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転職したくなくても定期的に転職活動をやって欲しい

転職相談に来られる方でたまにいらっしゃるのが「今すぐには転職を考えていないが市場調査のために話を聞きにきた」という方です。転職決定でフィーをもらう転職エージェント的には相談だけで終わってしまうともどかしい感じになるのですが、相談者の方のキャリア形成という観点でいいますと転職意思に関係なく定期的に転職相談をしにいくことは非常にお勧めです。そしてできれば転職する気がそこまでなくても何件かは応募されてみることをお勧めします。
今後の人生を左右する転職活動を一発勝負で決めるのは非常にリスキーですので、何度か練習を積んだ方がよいというお話です。


はじめに:「転職活動をする」というのは具体的に何をすることか

まず最初に転職活動をやってみてほしいというのは具体的に何をすることを指すのかを説明します。大きくわけると「履歴書と職務経歴書の作成」「転職サイトへの登録」「転職エージェントとの面談」「応募企業の選定」です。

・履歴書と職務経歴書の作成
基本的にこの2つがあれば大丈夫です。ウェブ上にテンプレートが転がっていますのでまずは作成してみて下さい。たたき台をまず作ってみて転職エージェントに作成相談するのもありです。

・転職サイトへの登録
まずは有名転職サイト2~3社に登録してみてください。登録すると転職エージェントからのスカウトが来るのでそれを受け取るためです。

・転職エージェントとの面談
ここが一番大事なところです。時間の許す限り多くのエージェントに会って自分の経験と希望、なければどんな将来が描けそうか聞いてみて下さい。

・応募企業の選定
もし多少でも転職する気がある、もしくは1年以上転職しない場合※はぜひ試しに何社か応募してみて下さい。実際に面接して話を聞くことで世の中の求めるものが掴めるはずです。※1年経過すると同じ会社に応募できるので今落ちてもまたチャレンジできるため


それでは以上の活動を行うことでどんなメリットがあるのか以下に述べます

メリット①履歴書と職務経歴書の作成で経験の棚卸

履歴書と職務経歴書の作成は思ったより時間のかかる作業です。社会人経験が長く経験が多いほど書くことは多いですし初めての場合何をどうかけばいいのかもわからないと思います。ちなみに中途採用の場合は書類選考で平均90%がお見送りになるのと、以前キャスター社が行ったアンケートで書類選考に掛かる時間は10分以内の企業が約9割結果も出ており書類作成はある程度時間をかけて戦略的に行わなければ通過が難しいです。
ただし一度作成してしまえば直近の経験を継ぎ足していけばいいので1~2年おきに記憶が新しいうちに定期的にアップデートしていくのが効率的です。
またそれによって改めて自分の実績を振り返ったときに外に向けて胸を張って言えるものがあるのかという点を確認してキャリア形成に不足している部分を考えながら次の1年の動きを考えることができます。


メリット②転職可能な幅と限界が分かる

これは転職エージェントとの面談で求人を紹介されることでわかることですが、基本的にはある程度の年齢になると転職できる幅というのは経験してきた業界と職種によって決まります。スキルの上下によってまた細かくわかれますが、例えば飲食店の店長をやっていた人がなんの自己学習もなしにシステムエンジニアになるのはほぼ不可能です。ただ飲食店の店長をやっていた人が小売店の店長ならば可能性があったり、食品メーカーの営業担当だったら可能性があるかもしれません。また未経験でも年齢が若ければ挑戦できる職種と新卒でなければ無理な業界(大手や金融系に多いです)もあります。
今の自分の経験にどこまでの転職幅があるのかを確認するだけでも今後のキャリアを考える上で参考になると思います。そして、その話をエージェントとしていく中であとこの経験があったらこういうところもいけますという話が出てきて、ただ年齢との兼ね合いがあるので逆に1年かけてその経験を積むとこの選択肢の可能性は低くなります。というように時間とスキルから自分にどのような選択肢があるのかを確認することができます。
少なくとも新卒での転職と違って中途は「なんにでもなれる」わけではないのは間違いありません。そしてそれを転職しようと決めたときに確認して手遅れになるのは悲しい話ですので、定期的に自分の転職できる幅を知っておくべきだと考えます。

メリット③スキルの市場価値が分かる

上記は転職をする際の職種や業種の変更、つまり転職における横移動の話でしたが今後はスキルの高低の縦の話です。例えば営業職なら営業職においての、エンジニアならエンジニアにおいての世の中にいる自分と同じ職業の人を上から並べたときに自分は現時点で上中下どのランクになるのかを認識するためにエージェントの話を聞く必要があります。この点は社内ではわかっているようでわかっていない点です。その原因は「社内価値」と「市場価値」のずれを正確に認識するのが難しいからです。
例えばものすごく仕様が複雑な社内システムを使っている会社があるとして、その使い方を完璧にマスタしていて年収も高い方がいたとします。ただしその社内システムはその企業独自の仕様のため他社ではその知識を活かすことができない。この場合「社内価値」は高いのですが「市場価値」は低くなります。つまりその人の持っているスキルのうち何%が転職後にも活きるかどうかでスキルの上下が決まってきます。
ただ自分の今もらっている給料の「社内価値」と「市場価値」の割合を認識するのは様々な業種の同じ職種の人間と会い、その人たちが世の企業からどのような評価をされているのか知っている人間に聞かなければわかりません。それが転職エージェントです。もしかすると自分の思っている認識と大きくずれる答えを言ってくる可能性もありますが、何度か述べさせて頂いている通り転職エージェントの報酬は転職した際の年収によって決まりますので、その人の中で転職できる現実性のある中でも最も年収が高くなる求人を紹介してくれる確率は高いです。
自分の認識とできることを伝えた上で、なぜエージェントはこの求人が妥当だと考えたのかを聞くことで自身の市場価値がわかってきます。


メリット④今後のことを考えるきっかけになる

上記3点を把握することで今後自分がどうすればいいかを具体的に考えることとができるようになるのではと思います。将来のことを「具体的に」考えるには自分の市場価値を年齢、職種、業界という軸で客観的に見た情報が必要になり、市場における自分の位置を正しく把握できなければどこに進めばいいのかを考えることはできません。
上記した通り自分自身でそれを判別するのは不可能に近いため転職を一回してみることで、履歴書を書いて過去の振り返りとそれをアウトプットできる状態にし転職エージェントにそれを見せて相談して求人を紹介してもらい自分が合格可能性のある職種業界を把握。そして実際に受けてみてどのくらい受かるのかを測る。それによって今の市場価値を把握して他に行った方が成長できると思えばそのまま活動してもいいですしもっと現職にいたほうがスキルアップできると思えば現職残留もありです。
そういった具体的な直近のアクションを決めるためにぜひ転職活動を定期的にやってみることをお勧めいたします。


他にもいざ動こうとなった際に転職活動自体を始めることにも体力がいるので何度か試しに動いてみることでそのハードルを下げることができる。自分にあったエージェントの見分け方を考えることができる等メリットはいくつもあります。エージェントの人には申し訳ないなと思った場合はぜひ次の本番の転職活動の際にも声をかけて頂けるとありがたいです。
エージェント的にも一度会ったことがある人ですとヒアリングの手間が少ないのでうれしいです。

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