「首位相手に得た手応えと可能性」~第26節ファジアーノ岡山VS徳島ヴォルティス~


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 9試合負けなしで好調な徳島ヴォルティスをホームに迎えた一戦。最大観客動員数が増え、サポーターからのパワーを受けてファジアーノ岡山は連勝を目指した。



試合結果


明治安田生命J2リーグ第26節

ファジアーノ岡山 1-1 徳島ヴォルティス

【得点】

78分 河田篤秀(徳島)
92分 齊藤和樹(岡山)



ハイライト





スタメン


画像1


ファジアーノ岡山
・フォーメーションは4-4-2。
・DF後藤圭太がスタメン入り。
・MF関戸健二が右サイドハーフ、MF白井永地がボランチに回った。


徳島ヴォルティス
・フォーメーションは4-2-3-1。
・徳島の心臓MF岩尾憲がリズムを作る。
・スピード豊かなドリブル突破が光る両サイドハーフ。
・好調なMF渡井理己とFW垣田裕暉の前線。



徳島の可変式ビルドアップに対する完璧だった前半の岡山の規制


 徳島ヴォルティスの基本フォーメーションは4-2-3-1だったが、ボール保持時は主にボランチのMF岩尾がペナルティエリアの幅に広がったCB間に落ちることで3バック化。ファジアーノ岡山の2トップに対し数的優位を作ることで安全にボールを前進させる狙いがあった。

 また、徳島は両サイドバックをかなり高い位置まで押し上げることで岡山のサイドハーフが2トップの行う前プレスへの参加頻度と強度を下げようとしてきた。

 岡山は徳島が作った3バックに対して強くプレスをかけることで、ビルドアップに規制をかけた。幅を取ったCBには2トップがプレスを、2トップの前プレスだけでは空いてしまうMF岩尾にはボランチの1人がアプローチをかける。岡山は強度の高い連動したプレッシングで、徳島に左サイドバックへの「逃げ」のパスを誘発させる。守備に定評のあるMF関戸・DF椋原の右サイドコンビが相手の前を遮りながら、距離を詰めていき、ボール奪取またはミスをさせてマイボールにできるシーンを多く作れた。

 この数節、裏のスペースに臆することなくDFラインをしっかり押し上げられていることが前から連動したプレッシングで相手を押し込むことができている要因の一要素だろう。前プレスはボールを奪いにいく、パスコースの限定をかける選手がフォーカスされることが多いが、集中したCBのラインコントロールがプレッシングの下支えとなっている。



後半流れを手繰り寄せた徳島の変化


 後半、徳島は選手交代で4-4-2にチェンジ。ビルドアップ時にMF鈴木がDFラインに落ちて、MF岩尾がCB間に落ちるのではなく岡山の2トップの間で後ろと前の中継点の役割を担うようになった。DFラインからMF岩尾に預けて、サイドバックに展開したり、内側に入ってくるサイドハーフに鋭い縦パスが入るようになり、岡山の守備の重心が前半より後ろになってしまった。

 前半思うような形でボールを前進させられなかった徳島はMF渡井が岡山の2トップの脇に下がってボールを引き出すことで中継地点になろうとしていたが、MF岩尾とMF鈴木の役割を変えたことで、MF渡井が一番怖さを出せるバイタルエリア付近でのプレーが増えた。

 岡山はプレスの優先順位をDFラインから中盤のMF岩尾に変更。中盤の4枚が中に密集を作って、MF岩尾を囲む包囲網を形成し、MF岩尾からサイドバックへの展開をMF上門がパスカットするなどMF岩尾への規制を強めることで対策とした。



サッカーの神様がそっぽを向いた失点シーン


 78分、徳島のフリーキックのチャンス。MF岩尾が放ったシュートは壁に跳ね返り、MF岩尾のシュートをまたもブロック。そのこぼれ球が、DFジエゴ前に転がり、クロスを上げる。そのクロスボールは岡山のDFの選手に当たり、変化したボールにいち早く反応した途中出場FW河田篤秀が相手をブロックしながら胸でコントロールして倒れながらのボレーシュート。こぼれ球がすべて相手の前に転がるという不運が重なり、失点を許してしまった。



次に繋がる終了間際の同点弾


 GKポープ・ウィリアムからのピンポイントフィードを左サイドで受けたMFデューク・カルロスが、MF上門へパス。前を防がれてシュートが撃てない上門からボールがこぼれるが、MFパウリーニョが回収し、DF徳元悠平に下げる。

 DF徳元から右サイドで幅を取ったDF松木駿之介に展開。DF松木が仕掛ける格好を見せ、徳島のサイドハーフを引き付ける。DF徳元ーDF松木のパスをスルーしていたMF白井がここぞとばかりにインナーラップ。MF白井からのクロスをFW齊藤がニアサイドでダイビングヘッド。ファジアーノ岡山が喉から手が出るほど欲しかったゴールがアディショナルタイムに生まれた。



デューク・カルロスが見せた新たな可能性


 途中出場したMFデューク・カルロスはファジアーノ岡山に足りなかったピースを埋めることができるかもしれない。

 左利きでスピードがある若武者はドリブルでの縦突破という自分の武器を遺憾なく発揮した。短い時間、それもビハインドで投入され、難しい状況だったが、左サイドの深い位置を取りにいく積極的なプレーは効果的だった。そんな難しい状況でMFデューク・カルロスに託したというのは監督からの期待の表れに違いない。

 岡山の左サイドハーフはだれが務めても、基本は内側に入ってくる。MFパウリーニョが飛ばした「カル、外!」という檄のように窮屈さを感じずに大外を使えるチームにとって貴重な選手がMFデューク・カルロスなのだ。まだまだ、粗削りでチームの守備のルールを完ぺきにこなせるまでには至っていないため、プレー時間は限られるだろう。しかし、MFデューク・カルロスは自分の特徴を出し、相手の脅威にもなった。「やってやる」というギラギラした野心をむき出しに、これからも成長を続けてほしい。




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