【連載小説】俺様人生 vol.9「葛藤」
一週間経ち、俺は退院した。
アスカはホントに毎日通って来てくれた。
たまにハニタンちに帰るよ、というときもあったが、ほぼ毎日面会時間ギリギリまでいてくれた。
俺の腹痛は結局原因不明なままだった。
感染症でもなく、下痢もなにもない、ただの腹痛。
ストレス性かもしれないと言われたが、アスカには黙っておくことにした。
ストレスの原因なんて、考えるとアスカくらいだったから。
あとはものをきちんと食べていなかった、これも多大な影響があっただろう。
今度からはお金がないときは素直に言おう、そう思った。
アスカは退院祝いだと言って、ワインを一本買ってきた。
そうだよ、俺は未成年じゃなくなったんだ、飲めるんだ、やっほー!!
腹痛がまた出ないことを気にしつつ、一杯いただく。
これが旨かった!
アスカは安物でごめんと言ったが、これが安いならこればっかりリピートするよ!という旨さだ。
アスカもグラスをかたむける。
今日は泊まっていくんだな……
今まで病院生活だったから、なんだか新鮮な感じ。
まずは溜まりにたまったサイトの閲覧を始める。
アスカが横で見ている。
「エッチなサイトとか見るんでしょ〜」
そんなこと彼女の前ではしないって!
アスカは酔っぱらってきたらしく、やたらと絡んでくる。
俺はサイト巡りを諦めてアスカの相手をした。
クイズだと言って、くだらないだじゃれクイズを出してきたり、古今東西をしてみたり。
アスカは構ってもらえて上機嫌だ。
そろそろ風呂に入ろうと思うが、アスカは限界のようだったので、そのままベッドに押し上げて、俺は風呂にはいる。
風呂からあがると、アスカが泣いている。
どうしたんだと聞くと、
「レンくんが横にいないよう」
と言って、泣きじゃくる。
酔っているのか……
「俺はここにいるよ」
と、顔を触らせて納得させる。
すると安心したのか、すぐに寝息をたて始めた。
俺は溜まった分のサイト巡回をまた始める。
かなりの量がたまっている。
巡回していたら、朝になりそうなほどだった。
巡回をやめて寝ようとベッドを見ると、アスカに占拠されていた。
しかたなくこたつで寝る俺。
翌朝、アスカが
「レンくんが、いないー」
と泣き出して目が覚めた。
どうやら寝ぼけているらしい。
安心するように肩をぽん、ぽん、と叩きながら、俺はここにいるよ、と答える。
効き目があったらしく、また寝息をたて始めるアスカ。
俺は、そんなアスカをいとおしいと思う。
ハニタンとこにでも、どこにでも行くといい、最後に戻ってくるのが俺のところならいい。
俺はそう、思った。
年末は家に帰ろうと思っていたが、アスカがもしかすると遊びに誘ってくれるかもしれないと思って、正月の2日から3日だけ実家に帰ることにした。
30日はアスカがカラオケに行こうと言い出し、大掃除もそこそこに、カラオケに行った。
「明日はどうするの?」
わずかに期待して聞く。
すると、あっけらかんと、
「明日はハニタンとお参りにいくから遊べない」
と答えた。
よくよく考えてみると、クリスマスも一緒じゃなかった。
あんなにどこに行ってもいい、なんて自分に言っていたくせに、いざとなると悔しくて仕方がない。
「じゃあ、1日は?」
「うーん、微妙だけど、多分遊べるかな。」
「1日一緒に初詣行こうよ」
「うーん、一応いいよ」
一応でも許可が出た!
ヨシッと気合いが入る。
彼女と一緒に初詣とか、初めてだからね。
俺は帰宅するとすぐ、近場の神社情報を調べ始めた。
もっと山の中へ進むと、有名な神社があるらしい。
雪が積もらなければ行けるはずだ。
ヨシッ、と俺は心の中でガッツポーズをした。
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