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日常

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モーリタニアのプルプル

モーリタニアのプルプル

 特に熱心に書きたいことがあるわけではないけど、深い時間まで寝付くことができなかったので、この文章を書いている。おまけに今は家のお酒を切らしている。家のお酒を切らしているということはつまり、家でお酒を飲めないことを意味する。家でお酒を飲めないということはつまり、実質的に寝るのが不可能であることを意味する。家には業務用のウイスキーとレモンサワーの素があるのだけど、この二つが仲良く揃って空になった。レ

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誠実になろう!

誠実になろう!

 図々しい人になってやろう、というのが大学に入学した当初の目標の一つだった。図々しくて、横柄で、破天荒な人になってやろう。この目標自体考えてみたら図々しいものだけど、もしかしたら共感してくれる人もいるかもしれない。皆さんの周りに図々しい人はいませんか? 図々しい人に振り回された経験はありませんか? きっとたいていの人はあると思います。ありませんか? もしないのであれば、あなたが図々しい人ということ

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三島は心のプロテイン

三島は心のプロテイン

 

 太宰と三島についての個人的な感想を書こうと思う。すべてを書こうとするとものすごい文量になってしまうので、そしてそれを書くほどの熱量はないので、ここに書くのはほんの一部ということになる。最近、太宰の文章を読んだときに、やっぱり自分はあまりこの人の文章を受け付けないなと思ったので、そのあたりの所感をつらつらと書き連ねるつもりだ。

 三島が初めて太宰と対面した際、面と向かって「僕は太宰さんの文

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雨

 今日は雨降りの火曜日で、低気圧で頭はぐらぐらして、ゼミの発表があって、ヤクルトは雨天コールド負けを喫した。だから悪い一日だったかという別にそうでもなくて、どちらかというと良い一日だった。どのあたりがいい一日だったかと聞かれるとそれはあまりうまく言葉にできないけど、とにかく良い日にだったと思うから、今日はやっぱり良い一日だったのだ。よく、お気に入りの傘があれば雨も好きになる、みたいなことを言うけど

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依存について

依存について

 

 毎晩泥酔するまで酒を飲む。
 さほどの危機感も罪悪感もない。ただ体に悪いという事実は翌朝の目覚めの悪さからもわかっているつもりで、多少は加減しようという気ではいるけど、実際のところ量にまったく変化はない。休肝日もない。そのうち痛風にでもなれば懲りて飲まなくなるだろうけど、そう思えば思うほど、痛風こそが到達点でありその到達点までは飲んでもいいというおかしな解釈になって、むしろ飲酒を促すようだ

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紫陽花みたいな傘

紫陽花みたいな傘

 小さい頃、街ゆく人々が乱々に傘を差して歩いていくのを見て、それが紫陽花みたいだと思ったことがある。
 そう思ったっていうことはおそらく高いところから街を見下ろしていたのだと思うけど、それがどこだったかなんて覚えてないし、まあ別にどこでもいいか、人々はビニールのとか赤いのとか紺色のとか花柄のとかじょうごを逆さにしたみたいなユニークな形のとか、それはそれは個性あふれる傘を差しながら、押し合いへし合い

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そういえばあの頃、マフラーは絶対のかわいいだった

そういえばあの頃、マフラーは絶対のかわいいだった

 さっきすれ違った中学生がマフラーをしていた。
 それも一人ではなかった。学校の帰りだろうか、列をなした中学生のうちにちらほらマフラーをしている子がいた。見間違いじゃないかと思ったけど、やっぱりマフラーをしていた。まだそれほど寒くはないだろうにとか思いつつも、冬を待ちきれず張り切ってしまうその姿に何だか無性に嬉しくなる。
 マフラーをしている子のほとんどは女の子で、そんな女の子の横で男の子たちはぶ

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創造的人生の持ち時間は4年だ

創造的人生の持ち時間は4年だ

 旅の恥はかき捨てというけれど、果たしてそれと同じだろうか。
 東京の恥はかき捨て。
 この街では誰も僕のことを知らない。知らない街の知らない角を、一つ二つと曲がってみれば、僕は何者でもない匿名になれる。奇抜なこの街の中で、自分の持つささやかな個性などいったい誰が見向きを起こす? 誰彼と自分は変わらない。自分だけが特別ではない。その当たり前の事実が、ときに心地よかったり、ときに自分を傷つけたりする

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