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名文引用箱

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読んだ本の中から名文を引用し箱の中に放り込んでゆきます。
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#海外文学

名文引用箱

《「あいつは自分でだめになっているんだ。もし、お前がそれをとめようとしたってできっこないな。これからあとで俺があの女を捨てるとすると、すごくだめになったみたいに見えるだろう。だけど、あいつがお前を好きになるとすると、そいつはたちまちのうちに回復するな。ほとんど以前と変らないぐらいにだよ。ところがだ、あいつはそこであらためてだめになる。自分でだ。それに、倍も早くだよ。そうしたらお前は、もう我慢できな

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《感謝というのは、時と場合によっては、物乞いだ》(ローベルト・ヴァルザー「タンナー兄弟姉妹」)

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《ねえ、わたし、勘違いというのが大好きなの、あなたも同じで、勘違いが好きに違いない、わたしにはわかるわ》(ローベルト・ヴァルザー「タンナー兄弟姉妹」)

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《まだ自分自身、何者でもないといっていいあなたが、同じように何者でもない人を嘲る理由なんてありはしないわ。自分も運命と闘っている、他の人もその人なりのやり方で闘っている、それでいいじゃない》(ローベルト・ヴァルザー『タンナー兄弟姉妹』)

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《『大きな世界』っていうやつは、兄さん、なんて大きくないんだろうね!》(ローベルト・ヴァルザー『タンナー兄弟姉妹』)

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《「本当に申し訳ありません」男は名刺を差し出しながら言った。「さいわい、保険に入っていますので」「それで片がつくとでもお思いで? それで片がつくとでもお思いで? それで片がつくとでもお思いで?」》(ディーノ・ブッツァーティ「現代の地獄への旅」)