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13【10年以上続く事業】となるための事業計画作成法⑦~顧客に届く事業となるための分析を簡単にする方法(カスタマージャーニー分析の基礎編)

「私の住んでいる地域を元気にしたい!」そんなあなたの想いをサポートしたい!Мの行政書士・上杉哲哉です。(福島県会津若松市と栃木県日光市に在住しています)

事業とは【誰かの課題を解決する】ことです。

前々回まで、この「誰かの」に注目し、事業のターゲットとなる顧客層を分析する方法について考えました。そして前回は、ターゲットの課題を深堀するための分析法となるペルソナ分析について学びました。 

今回は、ペルソナ分析で描いた顧客像をさらに具体化するための分析法である「カスタマージャーニー分析」について、2回に分けて学びます。

カスタマージャーニー分析」の基礎となる「エンパシーマップ分析」。このエンパシーマップ分析を通じて顧客増をさらに具体化できると、顧客の課題をより具体化できるようになります。

一緒に考えていきましょう!

(1)ペルソナ分析で割り出した顧客像をさらに深堀する理由

なぜ、ペルソナ分析で具体化した顧客像をさらに具体化する必要があるのでしょうか?

それは、ペルソナ(顧客像)を想定する際に、偽りのペルソナ像を設定してしまうことがあるためです。自分の事業の具体化を焦るあまりに、自分の設定した事業課題にぴったりあう顧客像を作り出してしまう失敗が多くあります。事業主にとって都合の良い顧客像を作り出してしまうのです。

(事例)GoogleによるSNS市場におけるペルソナ設定ミス

Facebookが台頭し、SNSが世界的な広がりを見せていく中で、Googleも独自のSNSの開発を始めました。

しかし、Facebookの成長があまりにも早かったために、GoogleのSNS
開発チームは焦り、リリースを速めたいおもいで、自分たちが開発できる技術から逆算して顧客像を作り上げてしまったのです。結果として、SNS利用層には存在しない顧客像となってしまっために、Facebookに圧倒的大差をつけられて、SNS市場から撤退せざるを得なくなりました。

大企業でも、事業を具体化したいがために、前のめりになってしまうことがあるのです。よって、ペルソナを設定し、顧客セグメントを設定する際には、慎重な分析が必要となります。そこで用いられる手法が、カスタマージャーニー分析。そしてカスタマージャーニー分析の基本となるエンパシーマップ分析です。

(2)カスタマージャーニー分析の基本~エンパシーマップ分析

①エンパシーマップを作るメリット

エンパシーマップ分析とは、顧客の想いに着目する分析です。ペルソナで設定した顧客の想いを詳細かつ具体的に考察していきます。

エンパシーマップ分析をするメリットとして以下の3点が上げられます。

ペルソナを描写するとき、見逃した事実に気が付き思いもよらないアイディアが生まれる可能性がある。

事業を進めるチームでの共通理解が深まりやすくなる。顧客の心象や行動をチーム全体で共有できるので、事業チームに所属する各個人の多様なアイディアが出しやすくなる。

・顧客の様々な状況における特定の行動を分析することが可能となるため、事業課題の論点がより具体的になる。


②エンパシーマップの作成法

ペルソナで設定した顧客の想いとして想定されるものを、以下の6つの視点ごとにまとめていきます。

①何を考え、感じているのか?(Think)
⇒顧客がどういったことを心配し、何を望んでいるかを特に注目してまとめる。

②何を周囲から聞いているか?(Hear)
⇒顧客が、周囲にいる人(上司・インフルエンサー・友人・家族など)からどういう情報を聞いているのか?

③何を見ているか?(See)
⇒顧客の生活環境や交友関係についてまとめる。そして、事業で取り扱う課題が存在する市場をどう見ているかについてまとめる。

④何を言い、行動するか?(Say)
⇒顧客の周囲に対するふるまい方は?

⑤どんな痛みを感じているか?(Pain)
⇒顧客の恐れ、障害、フラストレーションとなっているものをまとめる。

⑥何を得たいのか(Gain)
⇒顧客が欲しい物(wants)、必要なもの(ニーズ)、成功指標は何か?

以上の6点をまとめ、顧客の想いを想定し、顧客像をより具体化していきます。

(事例)顧客の想いを具体化して成功したクックパッド
クッキング情報アプリでおなじみのクックパッド。その創始者である佐野陽光氏は著作において、顧客の想いをより具体的に想定することの重要性について以下のように述べています。

サービスの送り手というのは、しらずしらずのうちにお客様に甘えてしまう。送り手側が、このくらいできて当たり前だよね、ということを思ってしまう

佐野氏はクックパッド立ち上げ時に、自分の都合の良い顧客像を築き上げないよう、常に気を使っていました

例えば、アプリの作り手が男性だけの場合。主婦層をターゲットにしたビジネスをする際に「まあ、主婦だから時間はあるだろう」といった、ある意味、男性ならではの?!思い込みをすることが多いという現状があります。

しかし、現実として、主婦の方々は忙しく、時間がありません。特に夕飯の支度をする夕方は、子どもの送り迎えや買い物、洗濯の取り込みといったタスクが重なり、多忙な状況となっており時間的余裕がないのが現実です。

そのような状況下で夕飯のレシピを調べようとサイトやアプリを開いたときに、ページ表示やアプリメニューがシンプルになっていなければ、早々に離脱して、他の媒体でレシピを探すようになってしまいます。主婦の方々は、より手軽に、そして簡単にレシピを検索できるサイトやアプリを必要としていたのです。

そこでクックパッドは主婦の実際の生活や想いを詳細かつ具体的に分析することで、見えにくかった課題に気が付いたのです。そしてこの課題を重要視し、クックパッドは自社サイト、アプリにおける表示速度に徹底的にこだわりました。

エンジニアが1秒早くすれば、顧客となる主婦の笑顔がそれだけ増えるということを想定して事業に取り組んだです。

結果として、2020年までに、6000万人を超えるユーザーに利用されるサービスとなったのです。エンパシーマップを利用して徹底的に顧客の想いを具体化した結果として、業績を急速に伸ばすことに成功したのです。

★以上の6項目をまとめて書くことで、顧客のより具体的な思いが具体化されるので、よりリアルな課題を見つけやすくなります。結果として、より顧客の想いに沿った事業展開をすることが可能となるのです。


―まとめ―

(1)自分の事業を具体化することを焦るあまり、自分が設定した課題にあう顧客像を作り出し、市場に存在しない顧客像を作り、事業が具体化しても顧客がいないという失敗をすることがよくあります。

(2)これを防ぐ方法が、エンパシーマップ分析です。顧客のThink、Hear、See、Say、Pain、Gainをまとめることで、顧客像をより具体的なものとして設定する分析技法です。 

次回は、今回エンパシーマップ分析で設定した顧客像が、どのような課題を持つかをより具体化し、事業の具体化に直結させやすい課題発見につながる「カスタマージャーニー分析」を簡単に実施する方法について学びます。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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