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『重版出来!』じゅうはんしゅったい!と読むんです!

※本記事は、「マンガ新聞」にて過去に掲載されたレビューを転載したものです。(編集部)

【レビュアー/堀江貴文

重版出来とかいて「じゅうはんしゅったい」と呼ぶ、意外と読み方が知られていない出版用語。

私も多くの人々と同じく「じゅうはんでき」だと思ってました(笑)

さて、この漫画は元女子柔道選手で出版社に就職して、漫画雑誌編集部に配属されたガッツと体力だけはある系女子の編集者奮闘記。

ありがちな話ではあるのだが、良い作品を編集者と作家が一緒に作り上げていくだけでなく、それをどうやって本というパッケージに仕上げて販促していくのか、という過程をライブ感たっぷりに漫画にしているのである。

まさに私が「ゼロ」の販促でチームを組んでやっている事と被りまくっていて、さらに泣けるストーリーも散りばめられてて不覚にも涙をながしてしまったり。

そういう事情もあって、奥付には編集者だけでなく、装丁・レイアウト・営業スタッフに至るまでクレジットされている。

また、SNSでの拡散やデジタル出版など最新の事情もネタとして採用されている。

実際の所その辺は、出版業界でもあまりこれまで明らかにされてこなかった所でもあるので、現場の生々しさがダイレクトに伝わってきて非常に興味深いものがある。

長期にわたって新規連載が始められないダメな漫画家の所に、過去の名作のデジタル化を頼みに行くシーンなんか、こりゃあ大変だなあって思わせるものがあるのだ。

激変する出版業界の、さらに先行する漫画出版のリアルが分かる本なのである。