギリシャの人はショットでそのまま飲んだりしてる。

その本物って、素材の味を抜群に引き立たせてくれる。

しょうもないレタスとトマトを切っただけのものでもエキストラバージンのオリーブオイルをかけると、口の中で味が膨らみ、抜群に芳醇になる。どういう言葉が適切かわからないけれど、味がものすごくクリアーになる。鮮やかというべきか。

とにかく、しょうもないレタスとトマト切ったやつが、小洒落たレストランででてくるシェフの気まぐれサラダに様変わりするわけだ。

その他、オリーブオイルの何が良いかって健康。不飽和脂肪酸が多く含まれてる。この不飽和脂肪酸はコレストロール値を低める働きがあるといわれている。その他、悪玉コレステロールのみを除いてくれるオレイン酸とか、リノール酸とか、ビタミンE、抗酸化物質だとかいろいろ含まれてる。

こういうのが健康ブームを呼び、イタリアンマフィアなんかが他のオイルと混ぜた質の悪いものでもエキストラバージンとして売り出して荒稼ぎした/してる経緯があるから、日本で売ってるエキストラバージンも大半が偽物だったりするわけだ。

ぼくが好きなのはアルベルキーナの少し甘い感じのするものか、ピクアル種のちょっと青みのあるテイスト。

なんでこんなにオリーブオイルだけ長々と語っているかというと、エキストラバージンのオリーブオイルがこの国でも手に入るということがわかったから。

もともと知ってたけど、日本と同レベルで高かったから本物かどうかも含めて試すに試せなかった。

けれど、冒頭の通りぼくの中で価値観のパラダイムシフトが起こり、QOL（Quality Of Life）を追求しようとささやかな幸せを求め始め、その一環でエキストラバージンオリーブオイルにも手を出したというわけだ。

結果、パーフェクトではないけれど十分に高品質でコスト的にも許せるものに巡り合うことができた。

そう、ぼくは非常にうれしいのだ。

昨日まではバターとジャムでトーストを食べていたけれど、今日からはオリーブオイルのみ。

パレルモのカフェでモーニングを食べているような気分になっている。

この効果はあと2、3日でなくなってしまうだろうけれど、こういうささやかな幸せをね、噛み締めつつ、今後も探していきたい。

チャオ！