マガジンのカバー画像

映画ラブ

94
素人の映画感想文的な何かです。
運営しているクリエイター

2023年11月の記事一覧

映画『ザ・キラー』(Netflix)

映画『ザ・キラー』(Netflix)

 成功が続いて自分は特別だと思っていても、たった1回のミスだけでどこにでもいる凡人に成り下がる。それどころか、生きている価値も無い、あるいは、生きていては危険な存在ですらある。
 だから、運命というようなまやかしに頼らずに、自分の過去を受け止めなければならない。

 暗殺請負人という仕事はどこか特別な印象を与えるが決してそんなことはない。退屈な上に、気をつけなければならないことは無数にあり、たった

もっとみる
映画『ドライブ・マイ・カー』

映画『ドライブ・マイ・カー』

 感情と言葉と思いは全てちぐはぐで噛み合わない。そこに気遣いが入り込めばことは複雑になる。

 普段私たちは言葉によって会話していると思っているし、言葉によって思いが伝えられると考えている。では、感情や思いを取り除いた言葉だけで何かを伝えることが出来るだろうか。言葉だけのやりとりに内在するコンテキストから、感情や思いが立ち昇ることがあるのだろうか。もし、言葉そのものにそこまでの力が無いのだとしたら

もっとみる
映画『BABYLON』

映画『BABYLON』

 その時には目の前のことに夢中で分からない。時代の変遷の荒波の只中にいることを思い知った時、自分の時代が終わったことに愕然とするだろう。押し寄せる新しい波は得体が知れず理解不能で、自分たちが忘れ去られていくことに恐怖さえ覚えるだろう。
 第一線からも第二線からも遠ざかり、残り物を充てがわれるようになってもしがみついていれば、気づくものも気づかないままに、道を見失うこともある。

 あの時を振り返る

もっとみる
映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』

映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』

 何を書いてもネタバレになりそうな映画だ。
 誰が登場して、どんなことをして、どんな経過を経て、どんな結末を迎える。そんなことは1ミリも書けない。だからいつものように、私が見て感じたことをつらつらと連ねるだけ。

 遍く人権が認められるようになった現代のアメリカで、人種や性による差別が無くなったかと言えば決してそんなことはない。差別的意識は人々の中に深く根を張っている。パブリックな場面では表面化し

もっとみる