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怪我をした時の食べ方について

今日は「怪我をした時、どのような食事を心がければいいのか?」について書いていきます。

私はこれまでスポーツ現場を中心に、主にアスリートの障害後の競技復帰をサポートしてきました。競技復帰を目指す過程において、多くの選手から「怪我を早く治すためにはどんな食事を摂ったらいいですか?」という質問を受けてきました。現在勤務しているスポーツ整形外科クリニックにおいても同様に、患者さんから聞かれることが非常に多いです。身体の修復に必要な栄養素をしっかり摂り、できるだけ早く炎症を抑えたり、壊れた組織を治したりすることがとても重要です。

私も実際のリハビリテーションにおいて、栄養指導や怪我をした時の食生活の注意事項の説明を必ず行います。食への意識を高めて、円滑にリハビリテーションを進めることがとても大事だからです。

今回は怪我の修復に効果的な栄養素や避けたい食品、食生活における注意事項について解説し、現在リハビリを行う方にとって有益な情報になるとうれしく思います。

怪我をした時はなぜ食への意識が重要になるのか?

①怪我による炎症をできるだけ早く抑えて、組織の修復を促すため。
②運動量の低下による体重の増加を防ぎ、患部に余計な負担をかけないため。

①怪我による炎症をできるだけ早く抑えて、組織の修復を促すため

何らかの大きな外力が身体に加わり、骨や筋肉、靭帯が損傷を受けると炎症が起きますが、その炎症をできるだけ早く取り除くことがとても重要です。壊れた組織の修復に必要な栄養素をしっかり摂り、組織の回復に努めましょう。

②運動量の低下による体重の増加を防ぎ、患部に余計な負担をかけないため

怪我をした時は運動量が極端に減ってしまうため、体重が増えすぎないように食事で調整することがとても重要です。体重が増えてしまうと怪我をした部位に余計な負担をかけてしまい、円滑にリハビリテーションが進められなくなったり、再発のリスクが高まったりします。

積極的に摂りたい栄養素について

①ビタミンC

抗酸化作用がとても強く、組織の修復に欠かせない栄養素です。野菜や果物に多く含まれていて、熱に弱い性質があるため、生で食べることをおすすめします。

〇おすすめ食材・・・キウイ、イチゴ、ミカン、トマト、パプリカ、キュウリ、レタス

②タンパク質

人間の骨格を作る骨や筋肉の主な材料はタンパク質です。骨はカルシウムで作られていると思われがちですが、タンパク質を中心にカルシウムやミネラル、ビタミンB群・D・K、マグネシウムといった栄養素が連携して作られています。

筋肉や靭帯はいずれもコラーゲン線維でできていて、そのコラーゲン線維は主にタンパク質ビタミンCで構成されています。そのため、骨や筋肉、靭帯などの組織の修復にはタンパク質が必要不可欠です。

〇おすすめ食材・・・豚肉、鮭、納豆、サバ、マグロ、鶏肉、卵

③ビタミンB群・D

ビタミンB群は代謝を活発にし、身体の潤滑油として重要な働きをします。ビタミンDは腸でのカルシウム吸収を促し、骨づくりを効率的に行います。

〇おすすめ食材・・・キノコ類、小松菜、ほうれん草、豚肉、鮭、バナナ、レバー

避けたい食べ物について

①揚げ物料理

高温加熱によって調理された料理は空気に触れれば触れるほど酸化が進んでしまいます。そのような料理を食べると体内の活性酸素を増やす一因となり、組織の細胞を傷つける恐れがあります。特に揚げてから長時間経過した料理は極力食べるのを控えましょう。

②砂糖を多く含む食品

揚げ物料理と同様に、砂糖は身体を酸性に傾けるため、体内の活性酸素を増やしてしまいます。組織の細胞を傷つける可能性が高くなるため、避けてほしい食品です。清涼飲料水や菓子パン、デザートに多く含まれていて、そういった食品を好んで頻繁に口にしている方は特に注意が必要です。

体重を必要以上に増やさないための食事

①高タンパクで低脂質な食材を選ぶ

高タンパクで低脂質な食材といえば、豚肉や鶏肉、魚介類、納豆や豆腐などの大豆製品です。肉類は脂身や皮をあらかじめカットして調理をすると、余分な脂質を抑えることができます。

②砂糖を多く含むお菓子や菓子パンを控える

お菓子や菓子パン、洋菓子などの含まれる砂糖や小麦粉、バターには糖質や脂質を多く含み、体脂肪の蓄積を生みやすいという特徴があります。またビタミン類やミネラルが少なく、組織の修復に使うための栄養素が不足しやすくなってしまいます。

③炭水化物の量を少しだけ減らす

 怪我によって運動量が減るため、食事で摂取するエネルギー量を減らす必要があります。ご飯の量は運動しているときの2/3が目安です。ジュニアアスリートにおいては成長するためのエネルギー量を確保しなければいけないため、極端に減らしすぎないことが大事です。

おすすめの食事を紹介します

①ボロネーゼパスタ

主食のパスタに、人参や玉ねぎ、セロリ、豚のひき肉、トマトソースを煮込んで作ったボロネーゼソースをかけた1品。トマトに含まれるリコピンは抗酸化作用がとても強く、熱に通すことで吸収率が高まるとされています。

②お寿司

タンパク質やEPA、DHAといった良質な脂質を摂れるため、怪我をしたときや身体の回復を早めたい時に食べてほしい食材です。

③納豆ねばねば丼

白米の上に納豆、オクラ、卵黄、海苔が載ったこちらの1品。オクラには抗酸化作用があるビタミンAやカルシウムが多く含まれています。納豆は骨作りを助けるビタミンB群・Kを豊富に含み、意識して食べたい食材の1つです。

④豚肉の生姜焼き

豚肉にはタンパク質やビタミンB群を多く含まれていて、代謝を促すために重要な食材の1つです。玉ねぎと一緒に炒めることで、ビタミンB群の吸収率が高まります。妻が作ってくれたこちらの生姜焼きのタレにすりおろしのリンゴが入っていて、とても美味しかったです。

⑤明太子パスタ

明太子にはタンパク質やビタミンB群、ナトリウム、カリウム、ビタミンCなどの微量栄養素が含まれています。怪我の修復に必要な栄養素を1度に摂ることができるため、おすすめです。


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