黒猫と金貸し 03

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case03-02 : 濃紺の道化師

ふぅ…とタバコの煙が夕暮れ時で朱色に染まった空に、ふわりとかかる。海沿いの倉庫裏の一角。設置型の大きな灰皿にタバコを押し付けると、隣にいた現場の責任者に声をかける。

「それじゃ、あとはよろしくお願いします」

まったく今日は朝から動きっぱなしだ。ガシャンガシャンと耳をつんざくプレス機の轟音から逃げるように、待たせていたタクシーに足早に乗り込む。

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新浦安は埋め立て地に

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case03-01 : 道化師からの手紙

2月。時刻はまだ午前中。
窓越しに見える通りには、行き交うサラリーマンの姿が目立つ。

お気に入りのファミレスの、お気に入りの日が差し込む窓際ソファ席で注文が届くのを待つ。浅く腰掛け、背もたれに大きくもたれかかり、足を組み、天井を仰ぎ見る。お世辞にも姿勢が良いとは言えないが至福の時間だ。

店内は暖房が充分にきいており、冬用のコートは少し蒸し暑く感じたが、脱ぐ動作すらしたくなかった。絶妙なバランス

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