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TLA Magazine vol.12 【執筆者の学び】

この連載は、アカデミー生がアカデミー生にインタビューを行い、リアルな声を記事としてまとめた企画です。vol.12では、企画の総集編として、これまでinterviewer / writerを務めた、えま・ゆーいがお互いにインタビューをし合い、最後の記事としてまとめました!

interviewer / writer / interviewee
島﨑 恵茉(えま)
東京都 高校2年生
吹奏楽部
SDGs for School 所属
やさしいせいふく 運営好奇心の赴くままに生きる東京都在住の高校2年生。音楽と対話が好き。アパレル産業に生じている社会問題の解決を目指している。

新宅 悠生(ゆーい)
大阪府 高校2年生
模擬国連部、放送部、科学部
First penguin Highschool(オンライン家庭教師事業) 元運営&元講師
校外プログラム大全 元運営
食が好きな大阪府在住の高校2年生。"学び"のために活動中。将来は生物工学を学びたい。

ー なぜTimeleap Academy (以下アカデミー)に参加しましたか?

ゆーい
自分の世界を広げ、将来の選択肢を増やすために参加しました。人1人の人生を感じ、そこから学ぶことで自分の世界を広げることができると思います。僕は高校に入るまで、小さな世界しか知りませんでした。特に起業家は今まで出会ったことのなかった人種だったので、得るものもその分多かったように思います。どこの誰のどんな人生からでも学ぶことは絶対にあります。「多種多様な人が持つそれぞれの人生から学んで、自分の糧にしたい。」というのがアカデミーを含めたこれまでの活動全てで僕が根底として持っていることです。

ー 期待していた学びは得られましたか?
アカデミーに参加する前からいくつかの事業を運営していましたが、実際に関わってる大人が少なく、人生レベルまで話したことも少なかったため、アカデミーでは人がどこまで考えているのかを知ることができました。またアカデミーでは将来のために年齢を問わず人脈を増やしたいとも思っていました。何かやりたいと思った時にやりやすくなったり、自分が今したいことがないからこそ、将来の自分のためになるような行動をしようと思っています。

えま
参加した理由は大きく分けて2つあります。一つ目は、自分の中に「起業」という選択肢を持ちたかったからです。私は中学2年生のときにSDGsを知り、SDGsを鍵に様々なイベントに参加してきました。当初は校外活動の「同じ意志を持つ仲間と、同じ目標に向かって行動をする面白さ」に魅力を感じていましたが、活動をすればするほど社会問題に触れる機会も多く、いつしか社会問題への関心や危機感がより強くなりました。そして「社会問題の解決のためには『起業』という選択肢をとる必要もあるのではないか。」考えるようになり、ちょうどそのときにアカデミーを見つけ、応募しました。
二つ目は、新型コロナウイルス感染症の流行によって先の見えない将来に大きな不安を感じていたからです。上記の通り校外での活動も行っていましたが、私にとって吹奏楽部での活動が全ての活動の軸でした。今まで4年間、ずっと今年1年間のために準備をしていましたが、コロナのパンデミックによって全ての舞台が水の泡になってしまいました。同時に、吹奏楽部というコミュニティでしか発揮されなかった私の価値が消えてしまったように感じて、それを埋め合わせるかの如く、様々な活動を始めました。今思い返すとアカデミーもその中の1つでしたね。

ー 記事を執筆しようと思いついた経緯と、その事業の意図は何ですか?
「どんな人が参加しているのだろうか。」という興味は当初からありましたし、完全オンラインだったからこそ、「人」が感じられそうで感じられなかった点で寧ろ余計にアカデミー生に興味を持ちました。8か月間、毎週2時間も顔を合わせているのに人肌が感じられないなんてなんだか不自然じゃないですか?笑
その「アカデミー生を知りたい。」という気持ちと、「なにか事業を形に残さなければならない。」という状況が相まったのが「未だ社会に発信されていなかったアカデミー生を発信する。」というこの事業でした。当初は「起業という選択肢を持つために。」と、アカデミーに参加していましたが、いつからか「今同じ時間を共有しているアカデミー生はそもそも何故アカデミーに参加したのか。」とか、「同じ講義を受けてアカデミー生はどんな感想を持ったのだろうか。」とか、「どういう過去があって、どういう事業を思いついたのだろうか。」など、アカデミー生への興味が強くなりました。また、この事業についてもヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリストの伊藤羊一さんや、エール​株式会社​取締役の​​篠田 真貴子さんなどメンターの方のフィードバックを受ける中で、「アカデミー生について知りたいと思うのは私だけではないのではないか。」と思うようになりました。記事に価格を設定していないため収入を得られるわけではありませんが、取材や記事の執筆を通して得た経験はかなり貴重な財産になりました。

ー チームを経て一緒に活動しようと持ち掛けられた時はどうでしたか?

