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#34 『花とお金』と私

1冊の本に憑りつかれている。
須王フローラさんの『花とお金』だ。

難しい言葉や言い回しはほとんどなくて、読みやすい本のはずなのだけれど、内容が深くて立ち止まって読むページが1章ごとに5カ所くらいある。
私は比較的せっかちな性格なので、「白黒つけて次、次!」と読むタイプなのだが、この本はそれを許さない。

なぜなら「無理に分かろうとしなくていい」「分からないことはそばに置いておく」といった趣旨のことが書いていあるからだ。
となると、自分の「分からないこと」の神髄がどこなのかを立ち止まって考えるようになる。だから読み進めるのに時間がかかってしまう。


『花とお金』はビジネス書でもなく自己啓発書でもなくスピリチュアルでもなく「エネルギー哲学」というジャンル。

手に取ったきっかけは、ライターの巨匠である佐藤友美さんこと「さとゆみ」さんだった。

5/29にInstagramで『花とお金』の著書・須王フローラさんと対談ライブを開催する旨を知って『花とお金』を近所のTSUTAYAに急いで買いに行った(Instagramライブを知ったのは開催前日のだった)。
おそらく話題の中心になるであろうこの本を読んでおきたかったのだ。

私はこの本の帯に「これから、お金持ちをはじめましょう。」と書いてあるのをみて、「へっへっへ」とたいそう下品な顔でTSUTAYAのレジに並んでいただろう。しかし車の中でページを開いて、浅はかな自分を猛省した。



大学時代に「哲学」の単位はとったものの興味が湧かず、1年履修してその後は時間割に入れなかった。私は勝手に「哲学を司る脳は私の中にない」と判断し、自己啓発書は読んでも哲学書には手を出さなかった。

それなのに、だ。
この本は私にたくさん問いを投げかけて、優しく包み込んでくれる。

あなたがこれからしていくことは、「今」のあなたにできることだけです。
「今」のあなたにできないことは、真似をしてはいけません。
あなたにできることが、あなたのすべきことなのです。

須王フローラ『花とお金』より

「今の私」とこんなに向き合ったことないな。
でも私の枠(フローラさんはこれを「領分」と本書で語っている)を超えたことは無理にやらなくていいし、他人の真似事も禁止ということか・・・私のできることか・・・うーん、なんだろ。

てな感じで、見事に哲学の沼にはまった。

そして2章まで読み終わると、脳内はだいぶ掻き回されていてカオス状態。
とくにこの一節はカウンターパンチをくらった。

何度もやってくる壁に意地でもよじ登り、ついには鼻の奥から血の匂いがくるまで頑張ったとき、やっと自分の100%がわかるのです。

須王フローラ『花とお金』より

この章では100%の結果を出すには120%の努力と根性が必要と書かれており、見事に私の怠け癖を刺された。
情けないことに、はっきり言えてしまう。「私はライターとして、まだ120%は出したことはない」



さとゆみさんとの対談でフローラさんは「この本を書いていて一番楽しかったのは2章」とお話されていたので、ここはしっかり読みたかった。
さらに2章は、私の大好きな「ビジネスとお金」の内容もしっかり書いてあったため何度も行ったり来たりして読んだ。



なんとか読了してみると、フローラさんの文章は「私」の呼吸に合わせて走ってくれる「伴走的な本」だと感じた。
私の少し前を走ってくれて、私を肯定して、私を前に進ませようとしてくれる。
そして「そうか、私に足りないものはコレか。ココも足りないけど、あ、ココにも穴が・・・」なんて私が落ち込みそうになったら『わかったふりをしなくていい、その未解決なものは、そのままそばに置いておくこと』とアドバイスしてくれて、一旦落ち着くこともできる。

「ほおお。これがエネルギー哲学というものなのか」

苦手なはずの哲学ジャンルだけれど、私の中のモヤモヤは少しずつ晴れていく感じがした。無理に全部答えを求めなくて良い点も、すこぶる心地よい。

また、良い本に巡り合えた。それを自分の人生にいかせるのかは、もちろん私にかかっているのだが、この本は常に手元において自分と対峙する時間を「脳に癖付け」したい。



8月あたりに今勤めている会社を退職する予定だ。
フリーランスでがんばれるのか会社員に転職か悩んでいた。

本書には「ビジネスで売る商品は私」と書いてあったので、まずは私の価値から棚卸しなければ。
・・・とそこで気付く。「いやちょっと待って。棚卸するほど私って引き出しあったかな?」

「服は8着しか持たない」というミニマリストな私だが、まさかの自分自身の棚卸が一番簡単にできそうな事態に、内心焦っている。

エイジスを呼ばねばならぬくらいの「自分の引き出し」の在庫確保は、すぐには難しいかもしれない。
がしかし今年の年末までに、せめて5個くらいは増やしておきたい。




































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