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「肉」と「福祉」と「メンタルヘルス」。連携がメンタルの回復を支える。

福祉サービスと焼肉屋が共存するビルがある。

「肉」と「福祉」と「メンタルヘルス」。

今回はこのビルにおける「肉」と「福祉」の関係について。

テーブルに七輪をセットし、炭火で焼く肉はとても味わい深い。すると当然、煙が立つ。肉の油を含んだ煙は、各テーブルの上まで伸ばされた筒から排煙される。

この筒を障害福祉サービスを利用するメンバーさんが清掃している。

筒先から排煙フィルターまで8つ程に分解し洗浄する。

洗浄したパーツの水分を拭き取り、手順通りに組み上げる。最後にアルコールクロスで消毒、拭きあげて完了。

他にも七輪清掃やテーブルバッシングなどの業務を委託されている。

施設内で行う軽作業よりは工賃が高い。

これがステップアップのモチベーションになる。

作業時間までに通所できる生活リズム、作業意欲、困った時に何でもいいので発信できるスキルがあるメンバー、もしくはそれを練習している、向上したいと考えているメンバーが担っている。

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「工賃」。これは福祉の仕組み。

B型事業所と呼ばれる障害福祉サービスでは、生産の機会の提供がサービスの一つだ。障害を個性に持つメンバーさんへ、社会参加の機会を提供するとともに、生活能力や就労能力の維持、向上を支援する。

給与や賃金ではなく、工賃だ。B型事業所はメンバーと雇用契約を結ばない。福祉サービスの利用契約のみ。労働ではなく、支援ツールとしての作業という位置づけとなる。

焼肉屋の店舗清掃も同様。

実際に営業する店舗という場所、設備、本物のお客様が楽しまれた痕跡、委託費を使って福祉的支援に繋げる。

月に1~2回は店長が見に来て、よく動けているメンバーや笑顔が素敵なメンバーなどに、Good Job賞やベストスマイル賞など、5つほどの賞状を授与してくれる。もちろん、賞状に該当しない日もある。

キレイになること、手順通りに作業できた経験、高価な設備の使用、作業時間までに通所できたという自信、賞状をもらったという誇り、自分にもやれるんだという自己効力感。普段より高い工賃。

これらは精神的な個性を持つメンバー(精神障害者)の回復過程にとって、大きな意味を持つ。メンタルヘルスの維持、向上のための重要な役割をこの焼肉屋が担ってくれている。

これがこのビルにおける「肉」と「福祉」の関係。

メンタルヘルスの拠点となるビルのお話。

次回は、「ドラえもん」から見る「心理・福祉的支援」について書こうと思う。


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