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俺は髪の毛で差別化を図ってるんだよ、このやろう!

重いと感じるほど髪の毛が伸びた。

最後に髪の毛を切ったのは12月だから、かれこれ半年ほどまともに髪の毛を切っていない。両サイドは月1回の頻度でバリカンで刈り上げているけれど他のところはそのまま伸び放題。

もともとベリーショートだったのに今じゃ前髪が目の下まできている。

暑いし、重いし、髪型はキマらないし、良いことは全然ない。

それでも、まだ切る予定はない。

長髪になりたかったわけではない。このあとパーマをあてたいわけでもない。コーンロウをやりたいわけでもない。編み込みをやりたいわけでも、ラスタマンになりたいわけでもない。

差別化、すべてはその1点のためだ。

ここセントビンセントは黒人が大半で、ぼくらのようなアジア人は両の手足の指の数ほどしかいない。接する頻度も多くない。

となると、多くの日本人が黒人を見分けられないように彼らもぼくらを見分けられない。みんな同じ顔に見える。見えている。

ぼくが東京で新米法人営業としてデビューしたころ、優秀な先輩社員から「営業マンはまずはいかに自分を覚えてもらうかが重要なんだ」と言われた。「新米の君は名刺交換をしてもその数分後には名前は忘れられている。交流会なら名前はもちろん顔も社名も覚えてはもらえないだろう。なにせ数が多すぎるし、新米は予算もなんの権限もないだろうからね。そこをどう攻略するかが最初の壁だ」と。

伝統的なやり方は、とにかく何度も通って顔と名前を覚えてもらって、「〇〇の分野なら、あの人に相談してみるか」と思ってもらうこと。あの人に任せてみようかという信頼を獲得することが大事なわけだ。

おそらくそれはどこの国でも同じなわけだけど、その信頼を獲得する前提として認知を獲得しないといけない。何回も会う内に区別できるようになってくる…ではなくて、早い段階で区別してほしい。視覚障害者協会のあいつだと認識してほしい。結果的に多く通うことになっても、正確に認識してもらうまで1回でも少なくなるのならOK。

その一つの要素としてぼくは髪の毛を伸ばしている。

だって、この国のアジア人はみんな丸坊主かベリーショートという名のスポーツ刈りだから。サングラスかけてたらぼくだって見分けつかないときあるもの。

この国の地方の方なんてそう簡単に訪問できるような交通状況じゃないから1回で見分けられる、覚えてもらえるわかりやすい何かが必要なのだ。

「髪の毛長いから、あいつは視覚障害者協会のやつやな」となればよい。それでいい。みんな同じ顔に見えるという現実があるんだから、それを見分けられるようになるまで待つなんて悠長なことは言ってられない。だからこっちから見分けられるポイントを作ってやっているのだ。

それに、髪の毛長いアジア人=視覚障害者協会のあいつというふうに多くの人が認識してくれるようになれば、ぼくが町を歩くだけで、それだけで、同時に視覚障害者協会を想起してくれるわけでそれはとんでもなく認知の寄与になって協会のPRにもなる。歩く広告塔となる。

ぼくがわざわざ一生懸命説明したりして、わーわー言わなくてもサブリミナルにワークしていくわけだ。理想論だけれど。

ぼくの労力はほぼなし。なんてお得な戦略。少しでも楽したいぼくにはちょうど良い戦略。

あとは長髪のアジア人が現れないことを祈るばかり。

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