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探究学習トップランナーインタビューVol5福岡雙葉高等学校長村裕先生


生徒が主体的に “学びたくなる”総合探究の秘訣とは?


今回のインタビューでは、福岡雙葉高校で教員を務める、長村裕先生にお話を伺いました。

<長村裕先生のプロフィール>
現在は私立高で英語科教員として働きながら、STEAM・PBLなどの総合的探究の授業にも携わる。
 
元々は塾講師をしていたが、「生徒に夢を持て」と伝えている自分が夢を叶えていないという課題に直面。
 
NGOや国境なき医師団、青年海外協力隊の活動でキルギスや南スーダン、ケニアなどの国で人道支援を行う。
その後、Teach for Japanで教員を始める。


あくまで主役は生徒、先生ではない


Q.生徒主体の教育とは、具体的に どのような授業を行っているのですか?
 
「先生からあれしなさいこれしなさいと伝えるのでなく、生徒を信じる教育です。最初にある程度の大枠みたいなものは必要なんですが、英語の授業は基本的にプリントを用意し、その文法法則を生徒自らが見つけ、生徒同士で答え合わせをしていくような授業なんです。どんなに英語が苦手な生徒でもできるまで待ち、各々の自尊感情を磨きやすいような授業構成にしています。」
 
あくまで先生が板書し先生が中心になるのではなく、生徒が主体になるような授業のようだ。
 
他にも、長村先生が取り入れた『リトル・ティーチャーカード』という制度がある。『リトル・ティーチャーカード』とは、小テストなどで優れた成績を残した生徒に配布されるもので、持っている生徒は“小さな先生”となって、他の生徒の学びを手助けする。

優れた成績を取った人に贈られる『リトル・ティーチャーカード』

長村先生が授業で伝えるメッセージとは


Q.先生は海外経験も豊富ですが、英語の授業ではその経験をどのように活かしていますか。


「毎時間、海外での経験談をもっていくようにしています。」
 
これには生徒を惹きつける意図があるようだ。
 
「英語は将来必要だから今のうちにやっとこうね。っていう説明は、俺は絶対せんぞ。って生徒に言ってるんですよね。そんな嘘っぱちの大人の言うことを聞くなって。必要だと思った時に勉強するのが一番伸びる。そのタイミングが見つけられたらいい。そのために、海外の洞窟にたくさんコウモリがいる写真などを見せ、興味を持たせる仕組みを作る。そこで興味を持てるかどうかということ。それを強制しようとは思わなかったです。」
 
「必要だと思ったら勉強しなさい。先生にとって、君たちが英語ができてもできなくても先生に影響はない。やらないことを選んで責任を取るのは自分だよ。」
 
と伝え、あくまで勉強をすることもしないことも選ぶのは生徒自身だという教育を行っているそうだ。
 
自身の経験から毎度の授業で興味を持たせるような仕組み作りを手掛け、興味を持った人が自分で選択し努力する仕組み作りを行う。
 
楽しい授業は生徒が作る。あくまで教師は土壌づくりを

Q.総合探究をする上で大事にしていることを教えてください。


 
人はすぐには変われない
 
「とにかく待つこと。学校の先生はすぐ成果を求めがちです。 “1年の総合探究の時間で生徒はどう変わったのか?” という短期的な変化を学校の先生は求めすぎている。
 
そんなん知らんし。非認知能力をどのように査定するかもわからない。成果をすぐに求めすぎない方がいいと思うんですよね。
時間かけてやっていかなくてはならないものなので、生徒が動き出すまで待ってあげたいんです。授業では最終的なゴールだけ設定して、とにかく黙って待つ。そこで発表が間に合わなければ、生徒は自分で反省するし、発表がダメだったら自分で反省し、次に活かしてくるので。」
 
今の教育は生徒にすぐに成果を求めすぎだという。
生徒が探究学習を通してすぐに変わっていくのを期待するのではなく、いかに『待つこと』にこだわるかを考えているそう。あくまで、やらせるのではなく生徒が主体的に動く仕掛けを作ることにこだわるそうだ。
 
また、探究の内容は【先生方が初任のときにこんなことを子供にぶつけたい。こんな活動をさせたいと思っていたこと】を全力でぶつけることが大切であると長村先生は語ってくれた。
その上で授業ごとに最終的なゴールを示し、後は黙って見ておくことが大切だそう。
 

生徒が選択することをサポートする仕組み


 
そして、テーマに関しては4つほどのテーマを毎回もっていくようにしているそうだ。
その意図としては、【生徒が自ら選択することによって、面白い授業になるかそうでないかが決まる。もしこの授業が楽しくなかったら自分が楽しくすればいい】。ここでも生徒を信じ、選択させることを徹底しているようだ。
 
Q.ここから長村先生がチャレンジしていきたいことは何ですか。
Teach for Japanと共に、斬新な教育を現場に届けることにチャレンジしようとしている。

最後に


長村先生の“生徒を信じ、生徒とともに授業を作っていく授業スタイル”に魅了されました。あくまで選択するのは生徒、生徒が主体性を発揮できるようにサポートするのが先生の役割だと感じます。この考え方は、実際に将来に繋がる教育なのではないでしょうか。
また、生徒を信じ、生徒に意思決定する機会を作る。そのような場にこそ、生徒の思考力や行動力の成長が眠っているのではないかとも考えさせられました。
 
長村先生、日々の挑戦、そして自身のチャレンジし続ける姿の共有、ありがとうございました!

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