ゆーい
アカデミーで残すものが無くなりそうだったからやってみました。普段から他の団体で記事を書いていたので、記事書くのは慣れていました。そういう意味でも自分に合っている事業だと思いました。元々、事業計画書は3つありました。一時期チームで活動していたときに3つとも選ばれなかったのが今にも影響していて、やりたいという気持ちが強くなりました。今でも1つは絶対にやりたいと思っていて、もう1つは世の中に必要だと思ってるから同じ目的でやりたいと思っています。チームでは、独自性が重視されすぎていて、現実性がありませんでした。僕は独自性よりも現実性と社会貢献を重視しています。

ー この事業全般を通して学んだことはなんですか?

ゆーい
元々僕の中の判断基準に肩書きというのがありました。ここでは、肩書きの重要性と本質のどちらも学べました。肩書きの重要性は、一言で言うと信用を得られたりしたいことをしやすくできることだと思います。事業をするために必要なお金や人を比較的簡単に得られますよね。本質は、肩書きそれだけでは何もすごくないところです。正直、凄いと思える肩書きの中でもしょうもない人はいます。きちんと考えてその結果動いていること、机上の空論で終わってないところ、とりあえずやってみるという行動力、やった後の考察が大事だと思うようになりました。

ー 今までも校外活動の中で一般的に凄いと言われる人と出会ってきたのではありませんか?
アカデミーのメンターよりも ”凄そうなこと” を言っている、僕とはかけ離れた世界の話をする人に出会ってきたからこそ、肩書きやその親が凄いと感じていました。

えま
自らのキャパを考慮して、物事に優先順位をつける大切さを実感しました。アカデミーをあくまで「学びの場の一つ」と捉えていたので、学校の勉強ももちろん、いくつかのプロジェクトと同時並行で取り組んでいました。全てが貴重な学びで優先順位がつけられず、徐々に生活習慣が崩壊し、睡眠と生活のバランスが崩れた生活を送っていたので、アカデミーの事業も含め全てが中途半端になった時期がありました。当たり前のことではありますが、体調管理以上に大切なものはないということを再認識しました。今後はキャパを再認識し、自らを振り返る時間を確保して動きます。

ー アカデミー生に話を聞いてアカデミー生の印象は変わりましたか?

ゆーい
アカデミーには僕には持っていないものを持っている人や今まで出会った誰とも似ていない個性を持った人が多く来ていました。しかも、それぞれの個性がどんどん爆発していく姿は見ていて面白かったです。ですが、そんなアカデミー生にも惜しいところがあると思います。学校や同年代の人と深い話をしてこなかったからこそ、同級生と自分が違う存在だと考えていることが少しもったいないことだと思います。僕ができるように、同級生とでもディスカッションをしたり何かについて深く話すことは可能です。ただし、学校教育の中でその機会がないことも事実です。
また「唯一無二を探し過ぎかな。」と感じました。持論ですが、自分が何かをやる意味なんて、”自分がやりたい”とか”将来に役立つ”以上に無いと思います。78億人のなかから自分1人を切り出す方法なんてほとんどありませんよね。そんなに自分に固執する必要はないのかなと思っています。そんな中でアカデミー生の中には普通ではないと思い込んでいるからこそ、”普通”に囚われている人もいるように感じました。普通じゃないことをしようとするほど、自分の中に普通を規定してしまっていますよね。“普通”という言葉は僕にとっては未知の概念なので無視しています。誰か教えてくれないかな。笑
アカデミー生を見ていると、TimeLeap Academyという学校外の活動を通して、学校の勉強を面白いと感じるようになったり、偏差値の高い大学に行きたいと考えるようになった人が増えたのが面白かったと思いますね。

