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【映画感想文】20歳差の恋、それは無邪気な悪魔の微笑み

『人のセックスを笑うな』は、山崎ナオコーラのデビュー作であり、井口奈己監督によって映画化された2008年公開の作品です。
原作を読まず、先入観なしでこの映画を観ることができました。

主人公のみるめを松山ケンイチさんが演じ、ヒロインのユリ役は永作博美さんが務めています。
この作品は、甘く切ないラブストーリーで、普段ラブストーリーを観る機会が少ない私にとって、新鮮な体験となりました。

物語は年の差がある不倫をテーマにしていますが、その展開はどこかのんびりとしており、ほのぼのとした雰囲気があります。
タイトルから受ける印象ほど衝撃的な内容ではなく、確かに年の差不倫が描かれていますが、永作博美さんが演じるユリがとても愛らしく、その魅力がストーリーの緊張感を和らげているように感じました。

松山ケンイチさん演じるみるめは、どこにでもいる普通の大学生として描かれています。
恋に落ちる瞬間は一瞬の出来事かもしれませんが、その瞬間がこの作品の中で普通の大学生が普通でない恋に出会うきっかけとなっています。

年上の女性に惹かれることはあるものの、実際に20歳差の恋愛に発展することはあまり耳にしません。
しかし、この映画に登場する女性は非常に魅力的で、軽やかで少し風変わりでありながらも、どこか悪女のような一面を持っています。

永作博美さんは好感度の高い演技が多いですが、彼女の演じる悪女役は本当に見事だと感じます。
彼女の童顔で無邪気な笑顔には誰もが魅了されてしまうでしょう。
狡猾な悪女ではなく、天然でありながら周囲を振り回してしまう、悪びれない小悪魔のようなキャラクターです。

松山ケンイチさん演じるみるめが彼女に惹かれたのも、この天然な魅力によるものでしょう。
青年の情熱というものは、時に周囲が見えなくなるほど強烈で、その移り変わりを松山さんが見事に演じていると思いました。

この映画では、不貞が描かれていながらも、それを責める登場人物はいません。
エンターテインメントとして、これは一つのあり方だと思いました。
恋愛とは、そんなものかもしれません。

しかし、物語のラストは予想外で、とても衝撃的でした。
その終わり方にモヤッとした気持ちが残らないではありませんでしたが、これも一つの作品の形なのかなと思いました。



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