男友達を連れてレズ風俗に行った②
サークルで過呼吸を起こしていたら助けてくれた同期と5年後、レズ風俗に行った。
彼の名前を仮にマイケルとしておく。彼にマイケルというあだ名がついたのは「英語の授業の後だったから」。
私の話を少しさせてほしい。私はバイセクシャルである。
そのことに気付いたのは10年前かもしれないし、昨日かもしれない。
ずっと自分を構成する一要素に、「気付く」というのがそもそも不自然かもしれない。「私って、人間なんだ」と気付くことはあまりない。
恋愛も、それ以外も、男性としかしたことがない。なぜかと聞かれれば、「その方が楽だから」である。出会いやすいし、交際に発展しやすいし、なにより定石がある。どうなったら始まりで、どうなったら終わりなのかがわかる。たいへん楽である。それに男の子はまっすぐで、どこか子どもで、かわいい。それなのに力では絶対勝てなくて、かっこいい。
好きな女性はずっといた。でもそれはいけないことだった。
バイがダメなんじゃない。親友をそんな目で見るのがいけない。
異性の友人に恋をすることは、世間一般にはままあるだろう。それに相手の性別が自分と同じか違うかで、恋をしていい・悪いと決まっているわけではない。
でも私の好きになる女性はいつも、一番の親友で、恋愛が下手で、かわいくて、良い子だから、へんな好意を向けられて、傷ついて。
一番の親友である私だけは、傷つけるわけにはいかなかった。
自分が隠し持つ「へんな好意」を、今も許すことができないでいる。
マイケルとは砂浜過呼吸事件の前からそれなりに仲のいいサークル同期で、今年で6年くらいの仲になる。
彼は一言で表せば「影のあるおもしろお兄さん」である。色白の長身、妙にしっくり来るラーメンズみたいな服装に、吸いもしない赤マルのブローチがついていたりする。
「ラーメンズみてえな出で立ちしやがって」と茶化すと、「しゃべくり漫才の方が好きなのに」と怒る。
色白長身で影のあるラーメンズみたいなお兄さんなので、当然いわゆるメンヘラによくモテる。適応障害、不安障害、躁鬱、うつ病何でも来いだ(当人はあまり好ましくは思っていないが)。
そのため、うつ病と診断された私に対してもそれまでと寸分違わぬ態度で彼は接した。
図に乗った私は、彼に(当時まだ)ツイッター(だった)の裏アカウントをフォローさせ、私に関する一切合切が彼の目に入るようにした。仕事も、体調も、趣味も食も性も。自傷OD自慰排泄の報告まで。
彼が受け入れてくれるなら彼だけでいいやと、なぜか思った。
好きでもないのに。
彼ことマイケル氏が、私がバイセクシャルであることを知ったのはそう最近のことではないだろう。