えま
話を聞く前は、正直アカデミー生のバックグラウンドに興味を持っていましたが、取材を重ねるに連れて、「アカデミー生1人1人が”今”何を考えているのか」という部分に強く惹かれるようになりました。アカデミー生に話を聞きたいと思った動機にも関連しますが、アカデミー生はIBを含む私立の学校に通っている人が多かったり、当たり前のように海外で過ごした経験がある人が多かったりと、いつからか「アカデミーでの学びは経済的に恵まれている人しか教授することができないのだろうか。」という”もやもや”を抱えるようになりました。勿論、私自身周りの環境も相当恵まれていて恩恵も受けてきましたが、小中高と公立の学校に通い、留学経験もなく、深いコミュニケーションを取ってきたのは学校の人ばかりだったので、「アカデミー生は一体どんな素晴らしい経験をしてきたのだろうか。」と興味津々でした。
しかし、アカデミー生に話を聞いて最も印象的だったのは、過去の経験の豊かさではなく、「将来どんな人になりたいのか。」とか「将来どんな世界を創りたいのか。」といった未来への展望をすらすらと語っている姿でした。その未来像は1人1人がいろいろ考えた結果創られたもので、かつ最終的な目標のイメージを持って日々を過ごしていることに私は非常に感銘を受けました。当たり前ですが、子は親を選べるわけではありませんしね。その人の価値は、過去の経験そのものや肩書きそのものではなく「誰が、今、何を思っているのか。」にあると実感しました。

ー 今振り返って読者に1番伝えたいことはなんですか?

ゆーい
①最初の1歩を踏み出すことと、②深く考えること、③自分の習慣の重要性の3つですね。
①最初の1歩を踏み出すこと
とりあえず行動することが大事とはアカデミー内外でよく言われるけれど、本質はそこでは無いと思います。行動する、やりたいことをやることは大前提で、その後にきちんと振り返って分析して、一般化し、今後応用が利くようにすることが重要だと思います。ここまでして初めて、最初の1歩を踏み出すことが達成されると思います。でも、とりあえず行動し続ける必要はないし、行動しないという選択肢をとるのもありですよね。「何かを知って、何かに学んで、何かを主体的にする。」この一連の経験から自分を学んで、自分にあった次の一歩に繋げていくことが大事だと思います。
②深く考えること
どんな社会問題でも身の回りのできごとでもいいので、疑いを持つ視点を養うべきです。いつ自分に何が降りかかるかわからないこの世界で、なんでも他人事にしてしまうのは将来にとって良くないし、クリエイティビティも失ってしまいます。クリティカルシンキングを身につける人が増えるといいなと思っています。僕は、このことをニュースを見ているとよく思います。
まず、前提としてニュースって一次情報を記者が切り取って作られているものです。物事の1面しか報道していないのに、全てを信じてしまう人がいるのは問題だと思っています。ニュースを報道するメディアも企業なので、視聴率をとれるニュースしか報道せず、内容も偏っています。今は世の中に情報が溢れていて、それが真実かどうかなんて誰もわかりません。そんな中でも、情報リテラシーを高めてから情報を扱ってほしいと思っています。根拠のない情報に惑わされず、メディアに踊らされないようになれば、違った世界が見えるようになると思います。
③習慣の重要性
自分の慣れないものでも、習慣として着実に積み重ねると慣れなかったことはいつの間にかコンフォートゾーンになっています。例えば、アカデミー生にとって、仁禮さんがいることが日常になっています。しかし、元々はそうではありませんでした。つまり、今のアカデミー生にとって、8か月前の特殊な状況がコンフォートゾーンになっているんですよ。こんな風に、特殊な状況が当たり前になった時、得られるものも多いし、逆に当たり前が無くなった時に失うものもすごく多く存在します。このことを僕は再認識しました。
他にも、アカデミー期間を通して学んだことがあります。”自分らしさ”は必要だけど、他人から切り出したときの”自分らしさ”はいらない。自分の好みや趣味、環境などの”自分”は必要だと思うけれど、他人と比べた自分を追い求めてしまうと、そのうち自分を見失ってしまうかもしれません。人との違いを道具として使いこなしたり、自分の地位を信用などとして有効活用することは必要だと思うけど、人との違いを自分のアイデンティティにすると自分を見失ってしまうと思います。自分のアイデンティティについて深く考えさせられるきっかけになりました。

えま
アカデミーで何を得るかは十人十色だということです。今回 TimeLeap Academy Magazine を作成するにあたり、私は18人のアカデミー生に直接(といってもオンラインで)話を聞きました。勿論「年齢は関係ない。」など多くの人が共通して感じたこともありましたが、アカデミーに期待していたことも、実際に得られた学びもここまで千差万別だとは思いませんでした。それぞれが「情報」を受け取って、「体験」へと消化して、「知識」として落とし込んでいる姿が記事から垣間見えると思います。今後なんらかのプログラムを受講したいと考えている同世代がもしこの記事を読んでいたら、「その環境で得たいことは何か。」思いを巡らせほしいです。目的を明確化することで、得られる学びの質や量が変わります。

将来どんな人になりたいですか?

