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【連載小説】俺様人生 vol.1「プロローグ」

俺は冴えない。

自分でもそれはわかっている。

顔は中の下くらいかなと思う。

パソコンが好きで、毎日サイトを巡回するのが日課だ。

もちろんパソコンは自作。

いろいろなパーツを組み合わせるのが意外に楽しいんだ。

最近、趣味を書き散らしたブログを始めてみた。

これが存外、人がたくさん見に来るんだ。

アドオンなどをメインに書いてるせいかな?

日常のことで書くことなんて特に何もなかった。

ただ毎日大学へ行って、帰ってきたらパソコンか本を読むか。

あ、俺ね、ラノベが好きなんです。

だから部屋は本だらけ。

自分で把握できるようには置いてるけど、他の人がみたら雑多なこの状況をどう思うだろうか。

食事は主にカレー。

一番金を使わないで済むからね。

山の上にある農学部に通っているから、買い出しの時は十キロ以上坂を上り下りする。

ちなみにおれの愛車はシマ○のスポーツバイク。

つまりは自転車だ。

これでもって十キロ以上ある坂を上り下りするので、足は競輪者並みに太いんだ。

俺はかなり痩せていて、それでもシャドウボクシングの真似っこをしてみたりして筋肉には自信があった。

今はやりの細マッチョならぬ、細々マッチョというところだ。


大学へはバスで行く。歩いていける距離だが、車が走行できるギリギリくらいの坂の上にあるため、学校専用のバスで行く。

授業は高校で習ったものばかりでつまらない。

一応遅刻もせずに通えていた。



そんなある日のこと。

いつも通りに巡回していたブログが、あるお祭りに参加していた。

面白いタイトルをつけた短い日記で、誰が一番笑わせたかで順位をつけるというものだ。


ちょうど小説も読み終えたし、俺も参加してみることにする。

笑わせるのは意外と自信がある。


普段はなるべく目立たないように、足音すら気にして立てない俺だが、ネットの上では負ける気がしない。


いくら引きこもり気味とはいえ、毎日の巡回で鍛えられた俺のネタを見ろ!!


受けはそこそこだった。

まあね……元ネタを知らない人には厳しかったかもね……


俺は瞬時に違うネタを提供する。これもそこそこ受け。


みんなの笑うポイントってなんなのー!!

と思っていると、夜11時になっていた。

もう寝ないと。

俺は11時になると極度に眠くなる性質だったので、その日は寝てしまった。


次の日、起きてすぐにパソコンを立ち上げる。


受賞者は『俺ブログ』のやすさんだった。


俺は受賞出来なかったことを残念に思い、パソコンを消して学校へと向かった。



俺には最近気になる子がいる。

毎朝バスで一緒になる女子だ。

バス待ちの間、一生懸命カバーをした文庫本を読んでいる大人しそうな女の子だ。

俺はテストで及第点以上を取ったら告白すると決めていた。

もちろん、及第点なんて簡単に取れちゃうんだけど、一応後押しが欲しいというか、なんというか……



寒い朝、俺は手袋をして学校へ向かう。

バス待ちをしているのは彼女一人きりだ。

なんて切り出そう……悩んでいたらバスが来てしまう。

俺は一か八かで彼女に話しかけた。

「あのう、いつも一緒のバスですよね」

彼女は本から目を上げると、はい?と小さく返事をした。

「俺、あなたのことが好きです。それだけっす」

俺は言えたー!!という達成感で一杯になった。

彼女が何かを言おうとした時に無情にもバスは到着した。

俺は言えた感動で一杯になり、彼女の返事を待つことを考えていなかった。

次の日もその次の日も、講義がなく、登校しなかった。

その次の日、俺はバス停へ向かった。

彼女がいる!しかし他の学生もいたためか、スルーされる俺。

別に返事は期待してないからねっ。

その次の日もその次の日もバスは一緒だったが、彼女は文庫本から目を上げることはなかった。

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