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若松英輔さん「言葉のちから」

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記事一覧

若松英輔さん「言葉のちから」伝統と因習について〜池田晶子の教え/日本経済新聞2023.10.28

 日本経済新聞の土曜版「詩歌・教養」コーナー若松英輔さんのエッセイ「言葉の力」を毎週楽しみに読んでいます。
 10.28の記事は「生きるとは何かを考える」と副題がつきますが基本は「読書」についての内容で、池田晶子さんの「読む」ことについての一言が若松さんの読書への態度を変えたとのことでした。
 読書離れは3つの因習によるものと推測し、伝統の重要性も伝え、「読むこと」を「食べること」に置き換え、口あ

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若松英輔さん「言葉のちから」「話す」「書く」「聞く」〜金子大栄「対応の世界」/日本経済新聞2023.11.4

 日本経済新聞土曜の若松英輔さんのエッセイ「言葉の力」を毎週楽しみに読んでいます。

 11.4の記事は「創造的無意識」
=「創造的想像力」について書かれています。

 理解するのが難しいですが・・・
 普段の自分を超越した創造的な何かを生み出すためには「無意識下」の状態まで降りた状態で「話す」「書く」「聞く」「読む」を行う必要があるということだと理解しました。

 若松さんは「自分の部屋に机があ

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若松英輔さん「言葉のちから」信念について〜小林秀雄・論語・坂村真民/日本経済新聞2023.11.11

 日本経済新聞土曜の若松英輔さんのエッセイ「言葉の力」を毎週楽しみに読んでます。

 11.11は「信念について」

 記事に引用された坂村真民(さかむらしんみん)という詩人の「念ずれば花ひらく」の一節が印象に残ります。

念ずれば 花ひらく 
苦しいとき 
母がいつも口にしていた このことばを
わたしもいつのころからか 
となえるようになった

 理想と現実の狭間にあるのが、人生だと感じます。収

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若松英輔さん「言葉のちから」「かなしみ」とは〜鈴木大拙『無心ということ』/日本経済新聞2023.11.18

 日本経済新聞土曜の若松英輔さんのエッセイ「言葉の力」を毎週楽しみに読んでます。

 11.18は「かなしみ」とは

 42歳の時に奥様を亡くされた若松さんは「かなしみ」とは何か、という問いに向き合うため行ったのが、「書く」という営みだったそうです。

「問いの答え」は元々自分の中に明確な形で存在する。ただ、原石の状態であるため、彫刻製作のごとく「書く」ことは自分の中にある問いの答えを造形化する営

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若松英輔さん「言葉のちから」「良知」とは〜王陽明の教え/日本経済新聞2023.11.25

 日本経済新聞土曜の若松英輔さんのエッセイ「言葉の力」を毎週楽しみに読んでます。

 11.25は「良知」とは

 若松さんが、王陽明の言葉を集めた「伝習録」(溝口雄三訳)を読んでおられた際、「孟子」の一節「忘るな、助くな」を「おこたるな、せくな」と読ませていることに驚きます。

「忘る」を「おこたる」と読ませる理由は、「忘れるのは、小さな怠りが積み重なった結果」であり、「忘れてはならないことを忘

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若松英輔さん「言葉のちから」偶然と運命について〜九鬼周造の思索/日本経済新聞2023.12.2

 日本経済新聞土曜の若松英輔さんのエッセイ「言葉の力」を毎週楽しみに読んでいます。

 12.2は「偶然と運命について」

「運命」について、若松さんは「人生の創造の可能性」を説きます。

 まずリルケの書簡に触れ、「生きるとは運命を開花させることである」とし、「抗えない運命」というよりも「それぞれの人生に託された神聖なる義務のようなもの」と捉えます。

 続いて、「命」という言葉について。
 宿

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