ゆーい
都会の設備が整った研究所で生物工学(大学で専攻したい分野)の研究をしながら、地方の田畑を遠隔操作で栽培して、新しい農業をデザインすることで地方経済を回し、かつ日本の食料自給率を上げて、食物や料理の多様性を増やしたいです。その後、そこで得た生物工学の知見を使って、世界中様々な土地にフィットした植物を開発し、販売して、料理して、人を雇って、その地域の経済を回すことを世界各地でしたいです。

えま
自らに問いを立てられる人になりたいです。インタビューを通じて、「考えることを厭わない」アカデミー生がかなり多い印象を持ちました。だからこそ自己分析がきちんとなされている人が多いし、自身の将来についても思いを巡らせている人が多かったです。そもそも日常生活で「あなたはどんな人になりたいですか?」とか、「どんな世界が理想的ですか?」とか聞かれることは稀だと思います。だから答えを持っていなくても不自由なく生きていけるし、”聞かれないから考えるきっかけが無い”という人も少なくないと思います。他にも”考える余裕がない”という人も勿論いると思います。
私はゆーいと違って、どちらかというと「考えること(特に自分自身について考えること)」から逃げがちになってしまいます。それは、先の見えない未来に対する漠然とした恐怖もありますし、自分の未来について考えることがとんでもなく難しく、かつエネルギーの必要なことだと感じてしまいますし、なにより考えなくても不自由なく生きていけるからこそつい後回しにしてしまうからなど、言い訳はいくらでも思いつきます。笑
けれど、アカデミー生が自分の未来について明るい表情で話している姿を見て、日常の様々な問題に敏感になってまずは知ること、そして考えて自分の意見を持つことを心掛けるだけで、人生が今よりも豊かになるのではないかと感じました。
DAY33で、株式会社ムスカ 代表取締役CEOの流郷綾乃さんが「明日食べられるかも分からない状態では考えることができないからこそ、『考えられる』ことに幸せを感じてほしい。」とおっしゃっていたのがかなり印象的でした。考えることができる恵まれた環境にいながら深く考えることから避けていては、本当にもったいないと思いました。環境に感謝しつつ、まずは自分自身に問いを立てられる人になりたいです。

ー どんな世界にしたいですか?

ゆーい
「自由な世界」にしたいです。
僕は、小さいころからずっと普通という言葉に悩まされてきました。普通を何か認識する前に、普通になれと言われても、普通が何かわからないんですよね、今もわかりません。でも普通って概念が曖昧で、時代によって変化するものなのに、それに拘束されても楽しくないですよね。縛られない世界が良いと思っています。その中で僕がしたいことは別にあります。なりたい自分とも繋がっています。
インドに修学旅行で行ったのですが、そこで思ったことがあります。インドには街中で仕事を求めてる人がいて、店やバスのドアを開けることだけが仕事になっている人とかもいるのに、道中に散らばった大量のごみがを処理する人がいませんでした。もちろん、公衆衛生がお金を生み出さないこと、優先順位が低い事も理解していました。でも、日本ならボランティアで掃除をする人もいるのに、現地にはあまりいらっしゃらないんですよね。このことを現地の方とお話ししていた際に、現地と日本でお金の重要性が異なることに気が付きました。そこで、「ボランティアとビジネスが両立できたら最強では?」と思いました。なかなか具体的な方法は思いつきませんでしたが、ボランティアをビジネスにするより、ボランティアを含めた社会のサイクルを作れば良いのだと思うようになりました。
それを考えたときに、僕は「料理、食事が好き」という背景があって、そういう業界に貢献しながら、社会問題を解決する方法を考えたときに「生物工学(バイオテクノロジー)を使えば良いんだ!」と腑に落ちました。農業でお金を生み出しながら、砂漠化の解決や地方経済の活性化をして、現地の人が農場で働いて雇い主が得た利益を使って、現地でのボランティアにお金を払うことでボランティアとビジネスの両立を達成しようと思っています。働く先の選択肢の1つとして、ボランティアがある社会構造を創りたいです。

えま
まだうまく言語化できていませんし、かなり抽象的ですが、「全ての人が幸せを感じられる世界に生きたいな。」と思います。実現するためには、歴史を知り、経済を学び、社会構造から変える必要があると思います。また、自分の中で幸せの定義が無いのでまだイメージしきれていないのですが、やっぱり人の笑顔や思いやりって素敵だと思います。現時点ではただの理想論なので、まだまだ考える余地がありますね。完全に「誰かのために」というわけでは勿論なくて、私自身、誰かが辛い思いをしているとこちらまで感情が伝達して辛くなってしまうことがあるので、「私のためにもみんな幸せでいてくれ」って感じですかね。笑

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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