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採用に力を入れ始めた会社のよくある勘違い

今回は求職者向けでなく採用企業向けの記事となります。

最近人材採用を検討されている企業様の相談に乗らせて頂いたり求人の校正をさせて頂くことが増えているのですが、専任の採用担当がおらず他の業務と兼任で採用をされている企業の場合採用についての根本的な考え方が誤っている可能性があります。

どんな仕事もそうですが進む方向が間違っている状態で手法の勉強をしてもうまくいきません。採用広告や人材紹介といった手法についていくら学んだとして根本的なスタンスが誤っていてはいい人は採用できません。そのため今回は採用に力を入れ始めたばかりの企業が陥りがちな考え方について書かせて頂きます。


①自分たちだけが選ぶ立場であると思っている

採用の相談を受けたときにまず第一声で聞くことが多いのは「いい人が来ない」というお悩みです。この言葉の裏にある本音としては言葉を選ばずに言うと「うちにはろくなやつが応募してこない」という意図が含まれていることが多いです。ただ求人の中身を見せて頂くと採用するペルソナの設計があいまいなために誰でもウェルカムな求人になっていたり、複数の求人をひとつにまとめてしまってわかりづらくなってしまっていたりと改善点がいくつもある場合が多いです。
採用をしていると選考を行うという業務上どうしても自分たちが求職者を選んでいるという感覚になりがちですが、まず最初に数ある企業の中から自分の会社に応募してもらうための努力が必要になります。基本的には優秀な方ほど書類通過率が高いので応募企業は少なくなり、通過率が低い人ほど応募企業が多くなりますので、募集要件が抽象的だと書類を通過するためにとにかく数多く応募するといった方の応募が集まりがちです。それによって最初に書かせて頂いた「いい人がこない」という状況になりがちです。
また採用スピードについても求職者は常に他の会社も受けているということを忘れてはいけません。選考に時間がかかってしまっている場合は、一般的に応募から内定までは1ヶ月~1ヶ月半程度であることを目安に採用フローを見直して頂く必要があります。受かるかわからない第一志望の選考を受るより前に先に内定が出た第二志望を承諾してくれるかもしれません。


②求職者にとって何が魅力になるかを理解している

採用に力を入れ始めた企業が他社と最初に陥りがちなのか求職者が魅力に感じる点について定量的な要素しか着目していないということです。例えば給与の高さや労働時間などです。給与については高いほどよい、労働時間は短いほどよいというようによいか悪いかがわかりやすい指標です。ただ求職者にとって企業毎の差別化要素はむしろ定性的な部分の方が大きいと思っています。例えば労働時間が短かったとしても社風が合わない環境では苦痛ですし逆に社風があっていれば長時間働くことになっても問題ないこともあるはずです。そして社風については求職者にとって重要な要素であるということに加えて、その人が入社するにあたって社風を変えるということは基本的にないはずなので明確に記載しておくことで差別化に繋がるとともに会社に合わない人からの応募を避けることができます。
例えば他にも社員数が少ないということはある人にとっては自身の責任が大きくなっていやだという人もいれば、決裁者が近いことで仕事がスムーズに進むと感じられる方もいると思います。どちらにしても面接になったら知られてしまうようなことについては「もしかしたらマイナスにとらえられるかも」と思ってかかないのは損です。考え方としては「もしかしたらプラスにとらえてくれるかも」で書いた方がよいです。
会社にとってベストな人は優秀な人というよりはその会社にマッチしてやりがいをもって貢献してくれる人だと思います。なのでどうせあとで知ってもらわないといけないことでプラスにとらえられる可能性があることはなるべく書いていかないと差別化になりません。


③人が増えることでの将来的な創出価値を考えられていない

よく人材紹介についての費用の話になると言われるのが「年収の3割のフィーは高い」という話です。確かに年収500万の人を一人採用すると150万円支払うわけですから簡単に出せる金額ではないことは確かです。ただしこの150万円が「投資」であることを理解した上で高いかどうかを判断する必要があると思います。たとえ5万円の広告で人がとれたとしてもその人が全く働かず1週間で退職してしまっては全く意味がありません。大切なのはその人が将来的に自社にもたらすであろう創出価値がいくらなのかということです。
その観点でいうと一番わかりやすいのはエンジニアで、案件はあるが人が足りておらずさばけないという状態です。その場合一人入った場合売上がいくら上がるのかが容易に計算できるため採用にいくらまでかけられるかが明確なことが多いです。一方で営業のように人によって創出する売上にむらがある場合は難しいですし、一度採用したら次の転職までどのくらいの期間働いてくれるかも併せて考える必要があります。150万はらって30年働いてくれれば年間5万円の費用ということになりますので長く働いてもらえる環境がある企業であればそのくらいのお金をかける価値があると思います。ただし最近は転職へのハードルも低くなっていますので、戦力化するまでにどのくらいの期間がかかるのかも含めて最低どのくらいの期間働いてもらえれば元がとれるのかを考えた上で費用について考えるべきです。


採用のお手伝いをさせて頂いていて感じるのは専任部隊がある企業とない企業では採用に対する意識や考え方、ノウハウの蓄積に雲泥の違いがあり正しい予算が割ける企業にいい人材が集まるという循環になってきているということです。ただし採用がうまくなくてもいい会社は世の中にたくさんありますので、いい会社にいい人が集まるよう引き続きお手伝いさせて頂ければと考えています。

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