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心理系大学院に行くまでの勉強

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2021年3月の記事一覧

心理系大学院に行くまでの勉強

長期記憶の貯蔵庫に入った記憶は、長期間そこに留まり、必要に応じて取り出される。長期記憶のうち、自転車の乗り方やハサミの使い方など、身体が覚えている記憶を手続き記憶、物事に対する知識や個人的な思い出など、言語やイメージで言い表すことの出来る記憶を宣言的記憶という。
記憶の量が多いと人生が豊かになると言われている。もしそうであれば、出来るだけ多くの体験を記憶することが効果的だといえる。

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記憶の研究は認知心理学の主要なテーマである。記憶とは、経験したことを保存して、それを後から再現させる心の機能をいう。五感から入ってきた膨大な情報はまず、感覚記憶に保存されるが、1秒以内でほとんどが消えて無くなる。その後、自分にとって重要だと思った情報だけが短期記憶という貯蔵庫に移行するが、こちらもすうびょから数十秒でほとんどが消える。けれども短期記憶に入った情報のうち、印象的だったり、リハーサル(

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認知心理学

人間のあらゆる行動は刺激(S)に対する反応(R)である反射的行動にすぎないとするのが行動主義の立場だった。けれど後に、新行動主義は行動主義の限界を見抜き、SとRの間に認知であるOを加えた。
また、ゲシュタルト心理学は洞察学習の実験によって、動物は思考による認知(判断)もしていることを突き止めた。
その後コンピュータの開発が盛んになる。すると人間ならではの知覚、記憶、思考などをコンピュ

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認知療法

臨床心理学者のエリスはフロイトが提唱した精神分析は心理療法として効果がないと考え、理論療法を提唱した。この理論療法を一時的な気分の落ち込みよひも症状の重いうつ病の治療に取り入れたのが精神科医のベックである。
ベックはうつ病患者が物事の悲観的な側面ばかりに目を向ける癖があること(自動思考)に注目する。患者特有のこうした認知の歪みをカウンセリングを重ねながら修正しようとする心理療法を認知療

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理論療法

ABC理論における考え(ビリーフ)には、イラショナル・ビリーフ(不合理な考え)とラショナル・ビリーフ(合理的な考え)の2つがある。患者にABC理論を理解させイラショナルビリーフをラショナルビリーフに変える事で悩みを解消するエリスの心理療法を理論療法(REBT)といいます。

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ABC理論

心の悩みは出来事そのものに原因があるのではなくその出来事をどの様に考えるかによって生み出されるとエリスは考えた。これは出来事(Activating even)に対する考え(ビリーフ)(Belief)が悩みという結果(Consequence)を生むということで、ABC理論と呼ばれている。

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エンカウンターグループ

晩年のロジャーズはクライエント中心療法の考えをエンカウンターグループというグループセラピーに応用した。ここでは、健常な参加者がグループをつくり、何のテーマも用意されていない中で、自分の感じたことを本音で話し合う。そうすることで参加者が自己や他者の理解を深め成長していくことを目指す。

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十分に機能する人間

ロジャーズは人が目指すべき人間像を十分に機能する人間と読んだ。十分に機能する人間とは自己概念を固定することなくありのままの体験を受容しながら、他者を信頼しつつも主体的に生きる人間をいう。(十分に機能する、とは、うまく働く、という意味)
ロジャーズは十分に機能する人間を完成した静的な人間ではなく、常に新しい状況に対応していこうとする動的な人間と捉えた。

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クライエント中心療法においてカウンセラーはクライエントにあれこれ指示するのではなく、クライエントが自分で問題解決していくことの援助に専念する。そのためにカウンセラーは、クライエントの状態や言動を無条件かつ肯定的に受け入れ(無条件の肯定的配慮)、クライエントの主観を自分のことのように感じ取ることが求められる(共感的理解)。
こうしたカウンセラーを前にすると、クライエントは自分の心を冷静に眺めることが

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クライエント中心療法

ロジャーズは心的ストレスの原因は自己概念と実際の体験の不一致にあると考えた。この不一致、つまり自己認知の歪みのある状態のことを心理的不適応状態と呼ぶ。心理的不適応状態にあると、自分が自分でないように感じたり、自分に自信が持てなくなる。
けれども、人は常に成長する有機体である。よって人には、自己認知の歪みを直し、自己実現(自分の個性の発揮)をしようとする機能があらかじめ備わっ

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つづき

反対に、自己概念と体験が一致しているほど、心のストレスは少ないとロジャーズは考えた。
問題を抱えているクライエントの自己概念は「自分はこうでなくてはならない」という思い込みに強く固定されており、柔軟に生きることができなくなっているとロジャーズは考えた。生き生きと暮らすためには自己概念を柔軟にして、ありのままの体験を受け入れる領域を大きく保つことが重要である。

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自己概念

人は誰もが「私はシャイだ」「おおらかだ」など「自分はこういう人間だ」という概念(イメージ)を持っている。自分の自分に対する概念を自己概念という。
神経症や心的ストレスの原因は、自己概念と実際の体験の不一致にあるとロジャーズは考えた。ここでいう体験とは「悲しい」とか「嬉しい」といった刻々と変化する主観的な感情や感覚のことを指す。例えば、自分は勇敢であるという自己概念を持った人が夜道を「怖

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つづき

本人は気づいていない未完の行為に気づくことを助けるのがパールズが創始したゲシュタルト療法である。ゲシュタルトとは全体という意味で、ここでは自己全体を意味する。クライエントは自分の心の穴が何であるかに気づき、それを埋めることでゲシュタルトの完成を目指す。ゲシュタルト療法には、夢の中の人物や物を演じることで自分の本心の自覚を目指すドリームワークや、実際にはその場にいない人と会話するエンプティ

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ゲシュタルト療法

フロイトと同じようにパールズも幼児期の問題が無意識的に心の問題を引き起こしていると考えた。けれどめパールズは、問題は過去にあるのではなく今心の中にあるだけだと考える。トラウマは今心の中にあるから、その問題は今ここで変えていくことが出来るというわけである。これを今の原則という。
例えば幼児期の母親からとの葛藤がずっと残っている場合、幼児期を今のここで再体験し、未完の行動、例えば「

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