【速報】『エクアドルの強度がカタールを襲った開幕戦』~グループAカタールVSエクアドル~
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マッチレポート
ワールドカップは4年に1度の祭典である。2022年の冬に開幕したカタールワールドカップも華々しい盛り上がりの中でスタートした。アルバイトスタジアムに開催国のサポーターが多く駆け付ける中で、エクアドルが開始直後に熱狂を巻き起こす。3分、ピッチ中央付近からのFK。エストゥピニャンがゴール前に蹴り込んだボールにエストラーダが競り勝ち、トーレスがオーバーヘッドキックで折り返すと、バレシアが頭で押し込んだ。開始直後の先制点にエクアドルが沸いた。しかし、VARからの助言によって、主審がオフサイドの判定を下したため、ゴールは取り消された。
大観衆を背にするカタールは救われた形になったが、エクアドルの攻撃を受ける時間が続く。パスワークによる横への揺さぶりと縦に早い攻撃を織り交ぜたエクアドルの攻撃に対して[5-3-2]のブロックが後手を踏み始める。相手にセットプレーを与え、サイドからのクロスで押し込まれていく苦しい状況を打破できない。
エクアドルは主導権を握りながら攻勢を強めると、16分に正真正銘の先制点を奪う。自陣で相手のパスをカットすると、縦に素早く攻めた。手薄になった中央からバレンシアが抜け出すと、相手に倒されてPKを獲得する。これを33歳の“大黒柱”バレシアが冷静にGKの逆を突いてネットを揺らした。今大会のファーストゴールを決めた男は31分に再び歓喜を呼び込む。右サイドからプレシアードのクロスに頭で合わせて、2点目を決めた。
2点を追い掛けることになったカタールは、自陣に閉じ込められてしまった。しかし、ホームの意地がある。前半終了間際になると、徐々に落ち着きを取り戻す。国家予算を投じた育成プロジェクトのアスパイア・アカデミーをベースに強化を行ってきたチームは、3バック+アンカーでパスを回して左サイドのアフメドが切れ込んでいく。しかし、エクアドルの横のスライドがとても速く、タッチライン際ですぐに囲まれてしまう。それでも45+5分にビッグチャンスを作り出す。ミゲルの右から中央へのドリブルが相手守備網を切り裂き、アル=ハイドゥースのクロスをアリが頭で流し込むも、わずかに左に逸れた。
後半はカタールが勢いよく入った。アリとアフィーフの2トップを先頭に激しくプレスを掛けていきながら、ボールを保持すると、アフィーフが中盤に下りて顔を出す。アンカーのブディアフだけでなく、3バックから縦パスを引き出すポイントを増やした。中央で数的優位を作って前進を図るも、エクアドルのカウンターが牙を剥く。55分、ピッチ中央でパスをカットしたカイセドがダイレクトでスルーパスを出し、背後に抜け出したイバーラがシュートを放つ。PA内からのシュートだったが、アッ=シーブが横飛びで弾いた。
後半の中盤に差し掛かると、両チームのベンチが活発に動く。中盤で数的不利になってカタールの攻撃を受けるエクアドルは、68分にサルミエントを投入してフォーメーションを[4-1-2-3]に変更する。76分には前半にひざを痛めながらもチームをけん引していたバレンシアがピッチを退いた。カタールも前線で孤立していたアリ、腕章を巻いたアル=ハイドゥースに代えてムンタリとアブドゥルワッハーブを投入した。
選手交代が作用したのはエクアドルの方だった。サルミエントとプラタの両翼が鋭くゴールに向かっていき、インサイドハーフに入ったシフエンテスが守備の強度を引き上げる。自分たちの強度と連動性で再び主導権を握り、サイドでの素早いパス交換で押し返した。
カタールが攻勢を強めた時間帯はエクアドルがペースを落とした時間帯と等しいものだった。そう言える安定したゲーム運びを展開したエクアドルが、大アウェイの中で迎えた開幕戦に勝利した。